4話
お暇なら読んでくださいな、
誤字脱字は優しく教えてください。
「これは予想外じゃ、どうすればいいのじゃ?」
山の龍はたぶんこれまでの長く生きたがこれほど焦ったことは無かった、
「この者どもは何を考えてるのじゃ?」
魔物の群れは真っすぐ山の龍に突っ込んできた、
山の龍も腹を擦りながら前進する、魔物の群れはぶつかる前に横に曲がったりなにかするものと考えていた。
どう考えても山の龍と魔物の群れでは蟻とオークほどの力の差がある、
そのままぶつかれば文字通り擦りつぶされてしまう、
だが予想に反して魔物の群れはただひたすら突っ込んできた、
前の魔物のが擦りつぶされても後ろの魔物のがためらい無く突っ込んでくる、
空を飛んでる魔物も同じように真っすぐ山の龍に攻撃してる、
一切魔物の群れは前進を止めない、次々に擦りつぶされていく、
空を飛ぶ魔物はなぜか山の龍に出鱈目な攻撃をしている、
目に一点集中とか鼻に一点集中とかわかり易い弱点に攻撃するのではなく、
手当たり次第とりあえず攻撃してるようだ、目や鼻に集中的に攻撃されても山の龍は平気だ、
ましてや攻撃場所がばらけ、背中の甲羅や足に攻撃されても痛みどころか正直何も感じない、
「なぜこのこの者どもは逃げずに向って来るんじゃ?」
山の龍も今まで他の魔物を殺したことが無いわけではないが、この様に魔物の群れごと殺したのは初めてのことだ、
飛んでる魔物も山の龍に攻撃して他に目が行かないのか、翼竜が次々に落されていく、完全に一方的な虐殺としか言いようがない、
結局魔物の群れは大半が山の龍のお腹の下で擦りつぶされてしまった、
運よく生き残った数少ない魔物も大平原の魔物達に次々狩られていった、
、
「わしはかなり長く生きてるが、一切逃げず群れごと全滅するまで引かないなんて聞いたことが無いのう」
かなり気味が悪い、意思もあり言葉も交わせる魔物が蝗の様にただ真っすぐ自滅していった、
「何でこのようなことが起きたのかは解らないが、山の龍のおかげで危機が去った感謝する」
翼竜の黄色が山の龍の顔の前を飛びながらお礼を述べた、
「このような気味の悪い出来事はこれっきりにしてほしいのう」
「まったくだ」
そういうと翼竜の黄色は擦りつぶされた魔物肉片の傍らに降り立って、草と土まみれになった元はなんだかわからない魔物の肉を食い始めた、
この行為に倣ってか、他の大平原の者たちも、擦りつぶされた肉の破片を腹に収め始めた、
そうするとどこからともなく、大平原中の魔物や動物が集まり始めて次々に死体を食べ始めた。
「わしは肉は好かん、戻るかのう」
立ち去ろうとするとどこからともなく
「なんだこれ骨と皮ばかりであんまり食うところねぇじゃねぇか」
「なんだこの肉、筋ばってまずい」
なんて声があちらこちらで聞こえてきた、
「あの群れはだいぶ飢えていたのかのう、だからと言ったって群れごと滅ばなくてもいいのにのう」
本当にこれっきりにしてほしいモノだ、長い時を生きた山の龍でも群れごと擦りつぶすのはかなり心にくる、
だが山の龍の願いは聞き取られることはなく、そのあとも百年から二百年周期に殺気をまとった魔物の群れが押し寄せてきた。、
そのたびに山の龍や大平原の魔物によって全滅させられていった。そのころには山の龍は対話をあきらめて、いきなり擦りつぶすことにした、
もう足を踏み鳴らして地面を割り群れを止めようとするのは大平原を痛めるだけなので止めた。
一回目の魔物の群れの進行からだいたい千年過ぎた頃、また殺気をまとった群れが来たが、これまでの群れとは全然違っていた、
なんと言えばいいのかわからないが群れがキッチリ並んでいるのだ、それも種族ごとに分かれている、
一番足の速い狼型は群れは右端、左端は猪型、真ん中はオーク、その後ろがゴブリンと蛇型の魔物が並んでいる。
そのほかにもさまざまな魔物が種族ごとにならんでいる。、
飛ぶ魔物のも、だいたい三つの層に分かれて並んでいる、低い所を蜂型などの虫の魔物、その上がワイバーンが飛び、一番高い所を翼竜が飛んでいる、
なるほど、これなら群れとして来るより個々の種族が力を発揮しやすそうだ、
「これは誰かまとめ役がいるのう、まとめ役と話が出来ないものかのう」
山の龍はきれいに並んだ魔物の群れを見てマトメ役の存在を確信した、これなら話し合いが出来るかもしれない、
これまでの無謀に攻めて来るのを辞めてほしく話し合いが出来ないものかと考えた
「話し合いの申し入れならわしが行こう」
そう切り出したのは翼竜の黄色だ、黄色はもうだいぶ歳をとってしまい鮮やかだった黄色い体は薄い黄色になり鶏冠も削れ、
羽も鱗も所々欠けてしまっている、昔は魔物の群れが押し寄せるとかなり張り切って戦っていたが、
ここ三百年は戦わず、眺めているだけになった、翼竜は大抵千五百歳で寿命を迎える黄色もういつ龍神様から迎えが来てもおかしくなかった。
「そうか行ってくれるのかすまんのうだが、危険ではないか?話し合いになったらいきなり殺されるかもしれんぞ」
「殺されるかもしれんから老い先短いわしが行くんじゃ、それにわしもあの魔物の群れとは一度話をしたいと思っていたのでなあ」
「そうかすまないな、話し合いに答えてくれるか聞いてみれうかのう」
こちらに向って来る群れに山の龍は大声で叫んだ、
『話がしたい、まとめ役はいるか?』
山の龍の雷でも鳴ったかと思うほどの大声があたり一面に鳴り響くと魔物の群れの行進が止まった。
そのまましばらく黙って魔物の群れは止まっている、
「これは話し合いに応じるみたいだの、わしが行ってみよう」
「待て、危険じゃ、返事を貰ってから行くのじゃ」
「なに、向うもこんな老いた翼竜をいきなり殺したりせんだろ」
山の龍の静止も聞かず黄色は飛んで魔物の群れに行ってしまった。
魔物の群れは動かず黙って黄色が来るのを待っていた、
そのまま黄色が群れの前に降り立つと歩いて群れに近寄った、
すると一番前にいたオークの集団がゆっくりと黄色に近づいて、
持っていた石や木の棒で黄色を殴り始めた。
読んでくれた人に感謝です。