罰ゲームと生徒会長
「好きです、付き合ってください」
ここは学校屋上。目の前にはあの真面目と有名な生徒会長館凪光彦がいる。そして、この最悪の罰ゲームを私に実行させた私の悪友はずっと後ろから応援してくる。
恥ずかしい、死にたい。
事は昨日に遡る。いつもの帰り道私はその悪友見川綾音ととある賭けをしていた。
「今回の中間どうだった?」
「いや、いつもよりは頑張れたかも」
「忘れてないよね、この中間で勝った方が負けた方になんでも言うことを一つ聞かせられるってやつ!」
「...それ、ほんとにするの??」
「もちろん、罰ゲームありきじゃなきゃ私達本気出さないじゃん!?」
「いや、むしろ私達にとってはそれが普通じゃん」
「三年なんだし、大学には行きたいっしょ」
「うわ〜、また無茶言ってるよ」
私達はギャル?どっちかというと不良グループに入る方である。タバコも余裕で吸う。まぁあんまり人を近付かせないというか近付いてこない側だ。
尻軽女だと思って変なチャラい男はよく寄ってくるんだけど、この悪友綾音はめっちゃ喧嘩が強くって私がやばいやつに絡まれてもすぐ助けてくれるイケメンなので困る事がない。
だが、そう一つだけ困ったことがあるとしたら、この親友たまに無茶ぶりを強いてくるのだ。だから、内心こんな約束をしてくる笑顔の綾音がもう怖いったらありゃしなかった。
あと、勉強したって言っても一日一時間続いたらいい方だったので、ちょっと自信ないのもある。
私は、手提げカバンの中からある一枚のプリントを出す。これが、中間の全得点が記載されている紙だ。
「じゃあ、行くよ、せーの」
そう言って、私達は裏向けていた紙を表にし、トータルの点数が書かれているところを見る。
私は三一二点、綾音は驚異の四五〇点。完敗、完全に私の負けだ。私はガクッと体が落ちる。
「ま、負けた....」
「ヒャッホー!ひゃっ、ひゃっひゃっ!ふぉぉぉぁふぉふぉおおおおおおおイェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェイ」
綾音は機械が壊れたかのように奇声音を流し続け、私がビクッと体を震わせると、綾音はものすご〜い悪い顔で私をじっと見てくる。悪い予感しかしない。
「ねぇ、やっぱりやめにしない?めっちゃ怖いんですけど!!?」
「いや、男に、いや女に二言はなしだろ」
肩をポンポンと叩かれる。とてもめっちゃめっちゃ怖い。
「や、やだぁ、やだやだやだやだ」
「大丈夫、椎名にならできる。頑張れる。そう、私が課す椎名への罰ゲームは、......」
そして、今に至る。
「頑張れ!椎名、頑張れ!椎名、頑張れ!椎名、頑張れ!椎名」
おんなじテンポでずっと綾音は私達に聞こえる声でずっと応援して、いや煽りに来てる。こんなBGM流されたら、自然に告白なんてできないよ。恥ずかしさの方が勝っちゃうって。
私はもう自分でもよく分からないくらい頭が熱くなって頬が熱くなって、全身が熱い!!
フラれるのものだと思ってるから呼び出す時まで、平静でいられたのに...。なんでついてきちゃったかな?絶対悪い顔してるよ、綾音め!
対する館凪は私が告白して、ずっと黙ったままだからなんか顔を上に上げづらいし、今ずっと下の地面見てるから平衡感覚おかしくなりそう。
そして、ずっと下を向いているとなぜか地面ではなく館凪の顔が映りこんできて、私はうわぁっと後ろに後ずさった。
彼は、しゃがんで私と目線を合わせようとしてくれたみたい。そんなことしなくていいから何とか言ってフルなら早くフッてくれないかな。
私の事なんて今日初めて話したばっかだし興味なんてないでしょ。だか
「うん、いいよ。付き合おうか?」
「そうだよね、私みたいな不良が、ってえ?......え!?ええ???」
私は当然フラれるものだと思っていたから予想の斜め上をいかれてものすごく戸惑った。
「え、何?付き合わないの??」
「え、えっと、私、あのえっと...」
「好きなんでしょ、僕のこと?」
「いや、それはまぁ、はい?」
「良かった〜。僕も、雪白さんのこと気になってたし僕なんかで良ければ付き合おうよ」
あ、アカン。この人良い人すぎるよ。あと純粋すぎる。私には眩しすぎるよ。
こんな裏表ない目で見つめられたら私、後ろめたくってまともに顔見れないって。
だから、ちゃんと言おう。これ罰ゲームなんだって。私の罪悪感があるうちに!
「ご、ごめんなさい!本当はこれ友達との罰ゲームだったから、だから、その...」
「...じゃあ、僕の事嫌い?」
「いや、そういうわけでは。でも、全然お互いのこと知らないでしょ、だから」
「うーん、そうだね、確かに僕は、雪白さんが毎日ここに来てタバコ吸ってることとか、あんまり勉強ができなくて落ち込んだこととか、この罰ゲームを見川さんが計画したことぐらいしか知らないけど」
「めっちゃ知ってるじゃん、めっちゃ知ってるんじゃん」
「僕はそんな雪白さんに多分好意を持ってる。タバコは体に良くないからやめてほしいけどね」
なんだこの人、なんでこんなに私のこと知ってるんだ?そんなの、私の事気にして見ないと......。
「だから言ったでしょ、僕は雪白さんのことを気になってるし好意を持ってるんだよ。僕で良ければ付き合ってくれないかな」
館凪は真剣に私の目を見つめそう言った。私から告白するはずだったのに、これじゃ、逆告白だ。
私は全身の熱は全く冷めてくれなくって、変な汗も流れてきて、恥ずかしさと驚きが入り混じって、ごちゃごちゃになって、
「お、お願いします」
気付けばそんな言葉を口にしていた。私の熱は冷めてくれそうにない。
私はまともに彼の顔が見れなかったが、彼は私にありがとうと言ってくれた。
「ただし、タバコは見逃せない。これは没収だから」
そう言って私のポケットに入っていたタバコは知らず知らずのうちに取り上げられていて、体の熱が一瞬で冷めちょっと言い合いになった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「いや〜よろしいですなよろしいですな」
私、見川綾音はずっと後ろから椎名の応援をしながら様子を観察し続けていた。
あれはいつだったか?なんか、会長が慌てて、面白そうだなーと思って突っ込んで行ったらなんか会長が椎名のこと好きーみたいな話を遠くから聞いて、直接話聞いてみたら本当にマジっぽくて、なんか笑えるから手を貸そうかなって言う話なったんだよな〜。
中間の時、裏で勉強教えてくたのはマジ感謝しかないわ〜。
でも、今はちょっと悲しいんだよな。なんか私の手の中にいた赤子が育って巣立っていくような感じがして、嬉しいような悲しいような。やっぱ寂しいわ。
よし。まだ、完全に会長に椎名は渡さないことにしよう。そうしよう。
良い雰囲気の所申し訳なさも少しはあるが、私が乱入したって誰にも文句は言われないはずだ。
「私も混ぜてよ〜」
私は二人が言い合っている中に割り込んで私は思いっきり二人に抱きついた。
「え、なにごと!?」
「...見川さん?」
椎名は、ビクッとハムスターみたいに体が震えて(かわいい)、会長も小動物のように小さく驚いた(かわいい)。
私の周りには面白いが沢山あってほんと、退屈しないなこの生活。
これからも短編集的に出すかも....。
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