第二十四話 上洛
浅井家との盟約は、婚姻関係を結ぶことなく進められた。
信勝の主張に沿った形になったね。
請われれば考えるが、こっちから持ちかけることじゃないと断じて。
それでも盟約は結べたから、結局問題なかった。
足利義昭を推戴して、六角と対抗することを視野に入れた盟約だったからかな?
そう、遂に信長は足利義昭を迎え入れた。
コイツを名目に、上洛するのだ!
* * *
前後して、伊勢国はサクッと攻略した。
ずっと生産を続け、延々貯めてた硝石をガッツリ使った大鉄砲隊大行進でな!
勿論これは、信長が集めた奴とは別口。
領内で進めた鉄砲の生産も、まあまあ上手く行って量産体制を整えつつある。
火力こそ力。
弾幕はパワーだぜっ
国司の北畠は、圧倒的な火力の前に沈黙。
呆気なく降服した。
例え剣豪でも、どうしようもない現実ってあるよね。
予め伊賀衆とは、本領安堵と仕官誘致の秘密協定を結んでおいた。
そして伊賀口近くの豪族は、早々こっちに付いて援助を求めた。
これが伊勢侵攻の名目。
全部予定調和。
あとは佐治水軍を動員して、海からも攻めてみた。
でも残念ながら、戦果はイマイチだった。
水軍は今後の課題だけど、九鬼が復活したら行ける筈!
鉄甲船に大鉄砲隊。
夢が広がりんぐっ
佐治水軍には、佐治信方と言う若き一門のエースがいる。
此奴も義兄弟に当たる。
彼を旗頭に、九鬼の若い衆と協調・競争させて育てていきたい。
こんな風に言うと、何か育成ゲームみたいだね。
やったことないけど。
そんな勢いで志摩国まで侵攻して、九鬼の若い衆をトップにつけてやった。
今後は水軍衆たちの働きも期待しよう。
その奥、紀伊国はちょっと難しいから放置で。
伊勢が落ちたから、近江路が更に安全に!
* * *
俺は伊勢平定に掛ってて、上洛には同行してない。
でも伊賀衆経由で、甲賀衆に手は付けてる。
信長の家臣にも、甲賀出身者が居たから話は早かった。
六角は対抗してきたが、あっさり蹴散らした。
信勝と秀孝が。
大鉄砲隊を広良に率いさせ、信勝に預けたのが大きかったかな?
火力こそ(ry
六角は敢え無く降服。
当主親子は、尾張犬山に回送されたらしい。
また俺んとこかよ。
確かに殺すなって言ったのは俺だけどさー。
ま、物はやり様。
上手くやれば、どうにかなってくれるだろう。
権威の残滓は使い勝手が良い。
斯波と吉良を確保したから、もう要らんとか思ってたけど。
……いやはや、最近考え方が益々ドライになってるな。
特に、身内以外に対しては完全に「その他」だ。
ちょっと、危険な兆候だよね。
広良や信成と言った、良心を大切にしないとな。
いや、信成はああ見えて結構苛烈なとこもあったわ。
優しげな美丈夫なのに、時々その言葉がね。
そこはやはり猛将・織田信光の嫡男と言うことか。
俺に対してだけとは考えない。
改めて。
信勝や広良、何だったら宗政と言う、ストッパーに期待だな!
* * *
さて。
信長は畿内に入っても、その火力で三好らを圧倒。
降服した者は許し、逃げた者は追走し滅ぼしたようだ。
事前に、三好には容赦するなと伝えた結果がこれ。
ちゃんと実行してくれて嬉しい半面、過剰火力だったかと戦慄した。
こうして信長は、足利義昭と共に上洛を果たした。
一緒に行きたかった……。
五十話前後で完結と仮定すると、間もなく折り返し地点。
上洛を中間とすると、少し厳しいですかね。