67.嫌な予感再び
「呼ばれて参上~じゃじゃ~ん!」
あぁ。
なんて残念な美少女。
いえ、神様。
「呼んだ覚えないんだけど。あとその姿は…」
多分ヴィラの記憶が夢に何回か流れてきたけど、ずっとヴィラは夢にでてこなかった。
「その古くさい術式でおまけに強力な呪文唱えたの楓でしょ~?」
嫌そうに下をみて光る円を指差す。
「次の質問は、楓の祈りの効果で大分綻びがなくなりつつあるから、姿も成長できたわ~。まぁそもそも神だから。自由自在よ」
「…そう」
私は首をギギッとここから少し離れた王様達の近くにいる神官長さんに向けた。
そこには、頬を染めないまでも恍惚とした表情でヴィラを見つめていた神官長さんがいた。
「犯人はあなたか…」
ビームを目から飛ばせるなら間違いなく今、神官長さんに飛ばす!!
舞を覚えるのは、本当に大変だったのだ。
しかも、幸せの歌じゃないじゃない!
猫寄せならぬ、ヴィラ寄せの為か!
「この労力の対価はもらうからね」
私の負のオーラに気づいたのか、顔が強ばった神官長さん。
許さないからね!
「それで本当はなしなんだけど~出てきちゃったから神様らしい事して帰るわ~。また夢で会いましょ」
ヴィラは両手を広げ、民衆に声をかけた。
「私の子達に祝福を」
眩しい光が広がると空から淡いピンクの牡丹みたいな花と花びらが降ってきた。確かヴィラスのマークにある花。
それに気をとられた一瞬にヴィラは消え、来ていた人々の歓声が広場に響き渡った。
皆からの視線が、逸れたので私が踊りの場から降りようとした時。
「使者殿」
真っ黒な制服に赤い髪に金のメッシュが一ヶ所はいった、瞳の青い青年が突然私の前に現れ、その人の腕の中には、刃を首にあてられているローズ嬢がいた。
少し終盤に近づきました。
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