プロローグ
仙人になるって、一体どういう道のりなんだろう?
まあ、流派によって違うとか、伝承がバラバラとか、いろいろあるらしい。
だけど、どんな道を選ぶにしても、すべての始まりは――「煉気」だ。
気というものを体に取り込んで、それを霊力に変えて丹田にため込む。
そして、その霊力をぎゅっと圧縮して、まるで小さな丹みたいなものを作る。
これが、いわゆる「金丹」ってやつだ。
でもね、この金丹を作るだけじゃ仙にはなれない。
そこから更に霊力の質も量も磨き上げて、極限まで高めたとき――
やっと、仙の世界がちらっと顔を見せるんだとか。
で、その最後の関門がまたエグい。「天劫」っていうんだけど、
九十九回もの雷がドカドカ落ちてくるわ、天の外から魔物が襲ってくるわ、
精神は幻に惑わされるわで……普通ならそこで終わる。
だって、ちょっとでも気を抜けば即アウト。命がいくつあっても足りない。
それを全部乗り越えた者だけが、「仙」になれるってわけ。
――そんなとんでもない道を目指す修行者たちは、「方士」と呼ばれている。
昔々、ごくわずかな方士たちが本当に仙人になって、上の世界に行ったらしい。
彼らはその修行法を弟子に伝え、それが今の宗派につながっているわけだ。
そして、今も秦という国では、たくさんの方士が自分の流派で日々修行している。
……僕、「陸虚」も、その中の一人にすぎなかった――
異世界に飛ばされるまでは、だけどね。
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