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御子神は語る。流れ星のお話。  作者: 倉木英知
流れ星
9/10

それは…。彗星から切り離された残骸。若しくは生命から切り離された魂。


「流れ星は…。古い言い伝えにしても、科学で解明されたにしても、死んでいますよ。」


「どうして…。」

飯島の言葉は燃え尽きているかの様に唇から零れる。


御子神は無邪気に言葉を置く。

「古い言い伝えでは死者の魂。生命から切り離されたモノ。科学で解明されたのは塵。彗星から零れ落ちたモノ。」


御子神は人差し指を唇に添えた。


「双子座流星群の母天体はファエトン。かつては彗星として生きていた小惑星…。流れ星は、その彗星から吹き出た塵…。あっ…。そういえば…。彗星は…。」


「彗星は?」


「彗星は英語でコメット…。」

御子神は人差し指で空間にCometと文字を描く


「コメット…。」


「そうです。コメットですね。」

そう言うと御子神はー。

人差し指で、ある方向を指す。


飯島の視線はー。

御子神の指先に誘導された。


瞳に映されたのはー。

御子神から切り離された【髪】だった。


「あっ。コメットの語源はギリシャ語の【長い髪】ですよ。」

ーと御子神は告げる。


飯島は…。

床に散乱している黒髪を凝視していた。


あんなにも艶々としていた黒髪はー。

あんなにもキラキラと光を反射していた黒髪はー。

あんなにも生き生きとしていた黒髪はー。

水分を蒸発されたかの様に乾涸(ひから)びて視える。

切り離されてー。

その光沢を失い…。

朽ちている。

其処彼処(そこかしこ)に転がるのはー。

生命から切り離された残骸。


それはー。

途端に無気味に見えていく…。


【あぁ…。切り離されると…。死ぬんだな…。】

飯島はー。

心の中で…。

そう呟いた。



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