表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/40

12話 今日の世界は雨模様

「……お前、真神陽子か?」


「質問に質問で返していいなんて一言も言ってない。いいから質問に答えろ」


 どこかマッチョがたくさんいる漫画で聞いた台詞が聞こえてきた。


「……美味いと思ったことはない」


「そうか、そうか。じゃあ何故貴様は今も生きている?」 


「……分からない」


「ハッ! 無責任な奴め。まあいい、どの道貴様の人生は本日をもって終わるのだからな」


「……聞いてた通りマジで中二病患者だね」


 どうやら電話の内容が聞こえていたらしい。太一はそう感想を俺に言ってきた。


「今は頼むから黙れ太一」


 正直俺も少しそう思ったが、今は真面目な話をしているんだ。邪魔をしないでくれ。


「そうそう、貴様。私が真神陽子かと聞いたな。その質問に対する回答はイエスだ」


駄目だ、太一のせいで余計中二病っぽく聞こえてくる。


 俺は共感性羞恥で顔を若干赤くしながら真神の話を聞く。


「そうか。それで真神、俺になんのようだ。壺なら買わねえぞ」


「今日の夜十時、お前一人で鹿岩山に来い。警察に通報するならお前とお前の知り合いの家に火をつける」


 真神は俺のブラックジョークを完全にスルーして話し続けた。


「それと詩織にもだろ」


「ふん、もう状況が理解できてるようだな。だがあいにく彼女を拐かしたのには別の理由かあるのだよ。」


 そこで突然横から笑い声が聞こえてきた。どうやら太一が笑っているらしい。


「この状況で笑えるとか正気か?」


「いやだって真神さん面白いんだもん」  

 ……もうこいつは放っておこう。気にするだけ時間の無駄だ。


 俺は再び電話に顔を近づけると、真神に話しかける。


「不老不死になるのが目的なのか?」


「さあ、どうだろうな。貴様に答える義理はない。ただ一つ言えるのは、この女が無事に帰ってくることはないってことだ」


「そうか。最後に一つだけ質問いいか?」


「いいわけないだろう、と言いたいところだが特別に許可しよう。冥土の土産と言う奴だ」


「お前は魔物なのか?」


 俺がそう言った瞬間、電話が切れた音がした。どうやら図星らしい。


「あ、電話終わった? それじゃ早速警察に通報しようか」


「……お前電話の内容ちゃんと聞いてたか?」


「聞いてたよ。でも誘拐って大抵警察に電話した方がいいって聞くじゃん」 


「いつの話だそれ。今の時代警察は深刻な人手不足だぞ。今から通報しても間に合わねえし下手したら家焼かれるぞ」


 詩織の件で通報しても多分アウトだろうし、下手に真神を刺激するのは避けたい。

ここは太一を説得しよう。


「じゃあどうするのさ。まさか本当に一人で突っ込むと?」


「そのまさかだ。勝手についてくるなよ。これは俺の問題だ」


「はぁ……ここにも中二病患者いたよ」


「誰が中二病だよ」


「君だよ! これは俺の問題だとかギザっぽいこと言って! 自分一人で抱えんなこの中二病!」


 俺は思わず面食らった。太一がここまで声を荒げるとは思ってなかったからだ。


「だいたい君いつも僕達のことクラスメイト扱いじゃないか! 普通に友達だろ!」


「……すまん」


 俺は太一の剣幕に圧倒され、まともに返事ができなかった。

 

 「頼れる時は頼ってよ。僕にできることなら何でもするからさ」


「あ、ああ。すまん、それじゃあ詩織をお前は探してくれないか。さすがにお前と二人で真神に会うのはまずい」


「謝らなくていいんだよ、今回は。詩織さん探せばいいんだね。分かった、全力を尽くすよ」


「場所は多分八王子のどこかだ。それ以上は分からない。よく見えなかった」


「それで十分だよ。後は上手いこと魔法でどうにかする」


「……ありがとう」


「今なんか言った?」


「いや、何も」


よろしければ応援お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ