表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学校の方士先生  作者: 均極道人
第五章 呪われた地と学院試合
78/143

第七十六話 人魚姫 リュミエール

一方その頃、メイヴレーナ融合魔法学院の馬車列の中――


人魚族の姫、リュミエールは車内で試合の資料を丁寧に読み込んでいた。


そこへ、控えの者が顔を出す。


「姫様!外にお客様が。ご自身を『アカデミア・カラン魔法学院から来た者で、前回の試合で一度お手合わせしたことがある』と――」


その言葉に、リュミエールは少しだけ眉をひそめて口を開いた。


「……何度言わせるの? 今回は王族じゃなくて選手として来てるの。『リュミエール』でいいわよ。」


「はっ、申し訳ありません!」


慌てた部下を軽く諭しながらも、リュミエールは外へと出た。


そこに立っていたのは――見覚えのある赤髪の青年。


「やっぱり、あなたね。久しぶり、炎獅子公爵家の次期当主さん?」


彼女が手を差し出すと、青年もにっこりと笑ってそれを握り返す。


「久しぶりだね、人魚国の次期女王様。」


二人は視線を交わし、そのままくすっと笑い合う。


「でも、遅かったわね。オレリスってアカデミア・カランから近いはずだけど……まさか、私を待ってた?」


「残念、今回は妹を連れて遊びに来ただけさ。」


後ろから顔を覗かせたのは、興味津々でリュミエールを見つめる少女――ガルドの妹、ミリナ。


「まさか……出ないの? 試合に!」


リュミエールは思わず声を上げた。


「ははは、遅かったな。俺、もう卒業してるんだよ。」


「ええ~……」


リュミエールは少し寂しそうに口を尖らせた。




陸虚は、逃げ出したはいいものの――どこに身を隠すべきか迷っていた。


「……学院は校長に止められてるし、家に帰るのもダメだな。どう考えても捕まるだけだし……魔法使いギルド? いや、それも危ないか?」


考え込んでいたその時――


ドンッ!


「……ぐっ」


思いきり人にぶつかってしまった。


深くかぶったフードの影で相手の顔は見えなかったが、目の前のシルエット――


(……こっちは山脈と……こっちは平原……マジか……)


冷や汗が背中をつたう中、陸虚はすぐさま低い声で謝った。


「す、すみません、通りますね……!」


そのまま立ち去ろうとした瞬間――


「……どこへ行くつもりですか、陸先生?」


鋭く冷たい声とともに、彼の腕をがっしりと掴む手。


「ちょ、ちょっと人違いじゃ――」


「うわあああああん! やっぱりダーリンだった〜っ!」


隣から聞き慣れたハイテンションボイスが飛んできた。


アラセリアが嬉しそうに叫ぶ。


「シオンちゃんの方法、大成功ね♡」


陸虚が顔をしかめて視線を向けると、シオンの手の中にはきらきらと光を放つ純陽符。


陸虚は乾いた声でつぶやく。


「やあ……偶然だね、シオンじゃないか、ここで会うなんて……」


アラセリアが嬉しそうに陸虚に飛びつく。


「ダーリン、やっと会えたわ〜!」


「ちょっ……やめっ……!」


陸虚が慌ててアラセリアを引きはがすと、その隣で――


ピキピキピキ……ッ


シオンの額に青筋が浮かび上がっていた。


「陸虚。……最後に何か遺言はあるかしら?」


「え? ちょっと待て、シオン、誤解だ、話せば――」


「ふうん……やったこともないのに、“違う”って言えるんだ?」


「……僕、何したんだっけ!?」


顔を真っ赤にして睨んでくるシオンに、陸虚は完全にパニック状態。


そして、その隣にいるやけに目を逸らしてるアラセリアをじっと見つめ――


「……お前、なに吹き込んだんだよ……!」


ムギュッ!


「いだだだだっ! ごめんなさいごめんなさい! シオンちゃんがあまりにも可愛くて、ちょっとからかっただけなのぉ!」


アラセリアが両手を合わせて必死の謝罪モード。


「だって、ダーリンがライフタリンの道を教えてくれなかったし、こうするしかなかったのよ……」


「まったく……後でな。」


ため息まじりに陸虚が手を離すと、アラセリアは頬を押さえてふくれっ面。


そのやり取りを見ていたシオンも、ようやく事情を理解したらしく――


「……まぁ、今回はアラセリアの悪ふざけってことで、許してあげるわよ。でも……」


少し顔を赤らめながら、唇を尖らせて陸虚を睨む。


「……全部あなたが悪いのよ!なんでまた一人で乱暴するの?エルフの領域に通ったのに、私のこと、全然見に来てくれない?」


「……はは、ごめんなさい、ごめんなさい、全部僕が悪かったよ。大人気ない真似してすみません、シオン様……」


「ふん。……今回だけだからね。次は許さないんだから。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ