第四十四話 地位
北条家と同盟を締結。
署名したのは、織田信清と北条氏政。
* * *
さて、北条家と織田家の同盟する。
これは一見、何も問題はないよね。
では何故、敢えて”俺”と”北条当主”が同盟する形にしたのか?
それは、織田信長を天下人にするため。
武田を滅ぼし、四国を制し、毛利との激突も近い。
先日は能登と飛騨国を抑え、上杉との小競り合いも増えてる。
九州と東北にも頻繁に使者を往来させ、情報収集にも抜かりはない。
天下統一へ、王手をかけそうな段階に至る。
だからそろそろ、天下のことを具体的に見据えるべきかなと。
「それが、なぜお前との同盟に結びつくのだ?」
いやホラ。
信長と北条家が結んだら、対等同盟になっちゃうじゃん。
そしたら、北条家の地位が高すぎるじゃん?
信長は天下人として、一段高いとこに居るべきだ。
対等な大名がいちゃいけない。
少なくとも、政治の場では。
「むぅ……。」
お、膨れた。
何、私人であればいくらでも対等で居てやるから。
そんな渋るなよ。
「チッ。まあ、そういうことなら良い。」
応よ。
全力で押し上げるから、ちゃんと乗っかれよ?
「判っておるわ。どうせ、信広兄者などにも根回し済なんだろう。」
お、察しが良いな。
その通り。
足利義助にも、諒解を得てる。
何かしらんが上手いこと通じてるから、問題ないぜー。
* * *
そんな訳で、諸々条件コミコミの同盟締結となったのさ。
端的に信長から見ると、従属的同盟ってことで。
北条家でもそれを認めてくれたんで、平和に締結出来た。
良かった良かった。
このように、信長の天下取りは順調に推移。
脇差での殴打を、甘んじて受けた甲斐があったと言えよう。
いや、別に殴られる必要はなかったよね。
でも仕方ない。
親愛の表れと取っておこう。
……今更、矯正は無理だろうし。
* * *
そんなこんなしてる頃、織田家は信濃国を完全に平定。
上杉の動きが嫌に鈍かったので、探りを入れてみたところ?
「上杉謙信が、倒れたようです。」
おお、もうそんな時期かー。
「はい?」
あ、いや。
なんでもないヨ。
それで、死んだのか?
「まだ未確定ですが、可能性は高いかと……」
ふーむ。
そういえば、三ツ者をちゃんと上手く使ってるようだね。
「恐れ入ります。」
うん、判った。
引き続き探らせてくれ。
あと、越中へも宜しくな。
「承知しました。」
* * *
それからまもなく、上杉謙信死去の確報が出た。
越中国へ兵を進ませてるけど、上杉の家督争いは発生するかな?
案外、一致団結して対抗してくるかも知れない。
信濃と出羽からも牽制が居るかね。
まあ、ともかくも順調に動いてる。
で、あるが故に。
足元を注視し、転ばないように引き締めないとね!
何某の誕生日が近いので、鶏肉の調味料漬けを食しました。旨し。
サブタイって、無理して変に付けるなら無い方がマシだったりしますかね。