夜空に漂う
「流れ星に願い事をすると叶う。この言葉。先程の伝承や言い伝えを嵌め込むと…。神様が地上を見渡す時に天国のドームが開かれる。そのドームが開く際に、流れ星が現れる。流れ星が消えない内に願い事をすると、神様が叶えてくれる。又は流れ星は死者の魂である。その死者の魂は天国に到達する事を願っている。流れ星を見た人は、その死者の魂が安らかに眠れる様に祈りを捧げる。死者の魂に祈りを捧げると死者の魂は天国に到達すると云う願いが叶う。と云う事になりますよね?でも、面白いですよね?流れ星に願い事をすると叶う。と云う意味自体は間違ってはいないですよね?ね?」
御子神は興奮気味に言葉を紡ぎー。
「それでも。私には、浪漫を感じないのですよぉ。まぁ。それには理由がありまして…。家庭教師の先生の言葉が頭から離れなくなっているからです。」
と言った。
「家庭教師の先生?」
「はい。その先生は、こう言っていましたね。」
御子神は人差し指を立てー。
「夜空に漂う流れ星は綺麗だな。でもなぁ…。どちらにしろ死んでいるからなぁ…。と…。」
溜息混じりの声を発した。
「それは…。どういう事なの?死んでいるって?」
飯島はー。
御子神の言葉の世界から逃げる事が出来なくなっていた。
「そうですねぇ。そもそも死んでいますから…。」
御子神は、そう呟きー。
「そう表現するのも、少し違うのかも知れませんね。つまりは生命から切り離された残骸…。そう表現するのが適切なのかも知れませんね。」
と続ける。
「死んでいる…。残骸…。」
御子神の言葉を聞いた飯島はー。
少し困惑した表情で言葉を並べたのだった。