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第一話 織田家

ふと気付くと、俺は戦国時代にやってきていた。

何を言っているか判らないと思うが、俺も最初は意味が判らなかった。

ま、要は記憶持って転生したみたいってことさ!


記憶とは即ち知識、情報である。

そして情報は武器。

これは紛うこと無き事実である。

歴史の知識を持った者が、それを武器にこの時代を駆け抜けようというのだ。


それを理解した時、俺の心は躍ったね。


まあそうは言っても、変に掻き回すと武器たる知識が武器足り得なくなるという懸念もある。

それを踏まえた上で、俺は決めた。


とりあえず、流されるがままに生きよう!


ぶっちゃけ、色々難しく考えても答えが出そうになかったので、やがて俺は考えるのを止めた。




* * *




さて、俺が生まれた家は織田家であった。

それを知った俺は喜んだ。


ひゃっほーう、これで勝つるッ!!


それはもう、大いにはしゃいだ。

だってそうだろ。

織田家だぜ?

あの歴史の英雄・織田信長に接する機会を得たと思ったのだから。


そう、誰もが知る織田信長の織田家だと信じて疑わなかった訳だ。

俺が生まれ育ったこの地が、犬山城と言うことを知るまでは。


* * *


まあなんだ。

色々な葛藤や騒動が起こったが、判ったのは俺は織田信長の兄弟や息子ではないということだ。

この時点で気落ちしたが、とりあえず詳細を調べ続けた。


すると、俺の父親は与二郎信康と言い、信長の父・信秀の弟であり、つまり俺は信長の従兄弟に当たるらしいことが発覚。


ヒャッハー!

やっぱ勝つるッ!!


それを知った俺は狂気した。

間違えた、狂喜した。


俺は親父の嫡男だ。

つまり、将来は犬山城主となることが確定している。


信長の従兄弟と言う、かなり近い一族で、尚且つ城持ち領地持ちである。

勝ち組間違いなし。

上手く信長と付き合っていけば、きっと明るい未来が待っているに違いない!





……と、思っていたのだが。

よくよく思い返すと、織田信長は尾張を統一する過程で、他の一族たちを粛清・屈服させていっていたよな。


記憶にあるのは、信長の弟・末森城主の織田信勝。

あれ、信行だったっけ?

二人いる守護代、織田大和守と織田伊勢守。

そして、犬山城主で信長の従兄弟である織田信清。


おぅふ。


俺、オワタ。




* * *




さて、俺が将来、織田信長に滅ぼされるであろう織田信清であることは判った。

理解が及んだ時は落ち込んだものだが、判っていれば回避は可能だ。

要は、信長に従えば良いのだ。


織田信長は弟を殺害したことから、身内にも容赦がないというイメージがあるが、実際は多くの身内を許していたはず。

記憶は曖昧だが、織田伊勢守や信清も追放されたが命は奪われてなかった気がする。


少し時代は下るが、伊賀攻めを失敗した信長の次男、信雄に対しても叱責はしたものの、確か処分はしてなかった。

津田信澄は信勝の息子だし。

自分の手で殺害した謀反人の息子を、許して歴史に名が残る程度に重用したという事実。


あと女子供には優しかったという話も聞いた記憶がある。


つまり、本当の信長は身内に甘く、優しい人間だったということだ!



……。



よっしゃ、これで勝つるッ!


穴が多かろうが、自分の精神こころを安定させるために必要な理論武装テンションだから問題ない。


方針は決した。

信長に逆らわず、大人しく従う。


これで行こう!



* * *



そんなある日、俺は那古屋城の一室にいた。


いきなりなんだと思うかもしれない。

俺もそう思う。


先日、突然親父から

「今から清州に向かう。準備せい。」

と言われ、訳が判らぬ内に馬に乗せられ連れてこられてしまった。


いや、行くのは別に良いんだよ。

良いんだけど、親父は清州に向かったのに、何で俺だけ那古屋にいるのかと尋ねたい。


御付の人に聞いたけど、無言で首を横に振られてしまった。

いや、意味が判らないんだけど……。


「吉法師様がいらっしゃいます。」


そんな俺の理解状況をガン無視し、事態は進んでいく。

吉法師とな?

織田信長の幼名が確か、吉法師だったような……。


ドタドタと板間を踏み歩く音が聞こえてくる。

音の軽さから考えて、体重の軽い者が意図して大きく踏み鳴らしているようだ。


混乱を来すあまり、無駄に冷静に今は関係ないことを考えてしまう俺。


「お前が従兄弟殿か!」


やがて、目の前に小さな暴君が現れた。




ちょっとした気分転換がてら、軽く十数話で終わる予定です。

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