第三十一話 準備
東美濃。
具体的な日時は忘れたが、ここに信濃国から武田が侵入してくる。
そして後の織田勝長が甲斐に送られ、俺たちの叔母に当たる於艶さんが磔にされる。
そんな未来が予測される土地だ。
俺が居る以上、そんな不幸は許さない。
そして遠江の乱で武田の影が見えた以上、手抜きも見逃しも絶対にない。
徹底的に、対処し防波堤を築くのみだ。
* * *
と、言う訳で叔母上。
しばらくの間、将兵を駐留させますので、どうか。
「承知しております、信清殿。……時に、養子の件は考えてくれましたか?」
ああ、はい。
一応、信長にも相談しまして……。
「そうですか。では、楽しみに待っていますね。」
朗らかに微笑む、我らが叔母上・於艶さん。
於市ちゃんと同系統の、結構な美人さんだから絵になるなあ。
それはともかく。
本来なら信長の五男が送り込まれる筈だったが、何故か俺の子を送ることになった。
自分が率先して動いた結果だろうけど。
嫡男は流石に無理なので、次男・信景を送ることにした。
* * *
そういえば、今のところ俺は三男四女に恵まれてる。
側室は二人。
つい頑張ってしまったが、信長には到底及ばないので勘弁して欲しい。
側室の内一人は、以前ロリコンじゃないと断った寛貞の娘・智。
いや、安心して欲しい。
ちゃんと成長してから貰ったからね?
それよりも、断りきれなかったことの方が問題だよね。
でも仕方ないよね。
側室でも良い押しかけ女房って、居るんだねぇ。
そんで嫡男は信益。
信長の嫡男・信忠、信勝の嫡男・信澄と一緒に道三殿について、色々お勉強中。
長女・琳は信忠の嫁。
次男がさっき言った信景。
こいつは智の子。
三男は康清、次女以下は花嫁修業中と言う名のモラトリアム期間。
あともう一人の側室・水は、ついこの前東海道筋から迎えた。
歳の差は大きいが、もう気にしないよ!
まあ、俺の家族構成はどうでもいいか。
信景を送るに当たり、寛貞の嫡男・忠寛を付ける予定。
下山組からも人を送るし、将兵も充実させる。
道三殿にも知恵を借りつつ、何とか持たせたいものだわー。
* * *
あと三河の国に、松永殿の飛び地を作った。
名目は、大和で興福寺を優遇した結果、煽りを食った松永領の補填。
そして、俺と一緒に重火力部隊を作ろうぜって誘致した。
反面、信勝から指摘されたことへの対応でもある。
「義兄上には懐いてるようですが、私はまだ信用出来ません。」
とのこと。
まあ、こっちが普通の反応だよね。
秀孝たちも頷いてたし。
てーか、懐いてるとか言うなよ!
気色悪いっ
ともかく、次は武田戦が組まれる可能性が高い。
だから、火力が必要なのは本当なんだよ。
* * *
準備は各地で着々と進む。
俺の管轄は京洛周辺と、東が主なんだが。
海の方、つまり水軍についても考えておきたい。
一門の佐治信方に相談して、アレコレ考えてみたが中々に難しい。
だから信長に許可を貰い、九鬼衆にも相談してみた。
鉄甲船を作れないかと。
いや、歴史の知識から作れるらしいのは知ってるんだ。
ただ俺が、詳しいことを知らないだけで。
でも普通に鉄を貼ったら、重くて沈むよね。
ペリーの軍艦も、黒いのは何か塗ってただけって聞いたことあるし。
その辺りも交えて、考えてみよう。
もとい。
考えて貰おう!
丸投げって素敵だ。
いや、素人は口を挟まず、専門職に任せるってだけだよ。
ホントだよ?
黒船はタールを塗っていたとか。炭的な何か?良く判りません。
専門家に任せて丸投げと言うのは、現代社会でも良くあることです。閣僚とか。