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002 あ、間に合ってるのでお断り…

(異世界転生!?三十年前の契約!?女神様!?

てゆーか、ニッコリ♪じゃねーよ!!!)


ムンクの叫びばりの不安が押し寄せるなか、


(餅つけ、いや落ち着け!全力で落ち着け! )


何となく予想は出来るけど、

無駄だと思うけど、

流れ的にも想像出来ちゃうんですけど、


叫びたい気持ちを押し隠して、それでもお約束通り聞いてみた。


「その契約キャンセルとか出来たちゃったりしませんかねぇ?」


すっとぼけて、まるで何も聞かなかったかの様にサラッと聞いてみた。


「可能ですよ」


「えっ!?本当に?」


聞いてみるもんだな!

誰しもが喜ぶと思ってんなよ、異世界転生め!

やり残した事沢山あるし、発売日を楽しみにしてるゲームもある。今日Amazonからの荷物だって届受け取らなきゃならないし、まだまだやりたい事たくさん…


「ですがその場合、ご自分の世界に帰還された直後に寿命でお亡くなりになりますがよろしいですか?」


残酷にも無情な言葉が彼女の口からはっきりと紡がれた。


「詰んでるんじゃねーかよぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!」




頭を抱える両手と表情筋にこれ迄の人生で使った事のないレベルの力が、これでもか、これでも足りないか!とばかりに溢れかえる。思考回路はフリーズ寸前、ガクガクガクガク…小刻みに独りヘッドバンキングが自動再生されている。


「再起動しますので1分程時間を下さい」


と血の涙を流した作り笑いを浮かべたまま自分の世界に引きこもった。


―――――――――――――――――――――――


どーする、どーする、どーすんの?ナニこの展開、聞いてないし、笑えないし、意味わかんない!

ハァァァァァァァァァァッ!?

寿命!?まだ30代なのに寿命トカ?

何なの?何なの?ドッキリなの!?

俺が何したってんだょぉぉぉぉぉ!


未だ見ぬ僕の童貞を捧げる予定の彼女、一斉一代のプロポーズ、僕を立ててくれる優しい妻との温かい家庭、僕と彼女に似た一男一女の子供達との生活に成長を見守りながら頑張って働く僕、成人、子供達の結婚、孫の誕生、慎ましい老後を…


切・り・替・え・ろーーー!

脳内に一人二役のデスヴォイス&シャウトが轟き渡る。


今はそんな場合じゃない、先を考えろ、必死に考えろ!

よくある展開を思い出せ!

異世界転生なんて散々昔読んだ!

どんな文明世界であれどーすれば楽になる?

どんな力があれば強くなる?

てゆーか、貰えるのか?

そんな装備で大丈夫か?

じゃねーよ、どーすれば多岐多様な問題を解消出来る?

どんな能力が必要なんだ?

正解なんて分かんねー!

でも正解に限りなく近いモノを掴まなきゃ無駄死にするだけだ!

考えるぉぉぉぉーーーーっ!


―――――――――――――――――――――――


「僕は異世界で何かしらしなきゃいけない事があるから呼ばれた訳ですよね?やれるかどーかも分かりませんが、その理由を先ず教えて下さい」


無駄にキメ顔してやっとの事で絞り出した声とは別に、頭の中ではひたすら答えを求め続ける。脳細胞フル稼働、追いドーパミンお願いしますの状態で余裕なんて全くない!


「そーですねぇ…簡単に申し上げますと…私の世界に存在する神々を皆殺しにして頂く事が、契約履行内容に相当致します」


美しいなりで平然と死刑宣告を告げるその姿に、あるの種の神々しさを感じなくもないのだが…


「尚、ただ今特典付きキャンペーン中でして、もれなくお得に転生出来ますよ♪」


続けられた言葉の先に、即時現実に引き戻された。


「あ、追加で30秒下さい…」


―――――――――――――――――――――――


私の不注意で殺しちゃったので、異世界で自由気儘に楽しんでセカンドライフをお過ごし下さい…トカよくあるパターンでも無いのかよォォォォォォッ!!!

“特典付きキャンペーン”とか言う単語に無駄にイラついたが、


突っ込むのは後だ!

神殺し?

八百万って聞く位だからかなり多いのか?

戦争レベル?

武器防具が必要か?

いっそのこと兵器?

そもそも神様にどんな攻撃が利くの?

1人で戦う?

軍を作る?

国を作る?

その辺の魔王倒すRPGなんかよりよっぽどヘヴィじゃなんじゃ…


誰かお願い助けて!

Give me your hand!

じゃねーよ、Give me a hand!

ん?ナンカ間違ってはいないな気もするかも…


―――――――――――――――――――――――


瞬く間に刻は過ぎ、覚悟を決めねばならぬ刻が

キタ━(゜∀゜)━!。


(あ~、なんだろ…なんだろな~…“はい!” または“ Yes!”しか選択肢選べないみたいな、ね!てゆーか、ガッチガチに逃げ場なく固められてるとも云うけど…)


俯いて蒼白な僕の顔は、きっと油ギッシュでテッカテカに光輝いている事でしょうよ。

三十路馬鹿にすんなよ。

手汗や脇汗だって凄いんだぞ。


自虐ネタしか浮かばない脳内とは完全に別タスクと化した僕の口が、ぎこちなく活動を始めたようだ。


「あ~、前向きに転生する方向で考えていますが、

それに伴い~まして…

う~、裸一貫で異世界に放り出されちゃったりします?

え~、それともウルスカ様から何かしら加護?や武器防具アイテム?を貰えたり、何かしらコチラの希望を叶えて頂けたりなんか…」


「勿論!当社にその辺に抜かりはありません!基本的な読み書き及び会話に不自由させません。言語習得はバッチリです。また、アイテムボックスをお渡しします。コチラは容量及び収納個数が無制限となっており、種類毎にフォルダ分類、名称や入手順にソート機能、各種便利機能搭載しております。またサポートとして守護精霊をお供に付けます。困ったことやコチラの世界に関して不明な点などございましたら、このコにいつでもお聞きください。正式な契約後に代々木様専用の守護精霊となりますので、お気に召しましたら名前を付けて可愛がってあげて下さいね。」


「お~!」


(どんな会社だよ…てゆーか、無駄に!本当に無駄に意味不明に便利だし。テンプレではあるが、貰えるもんもらっとかないとね)


ふと彼女の周囲に焦点を合わせると、小さな光体が複数舞っている事に気付く。

彼女の美しさと降って湧いたような途方もない話の内容に、全く余裕が無かった先程までの僕。現在は肚が決まった事で幾分緊張の糸が解れたのか、徐々に平静を取り戻しつつある。


(へ~、精霊なんている世界なんだ。その他詳しくはその守護精霊さんとやらに聞くとしますか)


「そして…代々木様の望む能力や装備といったモノを()()!―――()()だけ私の力が及ぶ限りではございますが、お渡ししたいと思っております。転生の特典としまして、所持金に所持アイテム等、希少価値の高いモノを十分にご用意しております。―――誘導するわけでございませんが、神々と戦う事になりますので、戦いや生き残る事、戦力を上げる事に特化した能力をオススメ致しますが。。。代々木様…ご要望の方はお決まりでしょうか?」


精霊が飛び交う様相に、心を奪われていた自分に自ら克を入れ、気持ちを新たにした意志宿る強い眼差しを彼女に叩き付けてこう続けた。




―――


「始めに、言語習得と守護精霊をお願いします」


「次に、“あらゆる()()を数式化、数値化してその数値を()()()()()()()”を下さい」


「最後に、アイテムボックスと特典をキャンセルして、もう1人!()()()()をコチラの世界に連れて行く事を許可願います」


「―――承りました」



こうして僕の異世界人生がここに始まろうとしていた―――

Continued on the following page…

Give me your hand!(結婚してください)だったかな…

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