表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/40

28話 独断専行

「お、おい嘘だろ詩織……」


 俺は動揺を隠すことができなかった。また、詩織を敵の手に渡らせてしまった。しかも、目の前で。


 俺が悪い。俺が真神と議論などしないでスナイパーの存在に気づけていれば。そしてあの銃弾を止められていれば。


 詩織は今色々精神的に辛そうな時期だったから特に警戒していたというのにこのざまか。


いや、後悔するのは後だ。まずはここにいる敵全員ブチのめす。


「二人ともそこで待っててくれ」


 俺は死体の山から飛び出すと、死体で糸を作ると、振り子の要領で一気に加速していく。その間にも銃撃の音が聞こえるが、当たっていないのでなんの問題はない。


 そしてある程度加速した後は、死体に風魔法を使わせ空を飛び敵を探す。


 下を見ると、俺は恐らくさっき詩織を撃ったであろうスナイパーを見つける。相手は木の上にいて、こちらにはまだ気づいていない


「潰す」


 俺は背後に回り込み、一気に急接近し、鉄パイプを振るう。だが、さすがに途中で気づかれ、相手に銃でガードされてしまった。そこで俺は鉄パイプを手放すと、死体でトゲを作り敵に突き刺す。予備動作などない。威力は必要ないのだから。


 予想外の攻撃を受けた敵は木から落下する。さすがに人を殺す覚悟はまだできてないので、俺は敵を死体で包み、落下死しないようにする。


 続けてまた俺は空へ飛び上がると、再び敵を探し始める。


 すると、西側の方に敵が固まって行動しているのが見えた。その中には霊媒師を偽っていた男もいる。


 「固まってると厄介だな。散ってもらうか」

 

 俺はそう呟くと、死体を奴等目掛けて大量に落としていく。それは落ちると動き始め、奴等に襲いかかる。


 奴等が必死に銃を撃ったり魔法を使ったりしているのを見ながら俺は木の陰へと姿を隠す。


 奴等のうち半分は慌てているが、もう半分は冷静だ。しっかりと対処しつつ集団を乱さない。一筋縄ではいきそうもないな。


 俺はとりあえず集団からはぐれた哀れな子羊を二人ほど捻ると、隠れて様子を伺う。


 敵どもは恐らく俺を探しているのだろう。辺りを見回っている。


 いっそ死ぬこと覚悟で特攻するか。たくさん殺してきたんだ。自分だけ死にたくないなんて言う気はない。

 

 そこで俺が身を乗り出そうとした瞬間、後ろから何者かに引っ張られた。


「君、陽子さんに説教しておいて自分は一人で突っ込むのはないでしょ。詩織さんもだけど君達割と一人でなんでもできるタイプだからって単独行動しすぎだよ」


「太一てめえ、待ってろって言ったろ……。真神ほっとくと多分死体探し始めるぞ」


「いや、普通に大人しくしてるよ。というか凄い反省してたよ。自分が子供だったって」


 太一はため息をつき、「もう少し早く気づいて欲しかったけど」と呟いた。


「とにかく、君はもう少し落ち着こうか。動揺してるのは分かるけどこのまま勢いに任せてもいいことないよ。だから今は僕に合わせて」


「……お前戦えるのか? 雰囲気的にお前非戦闘員ってイメージなんだが」


「少なくとも君の足を引っ張ることはないよ。一応これでも詩織さんの護衛頼まれてたんだからね?」


 俺達がそう話しているうちに、敵達がこちらの近くを探し始めた。


「それじゃ、戦闘と行こうか」


 そう言う太一の姿は少し、輝いているように見えた。

よろしければ応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ