表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の色  作者: 波間柏ひかた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/94

77.意外な人物

私は、防御膜が侵入された時の歪みのような感覚と共に更に二重で私にかけた膜に触れてる事を示す静電気に似た音と不自然な重さに目を開けた。


「…なんで王子が私の部屋にいて私の上に乗っかってるんですか?」


ベッドの脇には魔法石ラーナが入れてあるのかランタンに似たそれが柔らかい光を放っている。


眩しくないよう器に工夫がされており柔らかな曇った薄いオレンジ色のガラスに入っているからか、とても優しい明かりだ。


急に降り始めた雨音は更に眠りに誘われる。

熟睡しかかっていた私は、かなり機嫌が悪い。


私が1番されて嫌な事は睡眠妨害だ。


「夜を楽しもうかと思ってな」


瞳が光でキラキラ。いやギラギラ?


「身体ビリビリきません?」


微弱にしているとはいえ、かなり痛いはず。


「痛いよ~。でも加減しすぎじゃね? 俺じゃなかったらどーすんの?」

「…」


無意識なんだけど、知り合いになり気を少しでも許してしまうとその相手に対し緩くなっちゃうんだよね。


王子は、まだ長いままの私の髪を手に取りキスをしてきた。


はい、全くトキメカナイ。


「それ以上したら、ぶっ飛ばす」


睨みをきかせ手のひらに力をこめる。


「カエデには出来ないよ」


馬鹿にした顔の王子。

確かに私は人を傷つけることに慣れていない。

けど身の危機を感じれば少しはできるんじゃないだろうか。


そうこうしている内に王子の顔が近づいてきた。手のひらの力を放そうとした時。


──トンッ


何かが鼻先を通っていった。

音がした先を見ると。

よく切れそうなサバイバルナイフみたいな刃物が床に刺さっていた。


「残念だがそこまでにしてもらおうか」


声のする方に目を向けると、いつの間にか開いていた窓の縁に器用にしゃがんでいる男が。


お城の中で見たガインの制服を着ており、顔は上半分は黒っぽい仮面の様な物をしていて分からない。


でも瞳はグレーだ。

敵じゃない?

声や雰囲気の感じでは、会った事はない。


「王子様、これ分かる?」


仮面の人が何やら野球ボールくらいの青い球体を上に何回か投げキャッチして王子に見せるようにしている。


「──武器庫に入ったな」


低い王子の声。

何かヤバいものですか?


「俺はそこのお嬢ちゃんと違うぜ?」


馬鹿にしたような、面白がっている口調だ。


「まだ試作段階だと聞いていたんだがなぁ。参考に1つ頂いていくよ」

「…お前どこの奴だ?」


王子顔怖いです。


「はぁ?言うわけないでしょ。あと既にこれの原料と倉庫の完成品は使い物にならないが、こんな所でのんびりしていて大丈夫か?」


その直後、城が揺れた。


「何だ!」

「倉庫らしい!」

「火がっ!」


外がとたんに騒がしくなったみたい。


「チィ! オマエ覚えてろよ!」


王子は、いまにも聞こえそうなくらい歯をギリギリさせ捨て台詞を吐くと足早に出ていった。

怪我人とか大丈夫かな。


「武器は使えなくしたが、火はフェイクだ」


声にドアから仮面の男へ視線を戻した。


「誰も怪我はしてない」


私の中を読んだような答えが帰って来た。


「お嬢ちゃん気抜きすぎだぜ? もちっと人を疑いな」


まるで教師が生徒にいうような言い方。


「まーお嬢ちゃんには難しいか」


今度は勝手に私の性格判断をしている。

誰なんだろう。相手は私を知っていて私はしらない。


男は、器用に縁にしゃがんだまま茶色の髪の頭をバリバリ掻きながら言った。


「ま~なんだ、腕助かったぜ」

「え?」


よいしょっと言いながら、立ち上がりこちらを再度向きグレーの瞳と目が合う。


「ありがとな」


目が一瞬細まった。

笑った?


次に、男は窓から飛び降り消えた。

ここかなり高いよね?

思わずベッドから出て窓へ駆け寄った。

覗きこんだが、暗くて何も見えない。

部屋の床は外からの雨で濡れていて、今のは現実だったと証明している。


…腕?


「あっ、あの時の」


神殿の帰りに襲撃を受けた時に来てくれた人かな。


生きていたんだ。

よかった。


なぜその人がこの国にいて、しかも誰かに雇われているのか謎だけど。


「はぁ。疲れて頭が働かない」


とりあえず寝よう。

私は今度は触れる前、10センチ以上近づかれたら1日気絶させるくらいの強い膜を作り今度こそ寝るためにベッドへ戻った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ