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38話 一瞬だけの別れ

 俺達が考えた作戦は、地下から侵入して、バレないように詩織を救出して帰るという作戦だ。


 戦闘は正直避けたい。今後を考えると、倒して相手の戦力を下げた方がいいのかもしれない。ただ、それで俺達の中で誰かが死ぬこと。それは最も避けたい事態だ。


 真神は最悪死んでも問題ないが、本人曰く、死に戻りは連続で死ねば死ぬほど戻れる時間が短くなるらしい。そして最終的には死んで生き返ってが瞬間的に繰り返されるだけになると。


 佐山も、今度死んだらもう会えるかどうか分からないと言っていた。正直、今回詩織に会えたのは奇跡だと。


 詩織は死なないが、真神と同じように、詰みは存在する。深海に沈めるなりなんなりされれば、俺達が生きている間に再開することはなくなるだろう。


 そして俺と太一は、当然殺されれば死ぬ。いや、そもそも殺されても死なない女子三人がおかしいだけだが。


「一応こっちでも脱出しようとはしてみてるけど、正直厳しいね……。ごめん、結局足引っ張っちゃって」


「くどい! 貴様のあの時取った行動は最善だった。それで終わりだ!」


「う、うん。ごめん、もう弱音は吐かないよ」


 正直、真神も若干引きずっている気もしなくもないが、俺は黙っておいた。実際問題として詩織は戦犯ではない。


 「詩織、お前は瞑想でもしとけ。あの警備じゃ単独で逃げんのは無理だ。脱出中に戦闘になる確率高いしその方がいい」


「うん、分かった。素直に瞑想して大人しくしてるよ」


「よし、それじゃ後は俺達に任せとけ」


 俺がそう言った瞬間、ぬいぐるみから声が聞こえなくなった。どうやら壊れて接続が切れたらしい。


「これ、僕が修復しようか?」


 太一は首を傾げながらそう聞く。


「無理だねー。壊れてるのはぬいぐるみの方じゃなくて詩織ちゃんの方の装置だから」


「そうなんだ。なら仕方ないね」


 太一は納得した表情を浮かべると、合点する。


「さて、詩織の前ではああ言ったが、実際のとこ相当厳しい作戦になることは間違いない。気を引き締めて行くぞ」


「あー、さすがの君達でも厳しいのねー」


「俺達をなんだと思ってんだよ。ただの一介の高校生だぞ」


「君が言うと全く説得力ないねー。あ、そういえばいつ作戦実行するの?」


「……父さんが仕事で生放送をアメリカでする時に実行するよ。つまり三日後の夜だね」


 太一は多少暗い顔をしながらそう答える。やはり父親に逆らうのは気が引けるらしい。


「それまではいつも通り生活すりゃいい。学校行くとかな。で、俺が夜にトンネル掘っとくから」


「なるほど、下手に相手に動きを悟られないようにだね」


「正直、太一が裏切ってる時点で多少動きがあるのはバレてるだろうが、やらないに越したことはないからな」


 俺はそう言うと、スコップを取り出す。


「え、まさかそのスコップで掘るつもり?」


「いや、さすがにそれはねえよ。魔法で土ふっ飛ばしながら、死体で穴の補強とか空気送りながらやるつもりだ」


「なるほどね。でもならなんでスコップ持ってるの?」


「雰囲気出ると思って」


「は?」



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