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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なろうラジオ大賞6 応募短編集

幽閉悪役令嬢からのSOS紙飛行機

作者: 青帯


「ヒルダにそっくり」


 中村(なかむら)(あかね)は眉をひそめた。


 高校の靴箱から取り出したローファーに紙屑。

 地味な嫌がらせでも気分は悪い。


 犯人はクラスメイトの鈴木(すずき)(あや)

 陰険ぶりは乙女ゲーム『プリンス学園』の悪役令嬢ヒルダにそっくりだ。


 それなら『プリンス学園』でストレス解消しよう。

 帰宅するとTVとゲーム機の電源を入れてコントローラーを握った。


 お気に入りの攻略対象はヒュー。

 一学年下のかわいい系美少年。

 王子であることを隠して学園に通っていて、ヒロインと一緒にヒルダに虐められたり殺されそうになったりする。

 だけどその困難を乗り越えて結ばれるラストは感動的。


 しかも追加コンテンツではヒルダを処刑に追い込める。

 残酷だがゲームだから問題ない。


 そこからスタートした。

 ヒルダが幽閉されている塔に行って遺書を書くための紙とペンを渡す。


 すると、ヒルダが遺書用の紙を紙飛行機にして塔の窓から飛ばした。


 その直後、茜とTVの間を本物の紙飛行機が通り過ぎた。

 部屋の窓から入って来たらしい。

 文字が書かれている。


『茜へ。SOS』


 誰の悪戯(いたずら)なのか確かめようと、貯水池に面した窓の外を眺めた。


「ええっ!?」


 池の上空の一部が波紋のように脈打ち、紙飛行機が飛び出してきた。


 キャッチした紙飛行機を見てさらに驚いた。


『私は鈴木彩。気が付くとヒルダになって幽閉されていたの』


 鈴木彩が、悪役令嬢転生した?

 しかもあの波紋の先はゲームの世界らしい。

 

 さらにゲーム画面でヒルダの投げた紙飛行機が波紋から飛んできた。


『もうすぐ処刑されちゃう! お願い! 助けて!』


 あいつは嫌い。

 助けたくない。


 でも――。


 茜は紙飛行機に、助ける条件を書いて飛ばした。


 そして物置から持ってきたロープとフックで鍵縄を作った。


 鍵縄を振り回して池の上空に飛ばすと、先側が波紋の向こうに消えた。


 ゲーム画面の窓に鍵縄が引っ掛かっている。


 少しして池の上空にロープに掴まった鈴木彩が現れた。

 ヒルダではなくなっているようだ。


 だがもう一人ロープに掴まっていて、そちらはゲームのキャラだ。


 ブツリ。

 二人の重さに耐えきれずにロープが切れてしまった。


 急いで向かうと池から這い出した二人が荒い息をしていた。


「ふふ。助けてあげる条件、守ったみたいね。彩」


「え、ええ。茜の紙飛行機に書いてあった通り、何とか連れてきたわ」


「ここ、どこ?」


 連れて来られた美少年がずぶ濡れできょとんとしている。


 やったー♪ ヒュー君ゲット♪

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― 新着の感想 ―
知人の命を助けて、なおかつ理想の男子もゲット。 主人公の頭のよさが光りますね。
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