第3話 パーティ
長らくおまたせしました
どうやら歓迎パーティの料理はそのまま昼食になるらしく、それなりの量の料理がテーブルに並んでいた
並べるときに床からテーブルが出てきたりテレポートしたり明らかに人間ではなくペット用の餌が並んでいたりするが、もう考えないことにした
博士なる人に「料理を作るロボットは作れないんですか」と聞いたら「そんな繊細なことできるロボット作るのなんて、大変じゃん」と言われた 部屋を飾り付けるために輪飾りや切り絵などを作っていたロボもいたし、絵を描いているロボもいたけど、料理は出来ないらしい
そんなこんなで歓迎パーティの準備は終わり、合流する予定の他メンバーを待つばかりとなった
「ところで、あと何人ぐらい集まるんですか?」
「そうだな…今いるのが5人、ここに2人と7匹ぐらいか? もうちょい来るかもしれんが」
「匹…? ペットですか?」
「まあそんなとこだ っと、来たぞ」
突如として壁のパイプや棚の隙間、テーブルの下などから猫が沢山現れた
「ここって猫飼ってたんですね というか今までこの部屋にいたんですか? 全然気づかなかったですよ」
「ん? こいつらはさっきまで別の場所にいたぞ? よしよし、相変わらず甘えん坊だなぁ」
「そこの弱いのが言う通り、我らは長に連れてこられたのだ」
他のメンバーの声とは明らかに違う低い声が聞こえた、気がする しかし声の聞こえた方向には猫しかいない
「珍妙な顔をしているが、猫が話すのが不思議なのか? まあ話す猫は奇妙か」
「…隊長、白猫撫でてないで目の前にいる猫又をどうにかしてください」
「尾が二本あるだけで妖怪扱いとな 弱いの、随分と変わった新人を連れてきたな」
「いやいや、妙に落ち着いていること以外は普通の反応だぞ? こっちは黒猫の宮助、んでこっちが新メンバーの黒峰幸助だ」
黒峰の疑問に一切答えることなくさらりと紹介を終えると、白猫を頭にのせた隊長は他の猫のところへと行ってしまった
「…まあ、あれがここの長であることが疑問かもしれんが気にするな 改めて、我はここら一帯のボス猫をしている宮助だ これからよろしく頼むぞ、同族よ」
「いや、人間ですよ? どこからどう見ても人間でしょ?」
初対面の猫(猫又)に突然同族扱いされた黒峰は否定するまでに僅かにタイムラグが生じた
「ふむ? 我らと同じ目をしていたではないか 今は隠しているようだが」
宮助は確認するようにこちらの顔をじっと眺める 口は動いていないように見えるがどうやって話しているのだろうか
「はいどーん、もう全員いるの?」
などと考えていると、ネコミミのついたフードを被った女性が部屋に入ってきた
「お腹空いてるんだけど…って君が新人かな?」
「あ、はい 黒峰です よろしくお願いします」
「そんなにかたくならなくたっていいよ 気楽に行こう」
クスクスと笑いながら、棒付きキャンディを口にくわえる もうすぐ料理を食べれるのに、などと思っても口に出さないことにする
「何してるの?」
頭に猫を乗せた薬師寺がこちらに近づいてくる
「え? 初めて会った方なので…」
「ああいや、こっちのこと 何してるの?」
「なんのことだかわからないなぁ? それともキャンディの―――グハッ!」
素早いパンチが女性のわき腹に当たる 突然のことに説明を求めようとする黒峰より先に女性が口を開く
「ひどいなぁ結さん…何も全力で殴ることないじゃん」
突如、女性の身に着けている服装や彼女自身の顔がグニャリと歪む そして全く違うものへと姿を変える
フード付きの黒い上着を羽織りまだら模様のシャツを身に着ける小柄な高校生ほどの青年の姿は、先ほどまでの女性とは全く異なっている
「黒峰くん、彼は柊正継、うちのメンバーの一人なんだけど…」
「そんなわけで僕は柊です、以後よろしくね 能力は「変装」ってところかな 隊長ー、おなかすいたー」
先ほどわき腹にダメージを受けたはずなのにニコニコとしながら、こちらの質問する暇を与えず田町の方へと向かってしまった
「なんというか、不思議な人ですね」
「まあ、悪い人じゃないのは確かなんだけど…」
「そこの2人! どうやら今日はこれだけしか集まらないらしいからパーティ始めるぞ!」
隊長の声により部屋にいるメンバーが集まる そしてどこから出したのかわからないマイクを片手に、隊長が話し出す
「えー、今回新しくメンバーが1人増えたので顔合わせ等々含めてこの場を用意した 全員が集まったわけではないがここにいるメンバーの顔と名前だけでも憶えてほしい」
スピーカー等はないらしく普通に声が聞こえる 何故マイクを持っているのか、というか何故マイクのスイッチが入っているのか
「まあ、堅苦しいのはなしだ 飯でも食いながら親睦を深めてくれ 以上! 乾杯!」
「…誰も飲み物持ってないですよ」
隊長に向けて様々な視線が向く しかし当の本人はさほど気にしていないらしい
「そういえば俺も持ってないな…まあいい、飯食うぞ!」
テーブルに置かれた皿を他メンバーに渡した後、様々な料理を盛りつけ始めた
「いつもこんな感じなんですか?」
黒峰は「普段はちゃんとした人ですよね」という意味の質問をするが、別の意味でとらえられたらしく
「面白い時はもっと面白いよ?」
「マイペースでいい人ですよね」
「ああいうのが長でもなんとかなる」
と返答が帰ってきた
それぞれが思い思いの料理を食べている中、隊長が何も乗っていない机の上に上るとマイク片手に話し出した
「それでは、黒峰への説明と他メンバーの再確認を兼ねた自己紹介を行う トップバッターは俺だ!」
右手に知恵の輪、左手にフォークを持った奇妙な状態ではあるが何に使うのか、という疑問を置き去りに自己紹介は進む
「俺はこの「秘密結社P」の長を務めている 呼び方は自由にしてもらって構わないが本名は秘公開で頼む 持っている能力は錬金術 触れている物質の形状を自在に変化させることが出来る」
そういうと知恵の輪とスプーンを前に突き出す すると、知恵の輪がグニャリと形を変え、二つの輪が一瞬で外れる スプーンも形を変え、フォークになった
「ただ、この能力は全身に疲労がたまる 多用しすぎると次の日は筋肉痛になるからあんまり多用はしたくない あと全身の力が抜けて足は震えるし涙が止まらん 薬師寺、助けて」
ガクガクと足を震わせ机の上に座り込み、そのまま動かなくなってしまった
「はい、次は私が自己紹介をします」
「まって、見捨てないで 机から落ちそう 助けて」
「僕が助けてあげるよ」
どうやら薬師寺は隊長をあまり良く思っていないらしい そして柊はそうではないらしい
「私は薬師寺結、できれば下の名前で呼んでほしい 他人の生命力とか治癒力を強くする能力、分かりやすく言うと怪我を治したり体調不良を治したりできる だけど本人の力を無理やり引き出してるようなイメージだから、使いすぎると最悪死ぬから あと私も疲れる」
さらりと出てきた「死」という単語はともかく便利な能力だ、と黒峰は考えていた
「次は僕かな 日吉友彰、ただのサラリーマンだよ 能力は…黒い炎が出せる あんまり使いたくはないけど」
「? 何か大きなデメリットがあるんですか?」
「こいつの黒歴史だからな」
「あはは、まあそういうこと 思い出したくない時もあるんだよ」
だいぶ慣れたけどね、と日吉は苦笑いをする
「中二病が今になって現実になるとかかなり面白い事例だよな」
「そういう隊長も漫画の読みすぎでしょ? 形状操作にそんな名前つけて」
「話がそれてる 我も必要かな?」
「まあ、一番不可思議な存在だろ」
猫がぞろぞろと隊長のもとへと集まる そのうち一匹が隊長の頭の上へと上る
「我は宮助、どこにでもいるちょいと長生きの猫だ 一応魔法が使えるということになっている 他と違ってできることの幅が広いから簡単に説明できん」
あくびをしながら器用にバランスをとる宮助は、これで終わりだといった様子で毛づくろいを始める
「それじゃあ僕だね 柊正継、さっき変装って言ったけど正確にはもっと幅広くいろいろできるんだよね」
そう言うと、柊の服が別のものへと変化していく
「こんな感じで身につけてるものなら色も形も自由自在に変えられるよ」
様々な複に変化した後元の服装に戻り、次は顔を手で覆い隠す
「身につけてるもの以外でも、体格なんかも自由に変えられるよ」
先程とは全く違う顔になった柊は、その場でくるりとターンする 再び顔が見えたときには元の顔に戻っていた
「一応デメリットはあるけど、気にしなくても良いぐらいのことだから楽だね あ、他の人に変装するにはそれなりに観察しないといけないからまだ黒峰くんには変装できないよ」
「じゃあ、例えば隊長になったりできるんですか?」
「できるよ」
質問が終わるより先に隊長になっていた そのまま隊長の隣に並ぶ
「どうだ、見分けがつかないだろ?」
「口調や動きも真似すればホントにわからなくなるんだ 周りからすれば厄介な能力さ」
本当にどちらが本物かわからなくなる完璧な変装に黒峰が感動していると、結が自分の皿をテーブルに置き2人の隊長に近づいていく
「一応、見分ける方法が無いわけではないよ」
「そうなんですか?」
「例えばこれ」
横腹を鷲掴みにする すると隊長がぐにゃりと歪み、柊になる
「わかりやすく言えば、痛みで変装がとけるの」
「それ、力技っていうんだよ あと僕が辛いからやめてほしい」
必死に外させようとしているが、力が強いのか外れる様子がない 柊の顔がずっと笑顔のままなのが少しぶきみである
「他には、彼自身の癖だったり変装する人の癖だったりを知っていればそこで判別可能ね 少し難しいけど」
横腹の手を離す すぐさま柊は2歩ほど下がり、横腹に手を当てる
「できればそっちで見分けてほしいけどね 毎回痛い思いしたくないし」
「これで全員自己紹介終わったな 最後に黒峰だ」
「あれ、博士でしたっけ? 彼女がいないような」
「もうラボに戻ってるからな なんか開発中なんだろ」
「それじゃあ… ええと、黒峰です 能力は運気を操作するって感じです 実演とかあったほうがいいですか?」
「何か準備がいるなら協力するぞ ある程度のものなら言ってくれ」
紙コップやトランプなど、いくつかの子物が机の上に並べられる
「わかりやすいのは…これですかね 結さん、このトランプをよく混ぜてください」
トランプを渡された薬師寺はシャッフルし始める
「ここで、隊長と日吉さんにはトランプの中からスペードのAを引いてもらいます」
「簡単に言うね そんな運良く引けるかなぁ」
「できますよ 日吉さんの運を底上げしますから」
黒峰の目が変色していく 黄色い猫のような目にかわると、宮助がそれをじっと眺める
「やはり同じ目だ しかし、どういう原理だ?」
「僕にもわからないんですけど、目がこうなってる間は運を操作できるんです」
隊長から何かを切り分けて日吉に渡すように腕を動かす 日吉は特に意味もなく受け取るような行動を取る
「これ、奪われるのも押し付けられるのも基本拒否できないので受け取る必要ないですよ?」
「当然のように怖いこと言うな 薬師寺なら悪運ばっかり押し付けそうだ…」
「準備できました まずは隊長からどうぞ」
「下手したら引けるんじゃ…」
薬師寺の持つトランプから一枚カードを引き抜く 表にはハートの9が描かれていた
「無理か…」
「まあ、僕としては成功なんですけどね では日吉さん、どうぞ」
日吉もカードを引く 表にはスペードのAが描かれていた
「へえ、面白い能力だね あたり付きアイスを買うときは一緒にいてもらいたいね」
「他の人の運気を使うので気は使うんですけどね 沢山の人から運気を集めれば宝くじも当たると思いますよ」
「夢のある能力だな 使い道が多そうだ」
「私はそうは思わないけどね」
突然上から声がする 上を見ると、天井に上下逆さまで椅子に座った女性がコップに入ったジュースを飲んでいる
「私に言わせれば、それは厄災を振りまく能力だ」
どうも、しじみ汁です
早いもので(?)3話です まだまだこの小説は続きますが、1話を書いてたときの予定では3話時点であと3人ほどキャラがでてる予定でした 多すぎるので減らしましたが
次話の前に句読点とか色々修正しなきゃいけないのでまた間隔が空きます
そんなわけでまた次回




