俺がずっと守るから
俺がずっとお前を守るからどこにも行くなよ。
俺は、東条京汰。高3。受験生で、勉強にはげんでいる。俺には、5個上の幼なじみがいる。名前は、春野まゆり。
勉強していると…。
「きょーちゃん!」
窓の外から声が聞こえる。あの声は…。
「なに?」
「今から、そっちに行っていい?」
「なんで?」
「話したいことがあるの。」
「別れた話は聞き飽きた。」
「え?」
「間違ってないだろ。」
「うん。行っていい?」
「俺、受験生。まゆ姉と話してる暇ねぇの。」
「お願い。聞いてくれるだけでいいの。」
「無理。」
「ひどいなー。」
まゆりは、付き合ってもいつもすぐに別れる。男を見る目無さ過ぎ。俺なら何でも知ってるから、大切にするのに。まゆりにとって俺は弟みたいな存在だから、俺の想いを伝えたところで、実らない。
「まゆ姉ってさ、男を見る目ないよな。」
「そんなことないよ。」
「いつも思ってたのと違ったって言うじゃん。」
「だってさ、そうなんだもん。」
「だから言ってんだろ。男見る目ねぇんだよ。」
「何が言いたいの?付き合ったこともないくせに、生意気なこと言わないで。」
「は?まゆ姉に何がわかんだよ。俺だってな、付き合ったことくらいあんだよ。でもな、誰も好きになれねぇんだよ。」
「え。どゆこと?」
「知らねぇよ。勝手にしろよ。」
「なんでそんなこというの。」
「好きなんだよ。」
「誰が?」
「俺の5個上で、茶髪で、身長が155cmで、いつもポニーテールで、男見る目ないやつ。」
「え?それって.........。」
「なに。」
「私?」
「そうだよ。」
「え、なんで?」
「なんでって言われても。」
まゆりは年下に興味ない。だから、俺のことなんて弟にしか思ってない。そんな俺が告白してきてめっちゃ戸惑ってる。可愛い。まゆりは、それから何も言わず、俺の部屋を出ていった。
あれから連絡がないまま1ヶ月が過ぎた。何をしてるんだろうか。意味がわからない。
そんなある日、ケータイがなった。
「もしもし?」
「もしもし京汰?」
「なに。」
「私ね、いろいろ考えたの。」
「うん。」
「それで、京汰が好きなんだって気づいたの。」
「何が言いたいわけ?」
「驚かないの?」
「薄々気づいてた。俺が高校生なってすぐくらいから、なんとなくだけど、気づいてたよ。」
「え。そんな前から。なんの取り柄もないけど、私と付き合ってください。」
「うん。ずっと待ってたんだよ。まゆりが自分の気持ち気づくの。遅すぎ。俺の彼女になった以上離さねぇから。覚悟しとけよ。」
何を考えたんだよ。俺と過ごした時間を思い出したり、考えたとしても、1ヶ月かからないだろ。そんなに何してたんだよ。
あれから、まゆりと付き合って5年が経った。俺は23になり、まゆりは28になり、結婚した。そして子供ができた。仲良く暮らしてる。
「ねぇ、ちょっと、今日、出かけるって言ったのに、どうして寝てるのよ。起きてよ。」
「なんだよ。知らねぇよ。」
「知らなくないわ。約束したわよ。」
「どこ行くんだよ。」
「付き合ってから初めて行った場所。」
「そんな約束した覚えねぇよ。」
そんなこんなで、今は、約束すっぽかして寝てる俺だけど、そんな俺のことも好きだって言ってくれるまゆりという妻がまきという娘がいて幸せだ。
まゆり、まき、これからも仲良く暮らそうな。
結婚したんだから死ぬまで一緒にいろよな。