努力のゆくえ
「あれ、大野さん髪染めたんですか?」
更衣室でばったりと会った米山さんは開口一番そう言った。
「急にかなり明るくしたんですね、色。何かあったんですか?」
「いえ、別に」
「へー、でもちょっと意外です。大野さんあまりそういうイメージないし」
睦よりも年下になりたい。
私が考え抜いた結論は、見た目だけでも21歳にするということだった。
「服とかも、どうしたんですか?彼氏の趣味ですか?」
「いえ、そういうわけじゃ」
米山さんはそういうところが鋭い。確かに今までの私とは違う。でもこうでもしないと年下にはなれない。
そして年下にならないと睦と会えなくなってしまう。
主任にもどうしたんだと言われ、うっとうしさを感じながら黙々と仕事をしている時だった。
ふと顔をあげると睦がちょうど事務所を入ってくるところだった。
心臓が飛び出るかと思った。
声が出なくてよかった。
その瞬間、睦が私を見た。
私は精一杯の笑顔を向けた。
睦は少し困ったように目をそらしてすぐに用事を済ませ事務所を出ていった。
その日の夜、久しぶりに睦が家に来た。
「なんか雰囲気変わったね」睦が言う。
「うん、睦と釣り合うようになりたかったんだ」
「釣り合う?」
「なんか私、今まですごい地味だったかなって思って。どう?」
「いいと思うよ」
その笑顔。それがないと私はもう狂う。
私たちはいつものようにベッドの中で激しく愛した。
よかった。
私の努力は報われた。




