88.ラウ&シャル ~やけ酒~
「もうやめとけよ~」
「まらたりません!」
なんで休みに悲しいかな男と飲まなきゃならないんだ。
町の小汚ない酒場で俺の隣に明らかに場違いなガキがとぐろを巻いている。
「本当に好きらったんです」
ヴィラスの影にはバーグ家ありと言われている次期当主がこれとは我が国は大丈夫かね。
お兄さんは、心配だよ。
国潰れたら給料もらえないじゃん。
「オヤジ、もう一杯。隣は水でいいから」
「あいよ」
グシグシと泣くガキを横目にチビりと飲む。
「水じゃらいですかっ!」
あ~煩い。
「そもそもな、あのお姫様はいつか帰るんだろ?」
「…そうれすけど」
水をぐいっと飲むシャル坊や。
水で酔えたら金使わなくていいよなー。
まあ、こいつは金の心配なんてしたこともないだろうが。
「カエデは、僕そのものをみてくれるんれす。みんら、まず家しかみらいじゃないですか。…駄目な事はらめとカエデは言うんれすよ」
涙を腕でふきながら話す姿は、ただの見た目がいいガキにしか見えない。
「じゃあ~好きでいいじゃん」
緑の目がこちらを向く。
「だから~別に好きなままでいいだろ。相手に迷惑をかけなければ思うのは自由だろ?」
あー城に忘れ物して寄らなければよかった。宿舎にいれば、こいつに捕まることもなかったはずだ。
「ラウはムカつくけど、剣の腕と考え方は尊敬しれます」
なんか前半引っ掛かるが、まぁいいか。
「…俺もお前の事嫌いじゃねーょ」
「ぐぅ」
寝てんのかよ!
「はぁ~。オヤジ、悪いけど閉店だろうがもう少しいさせて」
「あいよ」
しかたねーな。
少し寝かせてやるか。
「シャル坊やは気づいていないか。…カエデちゃん最近変なんだよな~」
ルークは論外だしな。
「とりあえず静かになったし飲も。オヤジ、もう一杯~」
「あいよっ」




