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これは彼と彼女のある日の出来事のお話。

ある日の陸上競技場での出来事。《Another Story》

作者: 黒和叶恵

「ふぅ、やっと着いた〜。この競技場遠過ぎだよ〜」

今日は彼の大会の日。私は彼の応援をするために家からかなり離れたこの競技場まではるばる来たのだ。

(シュウの走ってる姿見るの地味に久しぶりかも。前に見たのは中3の時だから、2年ぶりかな)

(あっでも、応援しに来るなって言われてたんだっけ。怒られちゃわないよね……)

そんなことを考えていると、

『まもなく男子100メートルの予選が始まります』

炎天下の中、陸上競技場のスピーカーから放送が流れてきた。

「やばい、やばい、始まっちゃう!」

そう言いながら私は階段を駆け上がった。

息を整えながら私は彼の姿を探した。

(見当たらないなぁ)

(今日は11組あるんだ。シュウが何組目かしたの掲示板で確認しておけば良かった〜)

そんなちょっとした後悔をしていると、1組目の選手がレーンに入った。

そして、紙雷管の音と同時に一斉にスタートした。

(やっぱり高校生になるとすごく速いなぁ。10秒台の人もいたし)

感心していると、2組目の選手が控え室から出てきた。

そこには彼の姿もあった。


「シュウーーーー!!!」

私は思わず彼の名前を叫んでしまった。


「ごめーん、来るなって言われてたけど来ちゃった! 応援してるから頑張ってね!!」

彼が私に気づいてくれたのに気づいて、そのまま続けた。

「もー、何度も来るなって言ったのに。それにこんなとこ来るよりも、彼氏とデートしてきなよ!!」

彼はちょっと顔を赤くして、そう答えた。


「………ありがとう」

彼がボソッ呟いた


とても小さな声だった。でも私にはハッキリと聞こえた。

(喜んでくれて良かった〜)

(ホント照れ屋なんだから〜)

そんなことを考えていると、


彼はトラックに入り、

彼がセットをすると、

まもなく紙雷管の音がして、

彼は走り出した。

彼は後続を引き離してゴールした。


ゴールした彼の姿は誰よりもカッコよかった。

そして、私の憧れた彼だった。

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