5)ナーシャさんとニーシャちゃんの探し物 ~ ボクに、毎朝、お味噌汁を作ってください
ホッキョクギツネのナーシャは、探し物が得意。
そのナーシャの元に、かわいい子ぎつねニーシャちゃんが、やって来ました。
恋人に貰った大切な指輪を探してほしい。
そんなお願いに、ナーシャは、『 探し物 眼鏡 』を使ってこたえます。
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
例えば、ある美しいメスキツネ『タマモ』は、流れる星に9本の尾を願い、美女に変化して王様と結婚したといいます。
また、ある麗しい白銀のオスキツネ『クラマ』は、流れる星に魔界への転生を祈り、植物を武器に変え、バラを持って戦う赤髪の少年に転生したといいます。
キラキラと流れるお星さま。
今日もまた、キツネたちの願いをかなえてくれるのでしょうか?
★彡
ホッキョクギツネのナーシャは、探し物が得意です。
ある冬の夜のことです。ナーシャの元に、かわいい子ぎつねニーシャちゃんが、やって来ました。
恋人から貰った指輪が見つかりません。
ボクに、毎朝お味噌汁を作ってくださいって
貰った大切な指輪です。
どうか見つけてくれませんか?
うるうると、瞳をうるませるニーシャちゃんを見て、思わず息をのんでしまったナーシャは、さっそくメガネをかけました。無くした物の行方を探し出す『 探し物 眼鏡 』。おばあちゃんから譲り受けた大切な秘密道具です。
メガネをかけると、レンズの片隅に赤く光る何かが見えました。
あっ、そこっ。
ナーシャの人差し指がさした先…。それは、ふかふかのニーシャちゃんの尻尾でした。
なんということでしょう。とても かわいらしい指輪が、ニーシャちゃんの尻尾の毛に絡みついているではありませんか。
大切な指輪が見つかって、うれしそうなニーシャちゃん。
あぁ、ありがとうございます。
ほんとに、よかった。
ちょっと、乱れてしまった尻尾の毛を 左手で つくろいながら、ナーシャに 礼を言います。
いいなぁ。幸せそうで。
恋人の居ないナーシャは、うらやましそうにニーシャちゃんを見ました。
チクリと胸が痛みます。
少し、自己嫌悪しながら、胸の痛みを誤魔化すように ナーシャは、空を見上げました。
その時です。冬空にキラキラの お星さまが、ピューッと流れていきます。
☆彡 あっ、流れ星っ。
2人は、ほとんど同時に両手の指を顔の前で組みました。
ニーシャちゃんは、流れるお星さまに祈ります。
愛しいあの人が、早く帰ってきますように。
ナーシャも、流れるお星さまに祈ります。
素敵な彼が、出来ますように。
★彡
北極に住む白いキツネたちの間には、こんな伝説があります。
冬の夜に流れる星に祈ると願い事が叶う
夜空には、今日も星が流れます。お星さまは、かわいい2人の願い事を きっと かなえてくれることでしょう。
文字数(空白・改行含まない):1000字
こちらは、「冬の童話祭2022」のテーマ『流れ星』と「冬の童話祭2021」のテーマ『さがしもの』に、『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』のキーワード『お味噌汁』をタイトルに挿入した超短編小説です。
感想で、短編の合本を希望されるものがございましたので、1つにまとめました。蛇足などを加えております。