75.ガインでの夕食
ガインのお城へ着くとすぐに夕食のお誘いがきた。
予想通りだ。
お相手は宰相さんと、何故かデュラス王子。
ずっと着の身着のままだったので、今日借りたお部屋に付いているお風呂に入らさせていただき、服もお借りした。
もちろん、お風呂は使い方を聞き1人で入った。
お風呂は1人が1番だよね。
着替えは複雑で分からない為お願いする。
「迎えに来たぞ。」
デュラス王子が来た。
私を上から下まで観察し一言。
「まっいいんじゃね。」
及第点はもらえたらしい。
借りたドレスは赤。
確か夜会の時も赤系だった。
日本にいた時に赤なんて着たことなかったのに。
しかも、自分で言うのもなんだけど悪くないんだよね、これが。
ガインのドレスは薄い生地を重ね合わせたもので、コルセットのような物もなく、ヴィラスより楽だった。
やっぱり暑い国だからかな。
長袖だけど透けていて手首の方へむかうほど幅が広くなっていき、ヒラヒラしている。
胸元は浴衣の様にあわせになっていて、そのあわせは金色で縁取りされ、帯くらいの同じく金色のリボンが前で蝶々結びになっている。
金のリボンには、更に銀糸で大きなシャクヤクの様な花が大胆に刺繍されていて美しい。
そのまま裾はストンとなっており長く足元すれすれ。
靴は先がとがったヒールがないぺったんこ靴で色は深みのある赤に同じ銀糸で可愛い花の刺繍がされている。
高さがなく、歩くのも楽ちん。
青い食材ばかりだったらどうしようと思いながら、王子の後をついていく。
・・たどり着いたのは広大な庭に建つ建物。
五角形の屋根がありそれを支えている太い柱。
柱には色彩豊かな草木の絵が描かれている。
壁はなく代わりに薄い透ける生地がカーテンの様に下がっている。
なので庭を眺めながらのお食事だ。
所々に照明、魔法石が庭に置かれているのか幻想的できれい。
植えられている花はハイビスカスに似て大きくカラフルで賑やか。
「靴は脱がずにお上がり下さい。」
これまた妖艶な美女が先導してくれる。
20畳くらいの場所に絨毯のような厚みのあるマットが敷かれ、その上に靴のまま座るよう言われた。
私は悩んだ末に横座りをした。
側には寄りかかれるような大きなクッションがゴロゴロ置いてある。
席の前には既に沢山の料理が並べられていた。
「さて、お口に合いますかな?できるだけ青い食材を使用しないように命じておいたが。」
三角形の様な感じで座っていて、先に席に着いていた宰相さんに話しかけられた。
「大丈夫です。」
宰相さんの方を見て話す。
この宰相さんは私が転移した時、王様の近くにいて血圧が心配になるくらいキイキイ怒っていた人だ。
歳は50歳は過ぎていそう。
とても小柄。
周りは背が高い人が多いので圧が少なく感じる。
とりあえず温かいうちに食べようと、既にバクバク食べているデュラス王子の食べ方を見つつ、私は小さく頂きますと言いまず黄緑色のスープを木のスプーンですくい口に入れようとした時。
「使者どのは、改革でも行うつもりかね。」
最初から直球な質問がきた。
口にスープを含みゆっくり飲み込む。
見た目は、緑で青汁にしか見えないけど、味はコーンスープにそっくり!
濃厚でとても美味しい。
スプーンを置き腕輪に触れ三人だけが入るイメージで防御と音遮断と小さく呟く。
その前に自分に強力な防御膜をはってあるので、私だけ二重になっている。
宰相さんに視線を合わせる。
「ただの社会勉強です。」
「ほう、役に立ちそうかね。」
「元の世界では、まったく。」
もう1度言いたい。
今日大分働いた私は疲れていた。
「腹の探りあいは、疲れるのでやめませんか?」
「何?」
器用に片方の眉だけ上げる宰相さん。
私も直球で聞こう。
「貴方は私の敵ですか?」
さあ今日最後の仕事の始まりだ。
ブックマーク有り難うございます!
最初にも目標にしている完結目指して頑張ります。




