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日常日記 ~頑張ってみた~

作者: 紅夏

さて、うまく出来るかな!?

マラソン大会。

俺は、いまだにこの大会の意味を見出みいだせていなかった。


「はあぁぁぁぁ……。嫌だなあ……」


俺は土埃つちぼこりの舞うグラウンドに、盛大に溜息をついた。

なにを隠そう、俺こと紅夏にとってはマラソン大会なんてただの苦行……ま、つまりはかったるいだけの無駄にふざけ倒した面倒な行事なのである。

心身の強化が目的らしいが、そんなことは健全な男子運動部さんが己を高めるためだけに行うものなのだ。

俺みたいな実力不足・・・・がやったって、結局最後の最後のブービー賞を貰うだけ。


今までもそうだった。

全力を出したって、結局はいつもビリから数えて一位。


ま、つまりはかったるいのであった。


それが聞こえていたのが、横にいた友人が「ま、確かにな。四,七よんてんななキロメートルはわりと疲れるし」と同意してきた。


「お、わかるかい、心の友よ」

「ははっ、オメェよか走りは速いけどな」

「るっせい」


しかし、確かにこいつは速い。百七十ひゃくななじゅう人中、七十位には入ってくるだろう。

伊達に野球部じゃないって事か。

実は、俺と気が合う野球部はこいつだけだったりする。

俺はあまり社交的ではないのだ。いつもの皆だって他の高校だし。


「はあ、マジで嫌だわ……」

「ま、頑張ろうぜ」

「…………おー」


「おーい、集合だぞー!!」


……あー、かったるい……。

鬱な気持ちになりながら、俺は先生の先導に付いて行った。



なにやら、先に女子が走る様だ。


男子は女子が終わるまで待ってるみたいだ。……待ってる場所はどこでもいいらしい。

それを聞いた俺はそこの地面に座り込み、時間を潰す為に俺は友達と喋っていた。


「さて、なんかいい事あるかな? ……せめて気を紛らわしたいんだ」

「さあねぇ……なんか、か……」

「ん。ま、てきとーに時間潰しますかー」

「おー、そうだな」

今の友達はさっきの奴とは違う友達で、百七十人中、百四十~百六十位には入ると思う。

ちなみに、わりと頭が良くてインテル入ってる系だったりする。

俺はアホだけどね。


「じゃあ落書きしてようぜ~」

「……おう」


そして、適当に描いたモンスターを適当に戦わせたりした。

最終的に俺の描いた緑スライム(色は茶色)はどこぞのあごの長いアントニオな方になっていたし、あっちのなんか良く分からない奴は俺のモンスター(?)に食われて跡形も無くなっていた。



そんなこんなでいつの間にか時間が過ぎていて、俺たちのターンになった。

グラウンドの隅辺りから始まるので、通る予定である校門の場所が遠くに見えた。

それだけでわりと気が滅入るのだが、今そんなことを言ったって何かが変わる訳でもない。

早々に諦めて、走ることに対する意識を高めていく。


乾いた空砲の音が響いた。


俺は、皆のスピードに追いつくことなど出来ない。

少しずつ、しかし着実に先頭の集団から離されていく。


「おう、紅夏! がんばれよぉ?」

「はっ、……おう、はっ」


誰だか知らないが、ワルっぽいのが話しかけて来た。

校門を出る前からわりと疲れていたので、スタミナを消費したくは無かったので、適当に返しておいた。



千メートルほど走っただろうか。


意識が朦朧もうろうとして、口の中の砂漠化さばくか猛烈もうれつな勢いで進む。


「げほっ……」


非常に辛い。もっと水を飲んでおけばよかっただろうか。

なんで朝にコーンポタージュしか飲んでこなかったのか、非常に悔やまれる。


「ハァッ、ハッ」


くるしい。


くるしいが、走らないと終わらない。


「……ッ」


そのまま走る。スタミナはもうほとんど0だった。



二千メートルほど走っただろうか。


「……っ、……ッ!」

ただいま、息を止めて走っております。


ちょっといいかんz「ゲホォァッ!!」無理でした。


なんだよもうー。空気読めよ俺ぇー。

「……ハァー! ハァー!」


うん。

これは、あれだね。


スタミナ、0だね。

だからって、走るのはやめないけど。



もうこっからは先生の話を聞けなかったからなんメートルかなんて覚えていない。


「ヒッ、フー。ヒッ、フゥー」


俺はもう最下位になっていた。


しかし、今日はいつもと違って走り切る気になっていた。


多分、アレが効いたんだろうな。


~回想~


紅『なあ、最近どう?』

インテルの友『ん、どうって?』

紅『いや、最近なんか、興味が湧くものがあんまり無くってさ』

イ『あぁ、なるほどね』

紅『……という訳で、なんか無い?』

イ『あー、オーケー、分かった』

紅『え?』


イ『いや、これは俺が思うにさ、紅君が全力を出してないだけなんだよ』

紅『む、なるほど?』


イ『つまり、何事にも全力で取り組めば興味の無い物なんてないはず、って事』


紅『そっか。興味深い話だな……』

イ『だろ』


紅『ああ。手始めに、この大会で≪本当の≫全力を出してみるよ』


イ『おう、やってみるといい』

紅『おう、いい話だったぜい』

イ『ん。あ、俺ここで自己回復な』

紅『ハハッ、マジで? じゃあ俺、猪木化!』

イ『地味にリアルで怖えぇ……』


~回想終了~


そんな事があったから、俺は今日のマラソン大会を頑張る。


≪全力≫を出すために。


……我ながら、クサいセリフだね、どうも。

ま、こんな言葉が大好きだから、中二病って言われるんだろうな。



もうほとんど覚えていないけど。

確か、曲がり角を曲がった時だったかな。


前に、人影が見えたんだ。


もっと良く見ると、その人は多分歩いていた。

本当にボヤっとした記憶だから、歩いていたかはよく分からないけど。


その人を、抜かせそうな気がした。


もう胸は苦しいなんてものじゃないし、正直言うと吐き気がした。

焦点なんて合わないし、口の中はじとりとしたつばが渇いたのどにへばりついた。

足がじくりと痛くなって、そのまま崩れていくような気さえした。

虫がいたかのように足にかゆみが走った。


でも、走る。


頑張る。

出せるはずの≪全力≫を出すために。






変化は、突然起きる。






足が、止まった。


ずる、と。

急に、足が止まる。


動かなかった。

足を止めた瞬間、心臓に激痛が走る。

いつの間にかあごが上を向く。


苦しい。


足を引きずるようにして歩くが、前にいる人との差が少しずつ開いていく。




やっぱり、俺の≪全力≫ってこんなものなんだろうか。


≪全力≫でも、俺は人ひとり抜かせないのか?







いや。


違う。


違う!




俺は、できる。


できるはずだ。



出来るはずだ!



最後の下り坂。


ここが、正念場。


一番後ろからの景色はもうずっと見てきた。

ずっと、見てきたんだ。


そろそろ、他の景色を見たいじゃないか。

最後から一つ変わるだけでいい。


それだけで十分。



そこだけに、今は≪全力≫を尽くそう。


「ハーッ! ハァーッ!!」


最後。ここで抜かせないなら、ほとんど絶望的。

そんなの、分かっていた。


だからあの前にいる人も無理をして走ってる。


それでも、負けられない。


多分、それは自分に負けた事になる。


それじゃあ、ダメなんだろう、きっと。


だから、走る。

走る!


最後のコーナーを曲がる。


あと五十メートルほどになる。


ゴールが見える。


斜め前にいる人を抜かす、絶対に。


叫ぶように声を上げる。


一瞬だけ、何も見えなかった。














勝った、みたいだ。


他の人から見たら、とてもささいな事。

たった一人、ビリから変わっただけ。



だけど。


俺からしたら。


本当に、景色が変わって見えて。


いうなれば、超嬉しかった。


近くに友達が来てくれた。

どうやら、こいつは百四十位だったらしい。


……そういえば、他の皆がいないな。

ああ、普通は教室に帰るんだな。

じゃあ、こいつは待っててくれたのか。


ありがたい。


「よう、紅君」

「おう……やってやったぜ」



そこで友達はニッと笑い、「ナイスファイト」と、言った。


俺もニヤッと笑い、「おう!」と、答えた。

どうだったでしょうか。

これ、本当にあった事だったりします。

友達って、いいよねって話です。


おわり。


日常日記本編は続くけどね!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 先に女子が走る、というのが懐かしいw ただ残念ながら、走る前の心境とか、体育関係に関する気持ちは共感できなかったかな、と。 [一言] さて、共感できるという意見が多い中、何故共感できなかっ…
[良い点] 面白い!共感できます。 [気になる点] 場所の描写がすくないかな・・ [一言] 自分も結構マラソンとか嫌いだったりしてこういう気持ちになったりします。しかも高校に友達いないし、中学の(高…
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