第四十話 四回目
第四回!織田一族大会議、はじめるよー。
主催は俺で協賛が信長。
いつものことだね。
主な参加者は絞って、信広殿、信勝、信成、信忠、信益。
あとは信張の嫡男・信直とか、信興の嫡男・信定とかの若い衆をメインに。
* * *
さて、まずは武田の滅亡について。
「信玄めは大きな脅威と思っていたが、意外とあっさりだったな。」
見極めが大事ってことだね。
それに信章のこともあるし、あっさりって訳じゃないよ。
「そうだったな。うむ、大儀であった。信成には甲斐を与える。」
「ははっ、有り難き幸せ。」
まあ、論功行賞は置いといてだ。
武田家始末のことで相談があるんだ。
「ほう。大体のことは一任するが、それでもか?」
うん。
まず、原則として武田一族は処刑だよね。
「そうだな。問題ない。」
ただ、根切りは良くない。
越前みたいに、前統治者は少しばかり必要だと思う。
「生かす、ということかい?」
ギッと信成が殺気を飛ばしてくる。
信章のことで、信成は武田に対して恨み骨髄だからなー。
でも、ここで引き下がる訳にはいかない。
為政者として、恨みを持ち続けてちゃダメだから。
腹に力を入れて続けるよっ
* * *
武田信玄の弟たちは全員切腹。
子供については、四男と五男を死罪とする。
長男と三男は夭折しており、四男・勝頼が事実上の嫡男扱いだった。
そんで、次男は盲目で出家しているので助命したい。
あと勝頼の嫡子は、織田家の血筋に連なる者だから助ける。
てーか、もう尾張犬山に連れて来ちゃった。
「馬鹿なっ!」
「信清殿にしては、随分と甘い差配だな?」
「そうです。叔父上らしくありませんよ。」
あれー?
俺っていつも、そんな残酷な仕打ちしてたっけ……
と、ともかく!次男は必要だと思う。
暫くは、統治の拠り所は有った方が絶対良い。
その立ち位置は使いやすいはずだし。
血筋に連なる者は、可能な限り助けたいし……。
「まあ、それは良い。しかし確か、信玄めには六男も居たはずだが?」
……。
岩倉殿が、連れて逃げた。
「「「は?」」」
* * *
放流してた岩倉殿は、実に自由に生き抜いたようで。
今も織田家に戻ることなく、武田信玄の六男を連れて越後へ亡命したらしい。
いやー、何と言うべきか。
まあ、仕方ない。
生きてればどこかで会えるだろうし、その時詳しく聞けばいいさ。
* * *
何はともあれ、武田の始末はついた。
珍しく、俺と信成とで意見交換会が発生したが。
信勝が諌める一方、信広殿と信長が煽ってたのは絶対に忘れんぞ。
* * *
次は西の情勢。
「では私から。播磨・丹波・丹後は平定。秀孝は因幡まで進んでいます。」
信勝の説明により、中国路は概ね順調そうなことが判る。
信勝自身は穏やかな気質だが、その家臣には猛将が多い。
飴と鞭が自然に揃ってて、結構悪質な部隊なんだよな。
お陰で進軍速度はゆっくりめだが、平定後の謀反率が非常に低い。
良いことだ。
「……と言うことで、徐々に毛利の影響が強くなってます。」
山陽道は播磨国、山陰道は因幡国まで侵攻して一旦停止。
備前・美作・備中へは手を入れてる最中だとか。
「成程……。判った、必要に応じて援軍を差し向ける。以後も頼むぞ。」
「御意!」
毛利が見え隠れしてきたかー。
と、言うことはだ。
信長ー。
アレ、いいよな?
「ん?ああ、アレか。いいぞ。」
よし、信忠。そして信益。
お前らに、南海道を任せる。
「「はっ!」」
* * *
西へのテコ入れ。
つまり、三道併進策だよ!
一族も各地にばらけ、集まって会議するのも難しくなってきました。
次に集まるのは、天下統一になると良いですね。




