40.初めての攻撃魔法?
「暗くて何も見えないじゃない!」
再び扉が勢いよく開くと同時に、高く煩い声の後、部屋が先程よりずっと明るくなった。
「あなたなの?使者様とかいう胡散臭い女は!」
「はぁ」
だから眩しいんですよ。また少しすると目が光になれてきた。
「ちゃんと話なさいよ!どんくさいわね!」
座っていた私はその声の主を見上げた。
やはり最初に目がいくのは髪。ツインテールの明るいピンクの髪にラズベリー色の大きな瞳。
13、14歳くらいだろうか。お人形みたいに可愛い。
なんとなく分かった。
「あー噂のローズ嬢。そんな感じだなぁ。でも思ってたより幼い」
つい口から出た。
「ごちゃごちゃ煩いですわ!それより貴方、ルーク様のなんなんですの?!」
キンキン声が耳に響く。父親といい、騒がしいなぁ。ぼーっとして見えたのだろう。
「聞いてらっしゃる?! まぁ!」
ローズ嬢が興奮して私の服を引っ張り、そのせいで首迄覆っていた服のボタンが外れ、昨日ルークさんに付けられた跡が丸見えになった。
「こ、これはどうゆう事ですの?」
わなわなと彼女は体を震わせている。
どうって。
「不可抗力です」
「嘘おっしゃい!」
…力を使ったあと硬い床に転がされ、お腹も空いてきて私も苛ついてきた。
埃を払って立つ。
「ここへ来たことお父さんにバレていいんですか?かなり大声で話していますけど。勝手に来たんですよね?」
そうだ!1番聞かなければいけない事が!
「ここ何処ですか?」
「…あなた、本当になんですの!?」
またプルプルしてるよ。
こんな状況でなければ、着せ替え人形をしたいくらい可愛いい子だ。
さて、そろそろ私の疲労も限界だ。会話も成り立たないし、これだけ騒げば誰かくる。
腕輪に触れる。
「あなた、何を」
怯えるローズちゃんを無視。
今、真剣だからね。
「私とローズちゃんに防御、特に瓦礫に対して。ついでに近くにいる人達死なない程度に」
次、ルークさんの真似をして私は両手を合わせ中心に力を溜める。そして…そのまま上に放つ!
「えぃっ!」
つい声が出る。
かなり派手な音と悲鳴がした。大量の瓦礫と衝撃からか、舞う埃で何も見えない。しばらくすると。
…加減したつもりだったんだけど。
初めて攻撃魔法的な事をしたら、真上に満天の星空が見えた。
「えっと、他に人いたかな?生きてる?」
たとえ異世界でも殺人はちょっと重すぎる。
「あっ!カエデ様!」
「いたぞ!」
名が呼ばれ再び上を見上げると
「シャル君!」
「俺達もいるよー?」
シャル君やラウさんにルークさん、他の沢山の騎士さん達が私があけた穴から見えた。
「大丈夫~?あれ?足元の子は~?」
ラウさんが聞いてくる。
「噂のローズ嬢です。びっくりして気を失ってます。怪我は防御かけたのでないです!」
「了解~今そっち行くから待っててね。」
「はい!」
他の人は生きてるかな?
夜空を見上げる。
もう夜かぁ。
女子会楽しみにしてなのになぁ。




