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異世界の色  作者: 波間柏ひかた


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58.体験学習

「いいよ」


団長さんから、アッサリ許可をもらえた。


「待って下さ…」

「俺が許可した」


文句を言おうとしたルークさんに静かに圧をかける団長さん。いろんな意味で尊敬します!


「まず模擬試合からか」

「あの」


私は声をあげた。


「獣族の方のもできれば見学したいです」


普段のラウさんを見てるとやっぱり聴力がいいのか反応が人より早い気がする。もしかしたら戦い方も違うのかなと私は思った。


「わかった。ヒューイ!ザルグ!」

「団長。ザルグの代わりに私がでても?」


ルークさんが団長さんに言っている。


「ザルグ様!お願いします!」


先程の猫耳青年ヒューイ君が慌てたように声をあげる。


「クッ。だってさルーク。あまり重いと使者殿に嫌われるぞ?」


チッと舌打ちしたルークさん。

…今日のルークさん子供っぽい?


「言っとくけど、アレの機嫌悪いのカエデちゃんが原因だからね」


背後に立っていたラウさんが言う。

ルークさんに、私何もしてないですよ?


「ラウさんの言う通り自覚が無さすぎですよね。確実に今日1名敵が増えましたよ。只でさえ強敵がいるのに」


隣のシャル君までも。

…私、本当に何もしてないよ。


「はじめっ!」


声と共に試合は始まった。

正直体格差は歴然だ。

細くしなやかなヒューイ君、筋肉モリモリのザルグさん。


「ツッ!」


ヒューイ君が何回目かのザルグさんの剣を受け止めた時、声がでた。かなりキツそう。決着は早く着きそうかなと思っていた時。


「ヒューイ!なんでもありだぞ!」


団長さんが声をかけた。

その瞬間、ザルグさんの剣先を流しあっという間に飛び距離をとったと思ったら、手から光のビームみたいのが出た。


「ダァ!」


剣でなんとか弾き返したザルグさんだったけど、いや、弾き返せるものなの!?

ザルグさんは、衝撃が強かったのか、二発目で剣を落とした。


「そこまで!」


団長さんが終了の声をかけた。


「卑怯だぞ!」


ザルグさんがプリプリしている。


「お前が最初自分が有利だからと手加減して遊ぶからだ。戦ではルールはない。油断してると即、死ぬ」


文句を言おうとしてたけど、団長さんの圧に黙るザルグさん。


「ヒューイ、お前は力や持久力が足りないのは分かっているな?ならその俊敏さをもっと生かせ。長引けばさらに不利になる」

「はい!」


ピッシリ立つヒューイ君。


「さて、まだ見るかな?」


団長さんが私に聞いてくる。

訓練の邪魔をしているのは重々承知だし、少し収穫はあった。


「いえ、充分です」


次は私が気合いをいれる番だ。


「団長さん、お願いできますか?」


ニヤリと笑った。通じたようだ。


「私と団長さんまでバリア」


そして。


「私に最大防御」


なおかつ、膜に触れたら雷のような衝撃波を相手がくらうようにしてみる。もちろん死なない程度で。


ザーッと二人を囲む膜ができる。

これは周りに迷惑かけないように。


「カエデっ!」


ルークさんが怒鳴っている。


追加しよう。


外からの攻撃を遮断最大で。次に自分を囲むドーム型の膜が出来上がる。今までで1番強くと念じたせいか、金の膜が厚い気がする。それを腕を組み面白そうに眺めている団長さん。

さあ、始めよう。


「お願いします!」


私は声をあげ手を前にかざした。

一気にー団長さんの空気、気配が変わった?

なんか…ビリビリする。

剣を抜いたのが見えなかった。


早いっ!


次には剣が膜に触れていた。

ジリジリと音がする。


「…何か膜に仕掛けたな?」


ビリビリしてる?可哀想かなと一瞬思ったら団長さんの剣が青く光り始めた。


膜が押されてる!


もし破られたら至近距離の私は剣で串刺しだ。

何より団長さんの気迫が怖いっ。

本気ではないだろうけど、剣をまして殺意なんて向けられた事のない私はガクブルです!

自分の顔が強張ってくるのが分かる。


──駄目!負けない。


ここからだ私が試したいのは。

夜会の時あっさりルークさんに破られた。1度かけた膜に新たに力を注ぎ膜を変化させれるだろうか?


団長さん、あとで必ず治すので。


「維持からの攻撃。雷」


気合いを込め両手を団長さんに向け突き出した。


バチバチッ!


「ツ!」


瞬間手から光が強く放たれ見えない!

見えたと思ったら剣を地面に突き刺し片膝をついた団長さんがいた。


──上手くいった?


膜をすぐに確認してみた。

うん、ひびみたいなのもないみたい。自分の身体は少しダルいくらい。攻撃は意外と消耗するのか。団長さんを見るとおしまい、というようなジェスチャー。私は膜を解除した。


「だっ大丈夫ですか?」


団長さんに駆け寄る。攻撃は加減したとはいえ、多分かなり痛いよね。

でも手で制された。


「これは、驚きだ。まだビリビリしている」


何故かとても楽しそう。無視して身体に触れる。治って。痛み消えて。


金の粒が手から出て団長さんに吸い込まれるように消えた。そうだ、忘れてた。ザルグさんもさっき痛かったよね。ザルグさんにも金の粒がいくようにイメージする。


「うお?!」


少し離れた所からザルグさんの声がした。びっくりさせちゃったかな。他の人にも訓練を中断させかなり迷惑をかけた。


小さく私は歌った。

皆にいい事ありますように。

もし嫌だけど戦があっても死んだりしませんように。上を見上げると私の体から出る金の粒と青い空。反射しているのか金の粒がキラキラしている。やがて消えていった。


「訓練の邪魔をしてすみませんでした。ありがとうございました!」


キッチリ頭を下げた。


「体調は?」


さっきよりは幾分怒りが収まったようなルークさんが聞いてくる。


「大丈夫です」

「使者殿」


団長さんに呼ばれ私は振り向いた。


「また時間ある時遊びにどうぞ。士気も上がるようだ。またやろう」

「見学は、是非。団長さんとの睨み合いはもう充分です」

「いえ、こさせません」


被せるように言うルークさん。

今日のルークさん本当に変。


「はっは。ルーク、ほどほどにしとけ。使者殿はおそらく誰にも縛られない。縛れば消えるだろうな」

「…わかっています。だから苦労しているんです」


全然私はわかりません。


「またな」


ヒラヒラ手を振る団長さん。


こうして見学&体験は終わった。

早く帰ってメモしよう。


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