第四十三話 懸案
石山本願寺に対し、移転を指示。
移転先は、京都。
* * *
京洛畿内界隈は落ち着いてきた。
本願寺がある石山は、史実で大坂城が築かれたように好立地。
流通を掌握するためには、確保しておくに越したことはない。
でも、ただ出てけって言っても顰蹙を買うだけだろう。
だから敢えて都にでも替地を与えたら、案外素直に移ってくれるんじゃないか。
そんな希望的観測をした訳だが。
まあ、淡い期待だったね。
本願寺、挙兵。
* * *
史実での挙兵は、足利義昭の手引きによるものだったけど。
今回の挙兵は、あれだ。
暴発。
首脳部はともかく、枝葉は色々とややこしい。
特に、紀伊の国を平定したことから戦々恐々としてた派閥があった模様。
雑賀衆の一部とかが。
他の雑賀衆や根来衆とかは、普通に雇用されたのに。
やれやれだぜ。
まあとにかく、そんなんが徴収に反発したわけさ。
強制徴用って訳でもなかったんだが……。
しかも、どこにも後ろ盾はない。
それで大丈夫だと思ってるんかねぇ?
伊勢長島も挙兵した。
そして鎮圧された。
信興は留守だけど、嫡子の信定に言い含めてたから。
近くに信正と伊賀衆が居たのも大きかった。
伊勢長島と言えば、史実で大勢の一族が戦死した曰く付の場所。
常に目を光らせていたのさ。
お陰で、何事もなく終結した訳で。
* * *
伊勢長島は容易く落ち着いたけど、石山本願寺はそうもいかない。
勢力が大きければ、その意思統一も難しい。
それも、一度動き出したら止めるのは大変だ。
宗主はカリスマの持ち主だけど、流石にね。
とは言え、宗主周辺は挙兵が無謀と知ってるようで。
内々に接触してきた。
なるべく早く収拾つけて、京都に移りたいと。
そうだよね。
将軍は勿論、毛利も三好も摂津衆も当てにならず。
周囲は全部織田家のもの。
ちゃんと現状把握出来る奴で良かったよ。
暴走した末端は切り捨ても已む無しとのことだったので、物理的に切り捨てた。
* * *
後日、石山本願寺と和睦を締結。
本願寺は石山を退去し、京都へ移った。
* * *
これで、また一つ懸案が解決した。
一向宗徒の数が減ってないのは、まあ仕方ないね。
いずれは史実同様、幾つかに分割させるとしよう。
さて、次の懸案。
北条家の扱いを、そろそろちゃんと決めないとね。
* * *
「北条と同盟?」
うん。
以前から秘密協定を結んだり、共同戦線を張ったり。
割と友好的だと思うんだ。
「まあ、利害が一致していたからな。」
そうだね。
だからさ、いっそのこと同盟結んじゃおうぜ!
「だが、向こうが是とするか?」
領地が接して摩擦が、って心配もあるけどね。
だからこそ、色々取り決めておいた方が安心だと思うんだ。
「ふむ。して、条件は?」
関東一円を任せる。
あとは、関東管領に擬すると良いかもね。
上杉と完全に切れるけど、そっちとの同盟はないでしょ。
「まあ、ないな。」
じゃあ大丈夫だよね。
それじゃ、北条家は俺と同盟するってことでっ
「ああ……、ん?いや、ちょっと待て!」
おー、どした?
「なぜ北条がお前と同盟するのだ。」
チッ、ばれたか……。
おおっと、脇差を掲げるのはナシだぜ!
いつまでもそれで俺がビビると思っ
はぐぁっ
本願寺は慎重を期して、周囲をかなり掃討してから手を出しました。
史実では、織田一族が多数戦死した泥沼でしたので。