第十四話 国譲
美濃の国で御家騒動勃発。
簡単に言うと、命を掛けた親子喧嘩だね。
結論から言えば、史実通り斎藤道三は敗北。
そして、美濃国における織田家の影響力は排除された。
表向きはね!
* * *
さて。
俺は今、どこにいるでしょーっか!
答えは!
何と!!
東美濃ですッ!!
ナゼ何どーして!?
* * *
これには深い意味があったりなかったり。
俺は、知識として斎藤家の御家騒動を知っていた。
だから最初、予めどうにかしようと考えた。
でも結局、騒動には介入しなかった。
何故か?
どう動けば良いか、非常に迷ったからさ。
信長の岳父でもある道三殿だが、晩年は何かとミスが多い。
マムシと言われようと、そこは人間。
衰えもする。
具体的に言うと、嫡男よりも三男を可愛がったんだよね。
いや、可愛がるだけなら別に良いよ?
でも、それで三男が増長したから堪らない。
更に、三男が二男と仲が良かったからまた拗れる。
何と、二男と三男が嫡男を軽んじ始めたんだ。
軽挙妄動ってやつだね。
そこで嫡男はぶち切れですよ。
坊主憎けりゃ袈裟までと言うか、そうなった原因たる実父にも矛先は向く。
ついでに、自分は道三の実子ではないとまで言い始める。
実際どうかなんて知らないよ。
でもね。
斎藤家の家臣たちが誰を支持したか、それが全てだ。
実は全て道三殿の姦計で、蠱毒を為したとかいう説もあったような?
でも、美濃は全て信長の物に成ってしまったからその線は薄いかな。
ともあれ、兄弟喧嘩だったら間引かれる前に引き抜くとか、そう言うことを考えてたんだ。
でもねぇ。
既に驕り高ぶった奴を引っこ抜いても、邪魔にしかならないよね。
信長の妻の兄弟だから、一族と言えなくもないけどさ?
正直、そこまで俺の手は長くない。
だから見捨てた。
取捨選択は大事だ。
そこはちゃんと信長にも言ったし、了解も得てる。
信長としても、さして親しくもない義兄弟。
しかも驕った馬鹿。
そんなのを助けたいと思う程に優しくはない。
ただまあ。
岳父は出来れば助けたい、と思っていたようだけどね。
口にはしなかったよ。
それが強がりとか意地とか、もしくは他の何かまでは判らないけど。
だからね?
助けたよ!
* * *
「始めまして道三殿。信長の従兄弟で義兄弟で大親友。犬山城主の織田信清です。」
戦場で嫡男に敗れ、自刃を決意した道三殿を、文字通り攫ってきた。
問答無用で。
ついカッとなってやった。反省はしてない。
「織田信清殿。……信長殿の義兄弟にして守護代を任せられる英傑か。何故に助けた?」
ひぁーっ
何か英傑とか言われてるよ。
あの、マムシ殿に!
「信長が死んでほしくなさそうだったから。」
「ほう?」
「信長にとって、貴方はもう一人の父だ。だから助けた。」
「……。ワシが居ては困ることもあろうに。」
うん。
まあ、だから東美濃に居る訳だけど。
てーか。
あんだけミスを重ねた人が、随分澄み切った反応してるな。
「因みに。」
「ん?」
「信長には言ってない。」
お、道三殿が目を丸くしてる。
ちょっと面白い顔になったな!
そう、信長は死んで欲しくなさそうな気配は醸し出してたが、何も言ってない。
つまり、何も指示されてない。
でも、助けなくて良いとも言われてない。
ま、どーにかなるさァ!
* * *
その後、信長は道三殿が事前に遺書として認めた国譲状なるものを取得。
これを大義名分として、美濃攻めへと邁進する。
但し、道三殿は死んでない。
信長が知るのは、まだ先のことだ。
果たしてその時、信清の運命や如何に!?
蠱毒と言うのは、非常に胸糞悪い呪いの一種です。気になったら調べてみよう!
さて、独断専行し信長を欺いた信清の運命とは!?
コマンド? 1.脇差 2.湯呑み 3.星