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12.涙が出る

「近くに外で休める場所ありますか?」


何か言いたげなルークさんに気付かない振りをし聞いてみる。


「ございます。こちらへ」


言うのを諦めたようで小さいため息をつき案内してくれる。


「お手を。嫌でなければ体を寄せて下さい」


そっと引き寄せてくれる。私が触れられるの苦手だと気づいてるらしい。まぁ謁見の時バレたかな。正直助かります。ふらふらなんだよね。


「ありがとうございます」


ちょっと体重をかけてみる。うん、細く見えるけどやっぱり鍛えているのか硬い安定感。なんか変に意識しちゃう。


違う緊張が。


「こちらに座ってください」


ルークさんは、庭園の隅にあった小さい屋根がある石のベンチにハンカチを敷いてくれたので、ありがたく座らせてもらい周りを見渡してみた。


「きれい」


暗い夜の中でシロツメクサのような小さな花が辺り一帯を埋め尽くして絨毯のようだ。何故か白く光っている。風に揺れると花からその白い光が飛び月の青い光と合わさって幻想的だ。


でも、人の髪や瞳の色はカラフルで華やかな感じなのに夜は綺麗だけど少し寂しい。


疲れたなぁ。体がプールから上がった時みたく重くて怠い。


キーンッ──


「音の遮断と防御の壁を作りました。姿は完全に外から見えなくは出来ませんが、ぼやけるくらいにはなっています。今日は力を使うのはお止めください」


ルークさんが叱るような口調で側にきて言った。


私は、魔法が気になってしまう。今の音がそうなんだよね。呪文とか唱えていたのかな。ぼーっとしてて見てなかったよ。残念!


「はぁ」


流石に無理したのは分かる。無計画過ぎたかな。

でもさぁ。さっきの辛子おじ様達だけではなくて色々溜まってるんですよ私。


なのでルークさんごめんね。


あと一つだけ。腕輪に私の周りだけ10秒後中が見えない膜を。その後、侵入不可と音遮断。そのまま二十いや、十五分間を維持と念じてみる。


おおっ。薄い光る緑の膜ができた。


「ルークさん、少しだけ放置をお願いします」


そう彼に話しかけ腕輪が外れるよう念じ、外れた腕輪をルークさんにポイっと投げる。


「!※※♯※!」


途端にルークさんの話す言葉がわからない。よしよし。私は靴を脱ぎお山座りをすればルークさんが膜で見えなくなった。


何ってわけじゃないんだけど。


「もうヤダ! 疲れた!!」


叫んでみる。


「なんで私がっ!」


語彙が少ない私にはどう言えばいいかわからないよ。


「ツッ…」


涙も出てきた。


姿も音も誰にも見えない聞こえない。でも、泣き声を無意識に口を閉じ抑えてしまう。


なんでか頭の中ごちゃごちゃだ。







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