第十二話 元締
前に清正に頼んでいた案件、来たよ。
キタキタキタキタ、遂に来た!
* * *
「殿。こなたが招聘に応じた伊賀者に御座います。」
おう!
ご苦労さん。
清正の後ろに控えるのは、野武士然とした男が三人。
「直答を許すので、答えを聞かせてほしい。」
* * *
冷静な言動とは裏腹に、俺は今、実にハイテンションだ!
なぜなら、目の前に居る彼らこそ本物の忍者(仮)だからだ!
これで興奮するなと言う方がオカシイよねっ
消えたり分身とかの本物じゃないのは百も承知。
それでもやっぱ、ロマンだよねぇ。
鍛え抜かれた人の技ってのは、時として伝説にもなる。
ロマンは大事だよ。うんうん。
* * *
「その前にまず、確認させて頂きたい。」
なんだい?
「我らに仕官を、とのことでしたが。」
そうだね。
「仕官、とは武士として、と言うことでしょうか。」
そうだよ?
「……誠、ですか?」
勿論さァっ!
グッと詰まる頭分と思われる忍者(仮)
最初は軽輩クラスからになるけど、大丈夫だよね?
「は、ははっ!あ。いえ、それ以前にっ!」
なんだよぅ?
「誠に、宜しいのですかっ!?」
宜しいんだよぉ!
「……おおっ。」
うん?
「是非!是非とも我ら三人、お仕えさせて下さいませっ!!」
おおっ!?
びっくりしたわー。
がばちょッと大げさに平伏する忍者(仮)たちを見詰めること暫し。
これはあれかね。
やっぱ草の者は扱いが悪いとかそういう?
「はい。そう聞いております。」
清正が答えてくれるが、当の忍者(仮)たちは平伏したまま全く動かない。
ま、ちゃんと働いてくれるなら問題ないよ。
出世も可能だよ?
「ははーっ!誠心誠意、お仕え申し上げまするッ!」
うん、宜しく。
他にも希望者居たら、募ってみてね。
あ、窓口は清正、お願いね。
「承知しました。」
* * *
忍者(仮)ゲットだぜっ
これで勝つるッ!
* * *
最初に情報は武器だと言ったと思うが。
これで、川並衆や蜂須賀党とは違う方向での情報収集が可能になった。
修験者は修験者で、今後も継続して使って行く予定だ。
蛇の道はヘビとも言うしねー。
今川や斎藤、六角とか三好の動向は正確に把握しておきたいからな。
どんどん増量して行こう。
* * *
そういや今、斯波義銀って子を匿ってる。
広信に殺された守護様の嫡男なのだが。
どうもコイツ、せっかく信長に守護にして貰ったくせに信長追放を企んだらしい。
あっさり露見して、逆に追放されることになったようのだが。
名門意識は結構だが、判断力に難があるとかダメだろ。
信長と結んだ密約第一号が此奴になるとは、予想だにしなかったよ!
いやあ、信長がちゃんと約束を守ってくれたのは嬉しいんだけどね?
何か、上手い使い道ってあるかなぁ……。
戦国転生のお約束。忍び衆の良待遇引き抜き大作戦。テンプレですね!
プロットを確認してみたところ、ひょっとすれば四十数話での完結も夢ではっ