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異世界外伝〜陰キャな僕の恋物語〜  作者: ミコガミヒデカズ
序章 入学初日 〜不思議な先輩は絶世の美女〜
3/21

#3 外伝、陰キャの僕は、美人を前にしてキャラ変した

ありのまま、今起こった事を話すぜ…。

俺は無人の図書室に立っていたんだ。

古木も先生も出て行って無人となったこの部屋。

ほんのわずか…、ほんのわずか視線を手元のメモに移し

その後、図書室を見回したら…


先輩が、いたんだ…。


トリックだ、超能力だ、そんな物では決してねえ!

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。


♠️♦️♣️❤️♠️♦️♣️❤️♠️♦️♣️❤️


「え、えっと…、こんにちは…」

震える声がそれだけを伝える。

僕が必死になって絞り出した声だ。


目の前には絶世の美女がいる。

僕は息を飲む…。女子の制服のブレザー、

身に付けた首元のリボンは深緑の色…。

僕達一年生は濃紺…、二年生は真紅…、

三年生は深緑を学年カラーとしている。

この人は三年生…、先輩だ…。


透き通るような白い肌…、

古木も整った顔立ちをしている方だけど、

この先輩はそれを上回る…。

どうしたらこんな綺麗な人がいるんだろう…。

先輩の左手が…、細い指が新しいページをめくる。

その時の紙が擦れる僅かな音がやけに鮮やかに響く。

彼女の視線は本に並ぶ文字の羅列を離す事はない。

横に続く文字列に、ひらがなや漢字は見られない。

何処の国の言葉か分からないが、

外国書である事だけは僕にも分かる。


集中しているのか、僕に気付いていないのか、

彼女の視線が僕に向けられる事はない。

「…………………………」

沈黙が続く、ここに先輩がいないかのように。

音も無く、熱も無い、

図書室は風のない真冬の夜のようで。


【このままだと先輩は消えてしまうのではないか?】


僕は何故だかそう思った。そんな訳は無いのに。

融ける寸前の雪の様に、儚さを美しさに秘めて、

消えてしまうのではないか?

この美しい人は、消えてしまうのではないか?


恐ろしかった、何よりも恐ろしかった。

しかし、言葉が届いていないようで…、

息をする事さえ忘れた僕が、この人を失いたくないと

名前すら知らない先輩、とても綺麗な先輩、

もう一度だけ…。


「…その本、面白いですか?」

胸に溜めていた息を、思いを言葉に乗せた。

なんて気の利かない事を言ってしまったんだろう…。

でも、こんな綺麗な人に何て話しかけて良いかなんて

分からないよ…。


【住む世界が違うのかな…】


思わず諦めを覚えた時、彼女の視線が僕を捉える。

初めて…、初めて僕を見てくれた!

かすかに首を動かした事で彼女の背中まで伸ばした

まっすぐな銀色の髪の一部が肩からこぼれ落ちる。

さらさらと、音を立てるかのように。


「…ユニーク」

先輩がこちらに向けただけの視線が、

意志を持って僕を見始めた瞬間だった。



第三話、

時間にして約三十秒程度の間の物語です。

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