カップリング
「なぁ、最近あいつら熱くね」
こいつは鏡裕人。私の幼馴染である。恋人とかじゃなく、ただのくされ縁である。そして、こいつの趣味はカップリング。誰と誰がくっつきそうとか付き合うそうとかそういうカップルを探すのが趣味なのだ。
私からは絶対言わないが、こういうのは女子がするものだと思う。
「そうかな?私には分からないんだけど」
そして、こいつは逐一それを私に報告してくる。それを聞くのも私の日常化している。
こんなに近くにいるのに、私の気持ちも気付かないで、こいつは他人の恋愛事情ばっかり気にしてる。こんなこいつを嫌いになれないでいる自分も腹立たしく、でもやっぱり離れられないで苦しい。
「他人ばっか気にしてないで近くにいる私の気持ちを察してよ!」
って言えたらいいんだけど、私にはそれを言う決心も覚悟も勇気もない。それでこの関係がなくなるのを恐れているからだ。
「高校入学したばっかなのに、進んでるとこは進んでるんだな」
こいつは私の気持ちも知らないで腕を組んで感心していた。
だから、小学生から一緒の私はどうなんだよーって一言言ってやりたいけどやっぱり口には出せない。
「私にはそういうのわからないよ」
「まぁ、優香にはわからないかもしれないけど面白いんだよ、あぁいうの見るの」
と裕人は言う。
そんなに他人の恋愛事情が分かるなら私の気持ちも察せ。そして、告ってよ。
私からは無理だと思うから。
「本当にくっつくのかな?前は当ててたけど」
「俺の腕は多分鈍ってない。名推理聞きたい?」
「いや、やめとく。長そう」
「っても入学したばっかりだし、俺も分からんけど」
「いや、分からないんかーい」
思わずツッコんでしまった。いっつもこれだ。調子乗ったこと言って私のツッコミを待つ。もう、色々ありすぎて手一杯だよ、私は。
「いや〜、ツッコミ助かるわ〜」
「もうしてあげないよ」
「それは困る。ツッコミがないボケなんてただのボケじゃん。ただ俺が頭おかしいだけ、みたいな?」
「おかしいんだよ、裕人が」
趣味がカップリングなのもおかしいし、突然ボケてくるのもおかしいし、こんなにいて私の気持ち察しってもらえないのもおかしい。
「ずっと頼りにしてるぜ、優香」
「あぁ、くされ縁。切りたい」
「そんな、冷たい...」
もちろん、そんな感情、面に出すつもりないけど。私の頬は少し緩んでいた。
予鈴のチャイムが鳴る。今日もこんな気持ちで迎えないとダメなのか。ハァーっと私は大きなため息をついた。
****************
突然だが、俺はちょっと好いてるやつがいる。彼女の名前は大猫優香。小学校の時からの幼馴染で、もう九年間を一緒に過ごしている。
自分の気持ちに気付いたのは中一の時だが、そこから「好き」と一度も言えず、高校生になってしまった。弱々メンタルの俺は付き合えないと言われるのが怖くて全く言い出せなかった。
中一の時から始めたカップルリング探しは俺の趣味となりつつあり、俺は優香にその話を広げ自然に好きだと言える機会を探しているが、なかなかそんな機会はお目にかかれない。
一番奥の列の後ろの方、また俺はカップルになりそうな男女を発見した。二人は、俺もあんな風に自分からぐいぐい行ける日が来るのだろうかと思うぐらい眩しいやりとりをしていた。
「なぁ、最近あいつら熱くね」
俺はちょこんと隣で座っている優香に話しかけた。
「そうかな?私には分からないんだけど」
優香は俺の方に向き直してそう言った。頬が日に当たって赤くなっている気がする。かわいい。
俺はちょっとまともに優香の方を見れなくなりながら、話を続けた。
「高校入学したばっかなのに、進んでるとこは進んでるんだな」
俺達の仲はこれ以上深まることはあるんだろうか。いつかなんて言ってたら永遠に来ない気がする。好きの二文字も言えない僕は立ち止まったままだ。
「私にはそういうのわからないよ」
と、優香は言う。やっぱり俺は脈なしなのか。
「まぁ、優香にはわからないかもしれないけど面白いんだよ、あぁいうの見るの」
別にこういうこと言いたい訳じゃない。でも、察してほしい。俺は優香のこと好きだからその気持ちを理解してほしい。
「本当にくっつくのかな?前は当ててたけど」
俺は前に何度かこれからくるって言うカップルを言い当てていた。優香はそれを言っている。
あのカップルはどう考えても次くる。入学したばっかりだし直感だけども。
「俺の腕は多分鈍ってない。名推理聞きたい?」
「いや、やめとく。長そう」
「っても入学したばっかりだし、俺も分からんけど」
「いや、分からないんかーい」
見事なツッコミが入る。やっぱ、好きだよ、俺。少し話し込んで、ツッコミのありがたさとか言っていたらもうすぐチャイムが鳴りそう。
僕達が、話せる時間は終わろうとしている。
「ずっと頼りにしてるぜ、優香」
ずっとこれからも付き合っていきたいと思う。
「あぁ、くされ縁。切りたい」
優香は小さく笑って冗談のようにそう言う。もし、本当に切られたら俺死ぬからなとか思いつつ、
「そんな、冷たい...」
俺も冗談っぽく笑ってそう言ってやった。
こんばんは、里道アルトです!今でさえ多い連載用ですが楽しんでいただけると幸いです。実は、「モブは普通の〈モブらしい〉生活を送れない」という作品の、まだ作品に出てこないあるいは、今後も出す予定がないけど出したい恋愛ものを書こうと考え、書き出したのですが、これ自体で作品が投稿出来そうな気がしたので、連載として頑張っていきまう!!毎日投稿はしないかもです。
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