第十一話 平定
そんでもって。
三人で考えたことに加えて、信興が言ったことを元に熟考する。
即ち、信長を守護代にするということだが。
存外、悪くないよね?
差し当たり、守護である斯波家を滅ぼすつもりがない以上、守護代は必要と言えよう。
なら、それに信長を充当すれば良いじゃん?
でもそうすると、岩倉をどうするかって話になるよね。
ふむ。
滅ぼすか?
わざわざ広良を入れたのに?
ないな。
信家を継がせて傀儡に?
微妙。
だったらさ?
むしろ、俺が守護代に!
「「それだっ!!」」
えっ!?
* * *
さてさて。
守護様を使っての守護代総入れ替え大作戦、はーじーまーりーっ。
清州の守護代は守護様経由であれやこれや。
信長、そっちは任せたっ!
俺は岩倉の方に当たるから。
とは言え、嫡男もいるのに割り込むのは難しい。
普通に考えるとね。
じゃあどうするか?
暗躍するとも!
* * *
まず、広良を伴い信家と面会。
事の次第を話し、了解を得る。
次に信家と一緒に信安を訪ねる。
いやあ、知己って便利だね。
会議に出席して、信長の意志などを確認した信家は既に同志だ!
信安には選択肢を提示する。
岩倉城主と守護代、どっちを優先するのか。
それ以外は、没落追放しかないよ!
俺としても、追放とかしたくない。
信安は義理の叔父だし、信賢・信家兄弟は従兄弟に当たる。
だから、穏当な選択をして欲しいと願っている。
みたいなことを、宥め賺して話しましたとも!
結果、願いは半分叶った。
* * *
信安は守護代の譲渡を受諾。
但し、嫡男信賢は反信長派。
対して、次男信家は親信長派。
それぞれ派閥を率いており、対決は避けられない。
なら、これを利用しよう!
勝った方を信安が認知し、家督を譲ると言う流れにねー。
そしてもう一つ。
信家には俺や広良が付いているし、十中八九、負けはない。
対して信賢は敗れるだろうが、信安にとっては仮にも嫡男。
だから、命を取ることはしないで欲しいと懇請された。
望むところだ!
隠居なり分家なり出家なり、良いように遇すると約束した。
但し、信賢が何を選ぶかは尊重したいと思う。
* * *
さて、信賢も馬鹿ではないので、信家や俺の動きに気付いている。
だから両勢が緊張するのは当然のことだった。
そんな中、俺は広良を通じて岩倉の重臣たちと面談。
話を付けて信家の支援とした。
緊張が続いていた岩倉周辺だが、やがて爆発。
信賢と信家の兄弟間で戦が始まり、実に呆気なく幕を閉じた。
戦力差も然り乍ら、情報戦でも圧倒的でしたよ我が軍は。
そして信安は信賢を廃嫡し、信賢は剃髪して出家。
信家が新たな嫡子となった。
後日、機を見て信安から信家に家督を譲られる予定なのだが。
差し当たり、俺の指揮下に入ることを内諾して終了!
* * *
俺はまだ守護代にならない。
信長や信広殿は、すぐに守護代を交代すべきとしてた。
でも俺が時期尚早と押し留めた。
信安から信家に世代交代した時に、穏当に譲渡させるのが妥当だと思う。
そのように説得した。
正直、面倒だからね。
正に、
計画通りッ!
* * *
同時期、信長は清州の広信を滅ぼし、守護代・清州城主となった。
実はこれに連動して、密かに尾張中に種を蒔いてたんだよ。
反信長派は、広信と信賢に同調するように、ってね!
お陰で綺麗にまっさらサァー!
こうして尾張の支配権は、信長の元に帰結した。
* * *
暗躍完了。
十一話目での尾張平定が早いのか遅いのか、悩むところです。
そして投稿からまだ一週間ちょっと。驚きです。少し息切れ気味。物理的に。