表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学校の方士先生  作者: 均極道人
第五章 呪われた地と学院試合
81/143

第七十九話 賭け 

オグドンは観客席の最上段に腰を下ろし、広場を見下ろしながらしみじみと呟いた。


「また五年が経ったのか……歳を取った気がするな。」


それを聞いたアウロラ錬金魔法学院の校長、アモロンがふんっと鼻を鳴らした。


「お前が老けて見えるのは、自業自得だ。薬ばっかり調合して、木属性魔導士のくせに休まず働くからだ。もっと自分の生命力を大事にしろ。」


オグドンは笑いながら手を挙げた。


「だったら、ちょっと資金を援助してくれよ。アウロラ錬金魔法学院というと、宝の山だろ? 適当に一つくれれば、うちは半年は困らん。」


「やらん。都合よすぎ。」


アモロンは抱いていた茶虎猫の頭を撫でながら、つれなく答えた。


そこへ、アカデミア・カラン魔法学院の校長、カミロが話した


「そうそう、オグドン、お前本当に老けたな。見ろよ、メリーを。あんなに若々しい。四十代って言われたら信じるぞ。同い年なんて、誰が思うかって話だ。」


オグドンはわざとらしく咳払いをして話題をそらした。


すると、優雅に紅茶を啜っていたメイヴレーナ融合魔法学院の校長、メリーがニコリと微笑んだ。


「でもカミロ、最近あなた、妙に元気じゃない? 二十代の男子みたいよ。聞いたわよ、昔の幼馴染があなたを“許した”って。」


「“許した”って言うな。誤解が解けただけだ!」


顔を真っ赤にしながらカミロが抗議すると、アモロンが茶虎猫を抱き直しながら呟いた。


「……くだらん色恋より、早く本題に入ってくれ。俺は早く帰って猫を撫でたいんだ。」


メリーが優雅に微笑みながら言った。


「では、例年通りでいいかしら? 学生試合と教師試合、二本立てで。」


アモロンが答えた。


「異存はない。」


「問題ない。」


とカミロが頷くと、最後にオグドンもゆっくりと頷いた。


「それじゃ、いつも通りにしよう。学生は各学院から一名ずつ代表を選出。教師陣はポイント制で勝敗を決める。で――肝心の報酬だが……」


そう言いながら、オグドンは懐から橙黄色に輝く琥珀を取り出した。


「学生には一年分の高等薬剤の供給を。教師部門には……これを。」


「――お前、正気か!?」


アモロンの目が見開かれ、その猫もびくっと震えた。


「それ、まさかティリオンの琥珀じゃないか! お前、それを賞品に出すとか頭おかしいだろ! オレリス、今まで勝ったことなかったじゃないか!」


「今回はわからんぞ。」


オグドンはニヤリと笑いながら琥珀を指先でくるくる回した。


「うちにはな、すごい教師が入ったんだ。……賭けてみるか? オレリスが一位を取ったら、お前の『機械の心臓』をいただく。」


アモロンは一瞬沈黙し。


「……噂には聞いた。オレリスに新しく雷系の大魔法使いが入ったと。でもな……大魔法使いごときでそんなに変わるか?」


カミロがニヤニヤしながら、まるで待ってましたと言わんばかりに口を挟んだ。


「じゃあ、俺も乗った! オレリスが勝つなんて絶対にない! 俺は『熔岩の核』を賭けよう。勝ったら……お前の『生命の雫』をいただくぞ。」


「いいだろう。」


オグドンは即答した。


アモロン:“?”


オグドンがにこにことしながら問いかけた。


「どうだ? 賭けるか?」


アモロンは黙っていたが、オグドンはさらに追撃をかける。


「毎回一位のアウロラ錬金魔法学院が、まさか……今年は怖じ気づいたってわけじゃあるまいな?」


「なっ……!」


アモロンの眉がピクリと動き、立ち上がって叫んだ。


「馬鹿を言うな! この俺が怖がるか!? ――いいだろう、賭けてやるよ!」


そう言って、腰のポーチから金属のような光を放つ精密な心臓――《機械の心臓》を取り出し、机の上にドンと置いた。


「ふふっ、よし。」


オグドンは満足げに頷き、次にメリーの方に顔を向ける。


「さて、メリー。君もどうだい? せっかくだし乗ってみないか?」


「……?」


メリーは一瞬微笑を浮かべかけたが、ふと学生のことを思い出した


彼女の脳裏に数日前のことがよぎる。リュミエールが話していた“陸虚”という名の青年。


(なるほど……隠された魔導士か、オグドン、なにたくらんがあるの……)


メリーは優雅に微笑んだ。


「私は賭け事は趣味じゃないの。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ