ばら色の毎日
セミシングルのベッド。カーテンから漏れてくる朝日。
夢じゃないかと思った。
でも隣には確かにいるのだ。栗原さんが眠ってそこにいる。
私は重い体を起こし、服を着た。どれくらい眠れたのかもわからないけれど頭はぼーっとして寝不足みたいな感じになっている。
まさか自分がこういうことになるとは思わなかった。
だいたい、男の人と体を重ねるということをしたのは何年ぶりだろう。最後に彼氏がいたのは大学生の頃だったから7年はしていない。
だから初めてみたいなものだよ、と言った。
私はつい数時間前、栗原さんにそんなことを言いながら何度もキスをした。
私の手が栗原さんの体に触れ、彼の手が私のいろんなところを這う。
それがつい数時間前のこと。
「おはよう」
気付いたら栗原さんは目を覚ましていた。
「あ・・・おはよう」
どんな顔で接すればいいのかわからなかった。
でも私と栗原さんは結ばれた。それは間違いなかった。
狭い部屋の小さなテーブル。
一人ならそれでも不自由なんて全然しないけれど、今日は少し違う。
二人分の食器、コップを置こうと思ってこのテーブルが小さいと初めて気付いた。
「朝ご飯はいつも食べるの?」
「そうだね、食べないと力出ないし。」
いつの間にか敬語がなくなっていた。
「大野さんごめんね。急にこんなことになっちゃってびっくりしたよね」
栗原さんが突然そんなことを言うから私はそのことにびっくりした。
「なんで?私は全然。むしろ嬉しかった」
「ならよかった」
栗原さんが笑う。だめだ。幸せすぎる。
こんな笑顔、その存在、彼のすべてをこの瞬間私が独占している。
私と彼しかここにはいない。この部屋の空気でさえ幸せで満ちているようだった。
「私、仕事の時は絶対そういう感じにしないから。だから・・・二人でいる時は睦って呼んでいい?」
「え?もちろんいいよ。」睦は少し面食らったようだったけれどすぐ笑顔になって答えた。
「私のこともできれば名前で呼んでほしいな」
「そうだね、じゃあ舞子って呼ぶよ」
舞子、という言葉が睦の口から出た時の私といったらもう全身の血液が昇華するような感覚だった。
そしてまた二人はベッドに雪崩れて朝日の中、何度もベッドをきしませていた。




