37.嫌な予感
今日は朝から神殿に向かう。
お城から神殿へ転移も出来るけど、警護の都合で見送られたらしい。
そして昨日あんな事があったルークさん、シャル君と馬車の中。外でラウさんが護衛してくてる。祈りの部屋の中へはルークさん、シャル君、外はラウさんで前回と同じらしい。
ヴィラは夜夢にでてこなかった。
少し不安はあるけれど、熟睡してスッキリ。もちろん寝る前はルークさんの事でベッドの上でゴロゴロ転がりました。だって容量オーバーです!
クッションに寄りかかり外を眺めているとシャル君がルークさんに報告している内容が耳に入ってくる。
「ダーキッド公爵に動きがあるようです」
「面倒だな」
「婚約解消の事も根にもってるんじゃないですか?ローズ孃が副隊長の悪口言いふらしているようです」
「しかし、よく断れましたよね」
「…もう着く。カエデ様、準備して下さい」
「はい。わかりました」
その話、気になるなぁ。
神殿に入り柱に囲まれた通路を通り前回と同じ扉の前で神官長さんが待っていた。相変わらずの美形だ。拝んでもいいですか?
「おはようございます」
まずは、きっちりお辞儀。
「おはようございます。私に頭を下げる必要はないですよ。カエデ様、あれから体調はいかかですか?」
本当に気遣ってくれているのが分かる。
「光の洪水のあと覚えてなくて。治癒も施してくれたんですよね。有り難うございました」
なんとか今日は意識なくさないで終わらせたい。皆に迷惑かけてばっかりだ。
「失礼ですが先に少しお話が。中へどうぞ」
ドアを開けてくれる。
何だろう。
嫌な予感しかしない…。
「どうぞ」
部屋の一角にある石のベンチのようなものに座る。正面に神官長さんが座った。
そして一言。
「カエデ様は舞えますか?」
「できません」
キッパリ。
あっ苦笑してますね?
でも、本当にできません。
微笑みながら穏やかな口調で話が始まった。
「カエデ様の力はとても素晴らしいものです。しかし脅威にもなります」
はい。
わかってますと頷く。
「そこで民衆にカエデの存在をしってもらうのは如何かと」
「何故ですか?」
神官長さんは困ったように話を続ける。
「民衆に認めてもらう事により神の使者だと確固たる地位の確立、他国への牽制。しかし本当の目的はカエデ様の身の安全です」
「確かに」
今まで何も言わず側に立っていたルークさんが話し出す。
「力を軍事力に使えないかと考える国は確実に出てくる。我々だけの警護も限界がある」
それって選択肢ないじゃないですか。
ヴィラ~!
少し危険あるかも~?
なんて軽く言ってなかったけ?




