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習作、TSドラゴン転生モノ。  作者: 赤井鈴子
3/6

ドラゴンさん、住まう。

週末投稿予定ぶんでした。

「お前の投稿したの読んだけど、あそこまでで切ったらどんな話か全く伝わらん、もう少しだけ投稿しとけ」

と知人に言われたので、3話前半を投稿します。後半は来週です。

朝日が差し込む、ふかふかとしたベッドが心地いい。あれ、なんで俺はベッドで寝てるんだ?あれ?馬車は?あれれ?

とりあえず起き上がろう。…そういえば、この身体になってから一つ便利なことと、一つ不便なことがある。便利なことは、起き上がるときに尻尾で支えると力を入れず楽に起き上がれること、不便なことは、羽と角が邪魔で仰向けになれないことだ。身体だけでもと仰向けになると関節がキマった感じになって痛い。


「ふぁ…ぁ…」


欠伸を噛み殺しながら、ベッドの縁に腰掛ける。お、服がポンチョじゃないぞ。ドレス…?寝間着か?これ。あ、羽が服から生えてる、いや、服の羽の部分にスリットが付いてるのか。部屋は、とりあえずこれはベッド、薄黄色のふんわりとしたベッドだ、ベッドの向こうには鏡台、その向こうには窓が見える。天井には四角いものが吊るされていて、おそらく照明の類であると推測がつく。部屋の広さは小さめのコンビニくらいの広さだ、広過ぎる。部屋の中央には8人ほどがかけられるテーブルと椅子が置かれ、壁沿いにドレッサーが並び、ベッドから離れた場所に二つのドアが見える。

ん、軽く流したけど、鏡台?そうか、鏡だ、やっと客観的に確認できる!


「おお…やっぱり、女だ…」


肩まで伸びた黒髪に、黄色い目、瞳孔は少し縦長で、どこか爬虫類じみた雰囲気を感じる気もする。年齢は…若いな、12歳くらいか?日本人っぽいかと言うとそうではない、なんだろうな、日本人と白人のハーフがこんな顔だった気がしなくもない。お、光が当たると黒髪が少し緑がかるな、鱗みたいだ。そうそう、俺の尻尾と羽は翡翠色の鱗に覆われている、尻尾の内側は黄色だな、だからトカゲ獣人感があったんだ。鏡を再度見よう、角は耳の上あたりから生えている。わりと刺さると痛そうな感じだ、細く、途中から二股に分かれて先っぽは尖ってる。触ると当然硬い、感触はあまりない。

そうして鏡台に座って顔を確認していると、ドアが開く音がして、振り返った。


「メイドさん…かな?」


白を基調とした服に、同じく白い前掛け、髪は一つにまとめられ、後ろに伸びている。さて、入ってきたメイドさん?だが、入ってくるなり、慌てたようにドアを閉めて去っていった。去り際、ダァーゴンと叫んでいた気がしなくもない。失礼な、少なくともトカゲ獣人顔では無かったぞ、可愛かったぞ。

暫くすると、赤い服を着た1人の男性と、ユーフィミアが部屋に入ってきた。先ほどのメイドさんと、帯剣した3人の男性も一緒だ。ユーフィミアが私に向かって駆けだそうとし、赤い服の男性に止められる。帯剣した3人は既に抜刀しており、とにかく臨戦態勢という感じがある。とりあえず敵意もないので、立ち上がって頭を下げる、なんとなく尻尾も下げる。すると赤い服の男性はテーブルに座り、反対側の席に手を向けた。座れってことかな?


「****・・・・」


ユーフィミアが何か恨めしそうな目で赤い服の男性に声をかけているのが見える、そうだ、とりあえず挨拶をしておこう。


「おはよう、ユーフィミア。とりあえず、私も座るね?」


伝わるとは思えないけど、とりあえず、ね。名前を呼ばれたユーフィミアは、恨めしそうな顔が嘘のように笑顔になり、赤い服の男性の隣に腰掛けた。ちなみに、私は赤い服の男性の対面の席だ。

私の両隣に、帯剣した2人が立つ、赤い服の男性の隣には1人。明らかに警戒されてる。まぁドラゴンだしな、致し方なし。

しかし、だ。会話をする雰囲気だが、俺たちは言葉が通じない。どうするんだ?…ん、小さな本?ページが開かれる、おお!?絵がたくさん書かれている!しかも手書きか??しかし、この本で、何を…ん、一枚の紙が渡された、○と×が書かれている、おお?

男性が指差す、まず地面、そして家の絵、これは、もしかして、会話…か?

下、家の絵、赤い男性自身、つまりここは彼の家、らしい。私は理解したことを示すため、○を示す。通じた事を理解したのか、赤い男性の顔が少し綻ぶ。次に指したのは家族の絵、女の子、ユーフィミア、私は○で返す。ユーフィミア、ハート、天使、そして頭を下げる男性、思わず私も頭を下げる、「いえいえこちらこそ、出過ぎた真似をしてしまって…」思わず喋るが、やっぱり通じない。ユーフィミア、話す人、俺、家、家族の絵。えーっと、ユーフィミアが、話す?俺で家で家族で…好意的に解釈するなら、ウチで暮らさないか、って事か…?それは願ってもない事だけど、うーん…?いいのかな…?悩んだので、とりあえずユーフィミアを見てみる。めっちゃ目が合った、首を縦に振ってる、わかるぞこれは、ペットショップで親にペット飼いたいってお願いして、あと一歩でペット買ってくれる時の顔だな?

まあ、そうだなぁ、人のことを知るためにも世界のことを知るためにも、人の家で過ごす事は悪いことではないだろう。うん、そうだ、とりあえずオーケーしよう、罠なら諦めよう。

○を指差す。

その日から、俺のお屋敷暮らしが始まった。



早いようで、私がここで暮らし始めてから半年が過ぎた。ちなみに私の部屋は客間の一つだったらしい、未だに立場は客のままなのだろうか、家の中の移動には必ず兵士が付いて回っている。今も、部屋の隅には女騎士のヴィスが控えている。ただ、半年の間にだいぶ信頼度は上がってきたみたいで、一挙一動ごとに抜刀されることは無くなり、簡単な会話程度ならできるようになった。ん?お前は喋れないはずじゃ?それにその一人称は何だって?まあ、私も頑張ったのだよ。

この半年間、私はひたすら勉強をしていた。まずは言葉だ。私がここで暮らす事になったその日、ユーフィミアは本を私の元に持ってきた。それはどうも子供に言葉を教える本らしく、大きく物の絵と、その下にそれぞれの単語が書かれていて、それをユーフィミアが指差し、私に読み上げる。どうやら龍とは物覚えの良い種族らしい、とにかく私はまず単語を覚えた。とりあえず2日で単語を並べた会話ができるようになった。「私 ごはん たべる」と、こんな具合だ。ちなみに、一人称は女性に該当する語を教えられた。まぁ、そりゃね。3日目には、次の本が運ばれてきた。本格的な会話だ。おはよう、こんにちは、ごきげんよう。

この国の言葉は、意味単語、接続文字、母音単語、囲い文字、日本語や英語なんかよりも大雑把で、どうも数学じみたイメージを受ける言語だ。文字がカッコで囲われたりするから、なんとなく高校の授業を思い出す。因数分解だっけ?

それと並行して算数のお勉強をしたが、それに関しては数字を覚えるだけで終了した。ユーフィミア…もとい、お嬢様は、すごいすごいとずっと褒めていた。そういえばお嬢様はなぜか褒める時に角を撫でてくる、刺さらないように気をつけてね。

この頃には、兵士付きではあるが、中庭にお嬢様と散歩に出ることも多くなった。ここの家の中庭はすごいのだ、まず花壇、見たこともないような薔薇園と、その反対側に広がる菜園、最初の頃は薔薇園に感動し、お嬢様と走り回った事もあったが、転んで薔薇の生垣に突っ込んで庭師の人に雷を落とされてからは、菜園で遊ぶようになった。

と、そんな感じで半年ほど過ごしたら、私はそこそこ人間と意思疎通を図ることが可能になっていた。初日は私を見るなり逃げ帰ってしまったメイドさんとも今ではよく話す仲だ。


「だってドラゴンなんて…人を食べる生き物だって聞いてました」


「うまれて、ここまで、くるまで、たぶん、ずっと、フルーツ、たべてたよ」


「伝記と事実は、異なるんですねぇ…あ、そう言えば今日は新人のミキューの子が焼き菓子の練習をする日ですよ、食べます?甘いカターラの乗った焼き菓子ですよ」


「たべる!あまいのすき!サーナ!ありがとう!」


と、こんな具合だ。私の言葉がカタコトだって?たまに訳わからない横文字があるって?知らん、半年じゃそりゃ完璧には無理だ。カターラって何だろう。ミキューって何だろう。ちなみにサーナはこのメイドさんの名前だ。


サーナと食堂に向かい歩きながら、考える。ドラゴン転生したにしては平和過ぎないだろうか?定石として、こう言うのは冒険とか、戦いとかに巻き込まれるイメージが強い。しかし今の私の生活は平和そのものだ。食べて、勉強して、遊んで、寝て…、ニートか、自分。

旦那様は何故私をここに置いてくれているのだろう?いくらお嬢様がお願いしたとしても、得体の知れないドラゴンを家に置くなんて普通はしない、と思う。何か意図があるのか…なぁ?うーん…。

まぁ、考えても仕方がないか。どうせ自分のこともこの世界のこともまだ全然分からんのだ、幸いにも私が知識をつけることはお嬢様も旦那様も賛成のようだし、沢山勉強して、沢山知ってからまた考えよう。今は、流されるまま、美味しいものでも食べて過ごそう。

週末にはex1、ユーフィミアサイドの小話を投稿することにします。

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