表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

1本目・出会い

宜しくお願いします。

そこに見えてる景色それは本物ですか?自分が本物と思わないとただの偽物ですね!

ボクは誰だれ?


「…?ぁ…。」

声…


(ここ、どんな所?)

回りを見渡す。少年は少しだけ開けたところに居るらしい、正面には壁を挟んで通路が2本。右手には通路が1本。壁や天井は白く、緑の線が1本走っている。

左は水道…だろうか…若干距離が空いているが、水滴の音がする。

「み…ず。」

すかさず渇き悲鳴をあげる喉を癒しにかかる。

蛇口を捻ると勢い良く水が出る…と言うわけでは無いらしく、チョロチョロと小さな音を立て、それは落ちて行く。


水分の補給を終え、顔をあげる。そこにはヒビが這った鏡が、1枚寂しく掛けてあった。

(酷い顔…あれ?ボク…髪の毛白かったっけ?)

そう思ったのは単なる違和感だ、記憶はないが自分ではない気がしてしまう。

細い体、よれよれの白いタンクトップ、薄緑の緩いズボン…次々に違和感が出てきてしまい、きりがない。

最終的に気のせいだと、自分に言い聞かせることに少年は決めた。


さっきまで自分のいた場所に振り返る日が射し込んでいる。

窓だ

「まど?」

そこには窓があったのだ。埃が舞い上がり反射し、美しくさえ見えてしまう、が、しかし

今手元には窓を割ることができるものが無い、そこで少年は探索をすることを決める。

(食べ物も見つけなきゃ)

「よしっ…」

他の鏡が割れたのだろう鏡の欠片を拾い上げる。小さな欠片に映る自分は心なしか先程より、頼り強く見えた気がした。


右側の通路の探索を開始。

「ん?少し暗いな…」

先が見えないのは不安を掻き立てる。が、歩みを進める。

すると突然天井の蛍光灯が点滅し、光を放つ。

暗闇に入る前に明るくなったため、光はあまり眩しくない。


「たち…いり…きん…し?」

通路は直ぐ行き止まり…ではなく、立入禁止と書かれたドアに当たる。

「危ないのかな?」

少年は安全な所から探索をして行きたかったため、ここから先は進むのをしばらく断念することにした。

残る通路は二つだけ。

左の方の通路、この通路は直ぐそこに扉が有るのが見えている。

「あの部屋は危ないのかな…」


「きゅうけい…しつ?」

知識はある程度有るようで文字は読める。

休憩室。見たところ、椅子と机が散乱しているだけの部屋。

(何をする部屋かな?)

恐る恐る休憩室に入る。すると、一組の椅子と机、人がいることに気がついた。

「あの…?えっと…」

声を掛けたくてもなかなか言葉が出てこない。自分がとても緊張していることに少年は気付いていない。


「ん?人?こんにちは!少年!」


振り返るその顔は若く、そして可愛らしい黒髪の女の子…そう少女だ、やはり服はぶかぶか、少年と違うのは全体的に露出が少ない。

(髪が長い…女の子か)

「こ、んにちは…」

「ねぇ?どんな記憶があるの?」

「はえ?」

「私は自分の名前と季節に関する事」

「僕は、何にも無いんだ…自分の名前…自分の容姿…何も覚えてないんだ。」

もうすぐ暗くなりそうになっていることに少年は驚いた。窓から入ったのは朝日ではなく、夕陽だったのだ。

扉から微かに入っていた光が薄くなっていった。

元の場所に戻る事を少女に伝えると、少女は付いてくると言う。まだ話したいことが有るらしい。

「君さ…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ