第七話 犬山
さて、暗躍は順調だ。
手紙を送ったり使者を送ったり、また直接招待したり訪問したりとね。
しかし俺には他にも色々と、やらねばならない仕事がある。
なんせ城主様だからね!
今後を見越しての、アレやコレや(裏)工作とか試行錯誤もしてる。
やってることは実に様々。
木曽川を使った水運関係に、兵器関係。
あと情報網の構築とかね!
そう、水運と言えば川並衆と通称される集団を手懐けた。
あと蜂須賀党と言う地侍衆も。
此奴らは実に使い勝手が良い。
商人でもあり、傭兵でもある。
美濃国を睨むに当たり、実に有用だ。
他にも、木曽川から齎される恵みにウハウハである。
信長は熱田から富を吸い上げているし、負けてられん!
あとは前、信長に貰った鉄砲の量産を目指している。
硝石も何とかなったんだ。
変態力を想起すれば、どうにかなるさ!
経済力を高めて、鉄砲と硝石の生産。
いずれも、今後を考えれば沢山あればあるほど良いモノだ。
勿論、基本たる米の生産も疎かにはしてないぞ?
取れ高を一定に保つ努力は怠っていない。
田畑には杓子定規が良く似合う。
隠し田も、申告すれば減税、摘発なら厳罰とか。
そんな風に飴と鞭を駆使してやってるぜ!
民衆からの支持も、悪くはないはず。
* * *
ところで俺は今、大量に犬を集めて飼っている。
なぜかって?
犬山城主だからさ!
ごめん、嘘。
いや、あながちウソでもない。
犬山と言う地名に肖って、犬を手足にやったるでー大作戦だ!
元より俺は犬派である。
犬公方ならぬ、犬領主と呼ばれることも吝かではない。
あれ?犬公方って悪い意味でのアダ名だったっけ?
だったら、やっぱり嫌だ。
無かったことにしてくれたまえっ!
真面目な話、ちゃんと訓練すれば軍用に使えるはずだ。
小荷駄を引かせたり、斥候・偵察に用いることも可能だろう。
信長には失笑されたが、俺はやれると信じている!
犬とは別に、家臣の織田清正にあるお願いをした。
清正には修験者の祖父がいる。
その線で、山伏とかを用いて情報を得ることが出来ないかと思った訳で。
山岳修行を宗とする修験者から、甲賀や伊賀の専門職の方々と繋がりが持てないかなと。
まだ回答待ちだけど、目はあると思うんだ。
* * *
そうそう、目標にした”織田一族の死亡フラグ折り”について一つ。
信長は昔に比べて、かなーりマイルドになっている。
間違いない。
でも、まだまだ短気であることも事実。
「ついカッとなってやった。まあ気にするな。」
なんてことを、平然と言うような奴だ。
だから、俺に出来るフォローはしておきたい。
そんな訳で、俺は信長と密約を結んだ。
内容は至ってシンプル。
一族や家臣を処分・追放する時は、まず俺に預けること。
そしたら俺が改めて見極める。
落ち着いたら連絡して、また考えてさせる。てなもん。
信長は”ガンガン行こうぜ!”
俺は”命を大事に。”
これで結構、上手く回ると思うんだ。
場合によっては、訴訟も辞さない。
* * *
ん?
ああ、準備整った?
あんがと。
さて!
今後を決める大事な会議、開催と行きましょうか!
ついカッとなり、一日一品を順守出来なかったことをお詫び申し上げます。
このままでは、三十数話への到達も軽く成し遂げそうですね。