55.実は出来る子 ダート君
「目に見える?」
「ホッホッ面白いのぉ」
「今、丁度いいじゃん!」
何が丁度いいの?
「今アンタ空っぽな感じなんだろ?今が最低ラインとして、あと二段階さらに人工石に記憶させる。で、体内がその状態に変わると石が光れば簡単に分かるだろ。うん、我ながらいい案じゃね?」
とても得意気なダート君。
「もちろん発案者が作るんじゃろ?」
モウル先生が聞く。
「うん、うん、ってオレ?!嫌だよ!今、ただでさえ面倒なの作ってるのに!」
「この前森の洞窟で見つけたブツが、お前が欲しがっていた…」
「やるっ!」
「ちょろいのぅ」
モウル先生が小さく呟いた。
「さて、ワシはそろそろ行くかの」
モウル先生が立ち上がり私の方へ顔をむけた。
「あと2、3日城にいるから何かあったら呼びなさい」
私も立ち上がり頭を下げる。
「はい、ありがとうございました」
モウル先生は、王様に会いに行くといって、出ていった。
「あ~どうすっかな、とりあえず試作すぐ作るか。ストックのいいヤツあったかなぁ」
ブツブツとダート君は呟きながらドアへ向かう。
「とりあえずこれしばらく持ってて」
何かを投げてきた。
「それに仮に記憶させる」
なんとか受け取ったそれは、小さい1センチくらいの透明な黄色のガラス玉だ。
とても綺麗。
「誰にも触らせるなよ!後で取りに来るからそれまで肌身離さずだ!」
じゃあなと言って突然消えた。
「目の前にドアがあるのに!」
プリプリのベラさん。
でも確かに。
初めて見たなぁ。
本当に消えた。
とりあえず休憩してメモを整理しよ。
テーブルのダート君が食い散らかした残骸を見る。
まさに台風だったなぁ。
「すみません。お茶をお願いします」
仕切り直しだ。
1時間後くらいにダート君はガラス玉を取りに来て、また違うガラス玉、赤色を渡され、次はもっと後3時間後くらいに、オレンジ色のガラス玉、その後更に5時間後の就寝時間に今度は何故か私の皆からもらったブレスレットを貸せと言い出ていった。
私は、今度こそ寝ようとしていたら、ルークさん達三人が来たと知らされたのだ。




