Magician’s report
◇◆◇実験2日目◇◆◇
地下室に入ると、検体は長い髪を垂らし微動だにしていなかった。
死んでいるのかと少々不安になった。が、検体の正面に立つと睨みつけて来たので、安心した。
検体に肉と芋の香草スープを持っていくと、獣の様に口だけで食べていた。
何度か検体の行動に、煽るような言葉を投げかけたが、特に反応も無かった。
従順になってきたのだろうか。いい兆候だ。
魔術回路を診断。癒着率31%、剥離率3%。
今回は癒着した魔術回路が自然剥離しないために、体内の魔素に対してある種の外的アプローチを試みた。
屍鬼の実験結果により、脳内物質が魔術回路に持続的な活性化を促す作用があった事を応用。
なるべく検体にキズが付かない様、細心の注意を払う。
水責め55分。腹部への暴行40分。恐喝および侮辱10分。
合計実験時間105分。
◇◆◇実験3日目◇◆◇
昨日の外的アプローチにより、検体の精神的負荷が上昇したのだろうか。検体の拘束具が緩むほど、頭を打ちつけた跡が残っていた。後頭部に一時的な基礎治療魔術を使用。
魔術回路を診断。癒着率29%、剥離率1%。
自傷により、せっかくの成功検体が死なれては困るので、実験計画を一段階落とす。
魔術鍛錬における魔術回路の負荷でも脳内物質上昇が見込める為、検体に拷問か魔術鍛錬のどちらがいいか選択させた。検体は魔術鍛錬を選んだ。
魔術鍛錬において、本人の努力や、施術者との信頼関係で脳内物質量が左右される為、あまりいい結果は見込めそうに無いが、致し方ない。
知覚回路感覚15分。体内魔素操作20分。刻印魔術鍛錬40分。補助による魔力圧縮10分。
合計実験時間85分。
◇◆◇実験4日目◇◆◇
今日から検体との信頼関係を築く事にした。
具体的な内容は、魔術鍛錬において失敗、または規定時間以上を過ぎた場合。身体に暴行、罵倒を与える。
逆に魔術鍛錬において成功。または規定時間以下で終了させた場合。食事等の褒賞、賞賛を与える。
信頼関係というよりも、犬猫の躾けや調教に近い気もするが。検体に効果的であるため今後も続ける。
魔術回路を診断。癒着率36%、剥離率6%。
知覚回路感覚40分。体内魔素操作80分。刻印魔術鍛錬120分。補助による魔力圧縮40分。初等魔術理論5分。
合計実験時間285分。
◇◆◇実験5日目◇◆◇
特記事項無し。
魔術回路を診断。癒着率41%、剥離率12%。
知覚回路感覚80分。体内魔素操作50分。刻印魔術鍛錬40分。補助による魔力圧縮15分。初等魔術理論10分。魔素変換効率化訓練45分。回路負荷耐久訓練80分。
合計実験時間320分。
◇◆◇実験6日目◇◆◇
特記事項無し。
魔術回路を診断。癒着率44%、剥離率17%。
知覚回路感覚20分。体内魔素操作30分。刻印魔術鍛錬80分。補助による魔力圧縮20分。初等魔術理論20分。魔素変換効率化訓練120分。回路負荷耐久訓練90分。魔素変換および元素還元鍛錬15分。
合計実験時間395分。
以下の課程を修了。
知覚回路感覚。体内魔素操作。補助による魔力圧縮。
◇◆◇実験7日目◇◆◇
特記事項無し。
魔術回路を診断。癒着率47%、剥離率22%。
刻印魔術鍛錬180分。初等魔術理論30分。魔素変換効率化訓練80分。回路負荷耐久訓練130分。魔素変換および元素還元鍛錬20分。術式解凍5分。魔力圧縮20分。
合計実験時間465分。
以下の課程を修了。
初等魔術理論。