6話 襲撃者は時を待たない
時というものはすぐに流れるもので、あっという間に放課後になった。
そして俺は今、図書室で勉強をしている。
詩織の護衛を引き受けて良かったことの一つがこれだ。魔物狩りをしなくて済む分、勉強時間が増える。
まあ魔物狩りより仕事はキツいし死亡率もめっちゃ高いし二十四時間労働だしでクソブラックなのは間違いないが。
それはそれとして暇なんだよな、正直。
テニス部は終わるのめっちゃ遅いからな。
いっそ俺もなんか部活入ろうかな。いや、さすがにそれは駄目だな。護衛任務に支障が出る。
まあいい。とにかく勉強だ。
そう考えて三十分勉強していると、太一がこちらにやってきた。
「お、勉強? 精が出てるね」
「……お前、部活はどうしたんだよ」
「やる気でなかったからサボったよ」
「お前、真面目そうに見えて普通に不真面目だよな」
「それほどでも」
「褒めてねーよ」
まったく、こいつといい詩織といい、本当に話していて疲れる。
「今心の中で失礼なこと考えてなかった?」
なんで分かるんだこいつ。エスパーか?
「いや、思ってないぞ」
「そうかい、ならいいけどね。あ、そうだ。僕は君に伝言があったんだった」
「伝言? 誰からだ?」
「詩織さんからだよ。8時半ぐらいまで部活長引きそうだからそこまで待っててだってさ」
「……嘘だろ」
「……ドンマイ。僕も勉強付き合ってやるから頑張って耐え抜こう」
「おー……」
それから数時間後、俺達はなんとか四時間半勉強したりバスケしたりして耐え抜いた。
「ようやくか……。おい、太一起きろ! さっさと詩織迎えに行くぞ!」
「うーん……後五分……」
……叩き起すか。
俺は太一の頭を軽く殴ると太一は跳ね起きた。
「ハッ! ……ごめん寝ぼけてた」
「別に謝る必要はねえよ。それよりさっさと行くぞ」
俺はそう言うと荷物を持って図書室を出る。
「うん。って行くの速! ちょっと待ってよ……。優平君って割とせっかちだよね」
「すまん、少し速度落とす」
そうして俺達は詩織と待ち合わせをする予定の玄関に着いた。
「詩織さんはまだ来ていないみたいだね」
「そうだな。まあ気長に待つぞ」
それから二十分間待ったが、詩織はとうとう玄関に来ることはなかった。
GPSも確認したが、教室で落としたのかずっと校舎内にいることになっていた。
ラインで十分前くらいに部活が終わったと連絡はあったが、それ以降の返事はない。
……なんだろう、凄く嫌な予感がするな、こりゃ。
「すまん太一。ちょっと探しに行ってくるから待っててくれ」
「あ、うん。もし詩織さんが来たらラ◯ンするよ」
「よろしく頼む」
そう俺は太一に礼を言うと、テニス部の部室周辺を見て回る。
だが、やはり詩織はどこにもいない。
「まさかここで襲われたんじゃないよな……? この学校結構セキュリティもちゃんとしてるからそうそう外部の人間は入れないはずなんだが」
俺はそう独り言を呟く。そして、今度は念の為GPS反応があった校舎内を見て回ろうとした。
その時、三階から突然ガラスが割れ、中から氷柱が飛び出して来た。
「……そこか」
俺は死霊術で死体を階段のように積み上げ3階に一気に駆け上る。
そこでは、詩織と謎の赤髪の少女が戦闘をしていた。
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