流れ星に願い事をする
「あ。神様で思い出しました。流れ星に願い事をするとその願いが叶う。この言葉は、広く浸透していますよね?。でも、不思議と...。その由来はハッキリと分かっていないのです。」
御子神は、また飯島が予想をしていなかった言葉を並べた。
「えっ?そうなの?」
飯島は、御子神の雰囲気に当てられたのか、呑まれたのか、また単調な言葉を並べている。
「はい。そうなのですよ。でも。でもです。」
御子神はキラキラとした瞳で、飯島を見つめー。
「有力とされている説はありますよぉ。聞きたいですか?聞きたいですよね?」
ーと甘えた声を響かせた。
飯島は鏡越しに頷く。
御子神はー。
その飯島の反応を見てからー。
言葉をまた並べたのだった。
「基督教。カトリックの伝承です。神様が地上の世界を見守る際に天国のドームを開くのです。その天国のドームが開く時に、流れ星が流れる。星が瞬いている最中に、天国のドームが閉まる前に願い事をすれば、神様が願い事を聞いて叶えてくれる。この伝承が由来なのではと考えられています。まぁ。星に願うのではなく、神様に願う事になっていますけれどもね…。」
御子神は人差し指を唇にあてる。
「あっ…。そういえば、カトリックには、流れ星は死者の魂だと云う教えもありましたねぇ…。」
「死者の魂?」
「そう。死者の魂ですね。天国にも地獄にも行けない死者の魂は煉獄にて罪を償う。煉獄とは天国へと到達する為に、罪を浄化する期間を指しますね。その死者の魂は、誰か流れ星を見た人が祈りを捧げてくれる事により救われるようになるのだそうです。その祈りとは…。流れ星が消えるまでに『Rest In Peace』と3回唱える事…。」
御子神はー。
右手の親指、人差し指、中指を立てた。
「流れ星が消える前に3回願い事をすると叶う。」
星の瞬きの様にキラキラと瞳を輝かせた御子神はー。
「どうです?少しは近づきましたかね?」
そう言ってー。
無邪気に笑った。