37話 会議という名のなにか
「で、何しに来たこの犯罪者共」
俺は怒り、二人と、ついでに太一を正座させる。
「なんで僕まで正座させられてるの……?」
「うるせえお前も不法侵入常習犯だろうが」
「まあまあ、そう固いこと言わずにさ」
「詩織、なに自分は関係ないみたいな感じで話してんだ。お前が一番不法侵入してんだろうが」
俺はそうぬいぐるみに言い放つと、今まで散々ノックなしで突撃されたことを思い出す。心臓に悪いから本当にやめてほしい。
「そうだっけ? それで要件なんだけど、良いニュースと悪いニュース、どっちから聞きたい?」
こいつ話逸したな。こうなったら不法侵入対策でもするか。ドアの近くにセンサーでも付けたりして。
「良いニュースからだ」
「オッケー。良いニュースは、私の居場所が特定できたって話。やっぱり会社の地価だったよ」
「なるほど。で、悪いニュースは?」
「この魔道具が壊れかかってるってニュース。つまり君は私と話せなくなるわけだ。最悪のニュースだね!」
詩織は挑発するような声で俺にそう言ってくる。
「なんだ、どっちも良いニュースじゃないか。ビビらせやがって」
「がーん。優平君がそこまで酷い人だとは思わなかったよ」
「クラスメイトの目の前でハサミを首に刺す奴よりかはマシだ」
「まだ根に持ってるの……?」
「持つわ。不死のこと知らなかった俺からしたらクラスメイトが突然自分の目の前で自殺したようにしか見えなかったからな」
あの時は正直、こいつがヤクで頭おかしくなったのかと思ったな。その考えはある意味当たってたわけだが。
「痴話喧嘩は他所でやれこのアホネクロマンサー! こっちは真剣なんだぞ!」
「いや詩織にも怒れよ! 大体真面目にやってる奴は人んちに不法侵入なんてしねえんだよ」
「さすがにこの私のせいで捕らえられてしまった者をアホと呼ぶのは気が引けたのでな」
「お前そういう忖度しないタイプだろ……今日は槍でも降るのか?」
こいつは本来誰であろうと悪事は許さないタイプの奴だと思っていたんだが、いつの間にか俺を罵倒する装置になってないか?
まあ、この様子だと詩織救出作戦は張り切ってくれそうだしそこはいいんだが。
「とにかく! 作戦会議しようよ!」
と、そこで太一がこの茶番を終わらせようと声を荒げる。
「そうだな……。まずは侵入方法から考えるか」
そうして、また侵入方法等を俺達は考えていくことになった。会議は大体五時間かかったのだろうか。終わった時は皆へとへとになっていた。
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