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異世界の色  作者: 波間柏ひかた


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8.初めてのドレス

「素敵ですわ」


ニコニコなマリーさん。


「「なんとか間に合いましたわ!!」」


ふ~と額の汗を拭うふりをする緑髪のお姉さんと新たに増えた金髪の女の子。あっ、緑の髪のお姉さんの名前はベルさんで金髪の女の子はアリヴェルちゃん。


役職は多分マリーさんとベルさんは侍女さんでアリヴェルちゃんがメイドさんになるのかなぁ。よくわからないけど、階級や身分に厳しい国な気がするし、まだ詳しくは聞きづらい。


「カエデ様は赤がお似合いですわ」


うんうんと頷きながら話すベルさん。あの休憩とも呼べない仮眠後ギラギラした目のマリーさん達に着付けてもらいましたょ。


なんとドレスの色は赤!


赤といってもワインレッドの落ち着いた色だけどね。鎖骨がみえて結構前が開いてるけどあまり胸を強調せず。


くっ、元がないからできないのだ。


そして、ハイウエストの所で紺色の艶々したリボンが結ばれている。下のスカート部分は何枚か薄いワインレッドの同色が重なっており歩きやすいようにボリュームを少しだけだしてある。くるっと回るとヒラヒラして可愛い。


「おぐしは全部結ってしまうとカエデ様の黒がもったいないので半分だけ上げましょう」


ベルさんが話ながら慣れた手つきで髪をさわり始めた。こちらの、この国の女性達は皆、髪が長くて腰くらいはありそうだ。


私は肩下くらいで細くて少しクセがあるから先が跳ねる。あまり長くすると絡まるのだ。

同じような人は分かってもらえるだろうけど手入れがめんどくさい。これでも頑張って伸ばしたのだよ。


「いかがでしょうか?」


とベルさん。


「「「バッチリですわ!」」」


とマリーさん達。


バッチリって。

…この翻訳機能の腕輪、たまに変な気がする。


鏡に映る自分をしげしげと見てみる。

あれ?

けっこういけてる?


コルセットのせいか背筋もいつもよりのびている。お化粧の力とプロ並みのへアセットのおかげか、いつもより目もともハッキリして小顔に見える!


最近は、就活で普段あまりしないお化粧をしているけど、結構難しいんだよね。濃すぎずナチュラルってホント高度。なんて観察しながら鏡の前に立っていると。


「カエデ様、ルーク様がいらっしゃいました」


マリーさんの声に振りむくと。


…負けた。色々な意味で…。


「遅くなり申し訳ございません。御迎えに参りました」


真っ白の制服に金色のモールがついている。

マントも白。留める金具に円い黒いオニキスのような石がついている。耳は前からかな瞳と同じ深い蒼の石のピアス。


なんだろう。

宝飾品もそんなにつけてないのにこの爽やかな存在感。うん。造りが違うからしょうがない。


手を差し出される。握手?手を出してみると。あっ違ったらしい。ルークさんがそっと私の手をとり腕にそえられた。なんかお姫様みたいだ。焦る私をよそにルークさんが


「行きましょう。使者様」


と声をかけ誘導してくれる。


そう。

気合いをいれろ。これからが本番だ。

…でもルークさんの隣なんてなんだかルークさんに申し訳ない。











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