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東方自由伝  作者: ABIS
9/11

天狗のさかづき

 魔里沙(マリサ)の住む魔法の森に一番近い町の外れに小さな小屋があった、臣はその小屋の中にいた。キノコからでた煙が晴れた時には何故か、この小屋の中にいたのだ。


臣 あのキノコ、踏んだ者をどこかに移動させる力があるのか?


 小屋の中はベットが1つにティーカップが二つ、小さな机には本が沢山重ねられている。空き家ではないらしい。勝手ではあるが、少しお借りしている。


臣 この小屋、魔里沙って人が用意したものなのかな?ちょっと不衛生じゃないか?


 今は日中、天気は晴れなのに小屋の中は真っ暗だった。窓がなかったからだ。


臣 それにしても霊夢とはぐれてしまったな・・・どうしようか・・・


臣 ここにいても始まらないか、外に出てみよう!確か町があったしな。そこにいけば、連絡をとる手段があるかもしれない!


 霊夢と合流するために臣はロウソクを吹き消し外に出る。しかし、臣の向かう町ではちょっとした騒ぎが起きていた・・・



 しばらく歩き、臣は町に着いた。


臣 何か時代劇の町並みって感じだな。テレビで何となく見たことがあるぞ。


 街道の両側に商店や茶屋などの建物が並んでいる。ちょうどお昼だったのでとても賑やかだった。


臣 それにしても、俺も少しは幻想郷になれてきたな・・・さっきのキノコもそうだけど、そう簡単には驚いたり、変だと思ったりしないぞ!



肉屋 はいはい!今日は牛の肉が安いよ!夜はティーボーンステーキ!これにきまりだね~!


臣 ・・・



茶屋の娘 ご注文はお決まりでしたか?


客 キャラメル・マキマート


茶屋の娘 かしこまりました♪


臣 ・・・・・・



店主 DVD新作一泊二日で100円だよ!


臣 ・・・・・・・・・



カメラを持った女 すいませーん!現像お願いしまーす!


店主 SDだけ置いといて。


臣 ・・・・・・・・・・・・


臣 ここは俺の思ってた世界とは・・・違う・・・


 少し右往左往しながら混乱してきた頭を抱えながら臣は自分に言い聞かせた。するとその様子を見つめる者がいた。


カメラを持った女 あれ?あの人は確か霊夢さんのところにいた。あの~?


臣 ん?


カメラを持った女 つかぬことをお聞きしますが、貴方は確か、昨日博麗神社に居られた方ですよね?


 誰だこいつ。という顔をしている臣に、女は自己紹介を始めた。


カメラを持った女 自己紹介が遅れました。私は幻想郷で新聞を書いている射命丸文しゃめいまるあやと申します、以後お見知りおきを。


臣 新聞記者?なんの用ですか。


文 少しだけ、取材をさせていただけないでしょうか?


臣 (かなり胡散臭いな・・・)


 絶対に裏がありそうな営業スマイルをかましてくる文に臣は一歩引いていた。そして、霊夢を探す臣にそんな余裕は無かった。


臣 (それに、背中に羽があると言うことはもしかして妖怪?・・・)


文 ・・・羽が珍しいですか?あ!臣さんには妖怪っていうものが珍しいんでしたね。


臣 妖怪!それに、どうして俺の名前を・・・


文 先ほど魔法の森にいらっしゃった所を見つけてしまったので、写真を撮らせていただいてました。そうしたら突然臣さんが消えたので、鈴夢さんに事情を伺い、探しに来たと言うことです。


文 臣さんを見つけたら取材でも何でも受け付けるって言ってたので、霊夢さんかなり焦ってたみたいですよ?


臣 そうだったのか・・・早く霊夢のところに行かなきゃ行けないな。


文 そうですね・・・ここは危険ですしね。


臣 え?普通の町だろう?なにも危険なんて・・・


 危険なんてないと言いながら、辺りを見渡す。普通の町並み、どうってことはなかった。


臣 なにも無いじゃないか?


文 そうですね。でもそろそろ、皆が新聞を見る頃何で・・・あ!臣さんも見ます?


臣 ・・・・・・・・・・・・・・・・!!



『博麗の巫女に熱愛発覚?お相手は幻想入りした年上の男』



 新聞の一面に臣と霊夢が手を繋いで、神社に入っていく写真が掲載されていた。


臣 なんだこれ!俺と霊夢はこんな関係じゃない!


文 いえいえ♪私はそのままの事を記事にしたまでです。私の新聞に嘘偽りはありませんよ♪


臣 熱愛発覚ってこれ事態が嘘だろう!


文 ちゃんとはてなマーク、付いてますよ♪


臣 そういう問題じゃ・・・ん?


村人 居た!あそこだ!!


 臣が文に文句を言っていると村人が臣に駆け寄ってきていた。何故か各々が武器を持っていて、鬼の形相で臣を睨み付けていた。


文 いい忘れていましたが、この村には霊夢さんのファンが沢山いらっしゃるんですよ♪


文 ほら!霊夢さんって綺麗で美人でそれでいて強くて、何て言うか憧れの存在って言うか、なかなかの人気者何ですよ♪


臣 じゃあ、あの人たちはもしかして・・・


文 霊夢さんの事が好きな人って事ですね。霊夢さんは今まで何人もの誘いを蹴ってきているんです。そんなときに、ひょっこり表れた臣さんと恋仲なんてことになったら村人たちは黙っていないですよ!


臣 なら、さっき言ってた危険ってのは・・・


村人 殺せ~!!!


臣 ヤバい・・・なああんた!助けてくれ!


文 どうしましょうかね~♪確かに助けるのは簡単ですが、取材も断られていますしねぇ~


臣 くぅ・・・解った!助けてくれたら取材でも何でも、俺に出来ることなら何でもするから、だから頼む!!


文 かしこまりました♪お助けしましょう♪


 そう言うと文は、抱きつくように臣の体を抱えた。右手にはスペルカードが1枚。


文 疾風「風神少女」!


 文がスペルカードを宣言すると、凄まじい突風が巻き起こり、背中の翼を大きく羽ばたかせ一気に上空へと飛び立った。とんでもないスピードで村から離れていく。


臣 (速すぎる・・・目が開けられない位だ・・・)


 危機を逃れた臣だったが、文は飛行を止めなかった。


臣 文!もういい!そろそろ降ろしてくれ!


 臣の申し出とは逆に文はキリモミ飛行を始める。


文 ちゃんと助けたんですから、お願いは聞いてもらいます。ここで死んでください♪


臣 何!まさかお前も霊夢のファンだってのかよ!


文 ご明察です!死体は適当な所において、あとで霊夢さんに報告しておきます。霊夢さんのために臣さんを探してあげたんですから、なかなか好感触ですし、邪魔者もいなくなって一石二鳥です♪


文 だから死んでください♪私のために!


 更に加速する文。臣は意識がとびそうなのを必死に堪えていた。


臣 (こうなったら一か八かだ!)


 臣は文に向かって拳を繰り出す。しかし、文にとってはたいした問題ではなかった。難なくかわし逆に臣を締め付ける。


文 女の子に殴りかかるなんて!後で記事にしてあげますからね!


臣 悪いな、でも掴んだぞ!


文 え?


 臣は別の手で文のスペルカードを掴んでいた。そしてすかさず宣言する。


臣 疾風「風神少女」!


 突風が巻き起こる。先ほど文が出した風の比では無いほど弱いのもだが、飛行を止めることができた。


臣 スペルカード、貸してもらったぜ!


文 私のスペルカード?そんなことって!


 文は動揺していた。臣はすかさず文の胸に手をおく。その手には霊夢のスペルカード。


臣 霊符「夢想封印」!


 光の玉が文を襲う。弱体化しているとわいえ、ゼロ距離からの不意打ちは流石に効いていた。これにより文の拘束も解けた。


臣 よし、脱出成功!


 更に幸運なのはここが魔法の森の上空だったこと。臣は大声で霊夢の名前を叫んだ。


文 あややや・・・これは不味いですね・・・


臣 なんとかなったか・・・これ以上俺を攻撃してたら霊夢に見られるかもだぞ!もうやめにしてくれ!


霊夢 臣!よかった、無事だったのね!・・・て、ボロボロじゃない!何があったの?


文 ・・・ 


臣 ・・・


 文は落胆していた、これから臣が話をしたらどうしようと思っていた。そして観念して、自分がしたことを潔く話そうとした時、臣が文を言葉を押さえて話始めた。


臣 文の新聞は見たか?


霊夢 ええ、見たわよ!そう言えば、あんなふざけたことを書いて!ただじゃおかないわよ!


臣 その事が、問題になってな!村人達に襲われていたところを文に助けてもらったんだ。


文 ・・・!


臣 私の記事で迷惑をかけたって責任を感じてたみたいだったよ。誤解とは言え霊夢にも迷惑かけたからって言ってな。


霊夢 そうだったの・・・文、ありがとう♪臣を助けてくれて!


文 あ・・・は、はい。


霊夢 でも、あの記事はちゃんと訂正してよ?


文 はい!必ず!


 それだけ言うと、文は山の方に帰っていった。


霊夢 あ!ちょっと待ちなさい!


臣 どうしたんだ?


霊夢 文が仲間になってくれたら心強いなって思っただけよ。異変解決なんて面倒くさいこと、手伝ってくれるか解んないけどね。


臣 (霊夢の頼みなら多分手伝ってくれるんじゃないかな)


霊夢 何か言った?


臣 いや、なにも?ところで、魔理紗の方はどうなったんだ?


霊夢 家には行ってみたけど留守だったわ。あったのは新聞だけ。それに、臣のことが心配でそれどこじゃなかったわよ!


臣 ・・・ありがとう。


霊夢 本当、無事で良かった♪


臣 ・・・今日はもう帰るか。


 臣も霊夢もくたくただった。魔理紗も留守中でやることもない。


臣 さっきの町で肉が安かったんだ。今夜は肉にしないか?


霊夢 良いわね♪そうしましょ♪


臣 ・・・俺は行けないけどな。



   その日の夜



 臣は神社の境内の掃除をしていた。霊夢は臣を探すために森中を飛び回っていたらしく、帰ったらすぐに寝てしまった。


臣 星が綺麗だ。こんなに綺麗で、近くに見たこと今までになかった。


 掃除をしながら空を見ていると、文が飛んできた。


文 幻想郷ではこれが当たり前何ですよ。


臣 そうらしいな。それで何のようだ?俺を殺しに来たの?


文 あの時、何でかばってくれたのか聞きに来たんです。


 文を助けるような発言をした臣の行動が、どうしても気になって文は臣の元に訪れたのだった。


臣 ・・・ただの気まぐれだよ。それに助けて貰ったのは真実だしな。


文 私はあなたを殺すつもりだったんですよ?それなのにどうして!


臣 ・・・好きなやつに、秘密がバレるってのは嫌なもんだ。それは誰でもそうだろ?人の秘密を話すってのは嫌だった。


文 ・・・


臣 多分、俺が文だったら話してほしくない。そう思ったら余計にな。


文 ・・・!


臣 ・・・スペルカード、返すよ!


 飛行してる文に向かって臣はスペルカードを差し出す。文は臣の元に降りた。


文 お願い・・・


臣 ん?


文 何でも聞いてくれるんですよね?


臣 ・・・そういう約束だったな。


文 目を閉じてください。


臣 解った。


 そういって臣は本当に目を閉じた、文は自分を殺そうとした妖怪、その張本人の前で自分から無防備になって見せた。


文 殺すつもりだったかもしれないのに、どうして目を閉じたんです?


臣 お前はそんなやつじゃない。そう思ったんだ。


文 ・・・


臣 もういいか?目をあけ・・・!


 臣がそこまでいいかけると、臣の唇を文の唇がふさいだ。突然の出来事に臣はここに来て一番動揺していただろう。そして口が離れたら文が続けた。


文 ふふ♪本当に変な人。


 困惑する臣。そんな臣に文は笑顔で答えた。


文 貴方に興味がわきました♪これから取材させていただきます。今のはお詫びです♪後、私のスペルカードが力になるのであれば、そのままお使いください!では!


 そこまで言うと文は夜空に飛び立って行った。無数に光輝く星たちよりも、文の笑顔が臣には輝いて見えた。


臣 ・・・・・・


 言葉は無かった。自分もそうだが文も十分変な人などと思いながら掃除の続きを始めた。






霊夢 ・・・・・・・・・


 


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