63.騎士ルーク~執着心~
ールーク視点 ー
早朝ラウと勤務を交代後騎宿舎へ戻る前に寄り道をした。
気に入っている庭の隅のベンチに転がる。
ここ2、3日。いやカエデと会ってからの事を思い出す。
「あ~俺は何をやっているだ?」
独り言がでる。
一昨日は泣かれ、昨日は避けられ。
愛想が良くないのは自覚している。
ただ貴族として叩き込まれた礼儀は身につけているつもりだ。
実際夜会など出れば自分で言うのもなんだか、俺の容姿は悪くはないらしく色々寄ってきた。
辺境伯の家だか次男にもかかわらず、戦での働きもあり尚更縁談がきた。
特別処遇で副団長の打診もあったが、全て断った。
香水臭い女性も、書類が増えるだけの地位も興味がない。
付き合いに関しては一通りは遊んだ。
ただそれだけだ。
欲しいと思ったのは、カエデが初めてだ。
何故こんなに惹かれるのか。
会って間もないのに。
言われるほうも困るだろう。
馴れていないのは分かっていたが、本気で抵抗してこない事で余計抑えられなくなる。
いやにビクビクする時があると思ってはいたが、向こうの世界で男に触られたと言っていた。
よほど嫌だったんだろう。
「はぁ。」
ため息が出る。
カエデは、自己評価が低く隙がありすぎる。
見る奴によってカエデはとても庇護欲をそそる。
逆に傷つけたくなるという馬鹿もいるだろう。
彼女の人気は上がるいっぽうだ。
シャルには気付いていたが、ヒューイまで。
他の奴も今日で何人かいるだろう。
嫉妬した。
他の男に触れないで欲しい。
自分は汚れて、相応しくないのにそう思ってしまう。
戦を含め何人切って捨てたか覚えていない。
殺るか殺られるか。
カエデがあの戦場にいたら、どうやっていたか。
きっと敵味方関係なく傷を癒し、カエデの身体は負荷がかかり過ぎ壊れただろう。
カエデが帰りたがっているのも知っている。
だが、諦められそうにない。
また聞きそびれたが話に出るルークはカエデの何なんだ?
まぁいい時間はまだある。
俺は仮眠をとる為騎宿舎へ重い足取りで向かった。
誤字がひどすぎですみません。
時々修正しています。




