幻想郷と博麗霊夢3
二人は休憩ついでに少し話を整理することにした。臣が、このままでは話についていけない。との事だった。
臣 とにかく俺は、もとの世界と比べると危険で溢れているこの世界に幻想入りしてしまった。
臣 幻想入りというのは幻想郷に住む妖怪たちに、外の世界の人間を渡し、その人間たちを襲わせるというもの。
臣 俺は連れて来られて直ぐに殺されそうになったが、間一髪のところで君に助けられて、今ここで事の顛末を話している。
臣 そして俺は幻想入りと言うことを止めさせる為に、君と一緒にこの異変を解決する。そうすれば、もとの世界に戻れるかもしれない。って事だよな?でも、足手まといじゃないのか?妖怪に襲われたりしたら、太刀打ち出来ない。
霊夢 そうね。何故あなたが異変解決を手伝うかってのは、あなたには能力があるからよ。その能力を使用して自分の身を守ったり、一緒に戦ったりするのよ!
臣の能力について話す前に、幻想郷の住民の能力についての話を霊夢がしてくれた。
霊夢 この世界に住むものには全員ではないけど能力を持つものがいるは。能力の種類は人それぞれだけど、基本的に1人につき1つの能力がある。
霊夢 私の能力は空を飛ぶ程度の能力。私以外には、氷を扱うとか、炎を扱うとか数えきれないほど能力がある。
霊夢 能力は妖怪や妖精だけでなく私みたいに人間も扱う。だからあなたが能力を持っていたって、何も不思議じゃないのよ。能力については理解出来たかしら?
臣 この世界の能力については何となくな・・・で、俺の能力については?
霊夢 それを話す前にもうひとつ理解して貰う必要があるは。・・・これについてよ。
そういって霊夢は懐から掌ほどのカードを1枚取り出した。
臣 それは?
霊夢 これはスペルカード。主に弾幕ごっこという遊びに使用する切り札のようなものよ。
臣 弾幕ごっこ?遊びには聞こえないんだけど・・・
霊夢 聞えは悪いかもね。でも、これが良くできた遊びなのよ。見せたほうが早いわね、ちょっと外に出るわよ!
移動しながら霊夢は臣に弾幕ごっこについて話した。
霊夢 この世界にはいろんな奴がいて、いろんな能力がある。時を止めたり、無条件で相手を殺したり、そんな能力者達がね・・・そいつらが本気で相手に勝とうとしたらどうしようも無いでしょ?
臣 そんなの!弱いやつらはただやられるだけじゃないか!
霊夢 そうならないように弾幕ごっこと言うものがあるのよ。弾幕ごっこは自分で殺傷能力の無い銃弾を作り、相手に当てるゲーム。勝敗は相手の弾幕が避けられなかったり、自分のスペルカードが相手に負けたりしたときに決まる。
霊夢 霊符「夢想封印」
臣 え?
霊夢はいきなりスペルカードを手に取り、名前を宣言した。すると、2メートル程の光の玉が5、6個霊夢の周りに現れた。
霊夢 こんな感じに弾幕を作って、単純に避けて当てるというゲームなの。それなら命の危険もないし、能力で勝てない者も、勝てる可能性がある。
臣 見た目は派手だし当たったら痛そうだけどな、確かにいいゲームだ。そのスペルカードが俺の能力に関係あるんだな?
そうよ。と、頷くと臣の能力について説明をした。
霊夢 あなたがとどめを刺されそうな時に、私はスペルカードを投げた。相手に着弾したらその相手に攻撃するように発動してね。
霊夢 しかし、あの時あなたは岩を投げて妖怪を移動させた。だからスペルカードは妖怪ではなくあなたに当たった。妖怪の攻撃があなたに当たったその直後にね。
臣 妖怪と君の2つの攻撃を俺は食らったのか?
霊夢 私もそうなると思った。死んだ・・・嫌、殺してしまったとおもった・・・
臣 おいそれ助けてねえじゃん!どうなってんだよ!
霊夢 話を最後まで聞いて!その時あなたはまさかの行動をとったの!弾幕ごっこの超高等技術を!
それは食らいボムと言われる行動だった。相手の攻撃を食らった直後にスペルカードをしようするというもので言葉ほど簡単なものではない。食らいボムを成功させると、自分が食らうはずだったダメージが消滅し、逆に攻撃をしかけるという。
霊夢 それに、あんたが使用したのは私のスペルカードよ。他人のスペルカードを使用するなんて聞いたことないわよ。何か能力でもない限りは!
そういって霊夢は臣にスペルカードを渡した。
霊夢 もしあんたに能力があるなら使えるはずよ!さあ使ってみなさい!
臣 使えったって、みたことも聞いたこともないのに。
霊夢 本当に使えるなら、名前を宣言するだけで使えるはずよ!さあ見せてみて、スペルカードを扱う程度の能力を!
臣 ・・・・・・
臣 霊符・・・夢想封印!
ごぉん、という風の音と共に名前を呼ぶ。すると・・・
霊夢 これって!
臣 何か・・・出てる・・・
バレーボール程の大きさの虹色に輝く光の玉が一個、臣の掌に乗っていた。
臣 これがスペルカードの力、これが俺の能力なんだな?
霊夢 え?ええそうよ・・・(何か小さいような・・・少ないような・・・)
しばらくすると、臣の出した光の玉はよりいっそう輝き、そして爆発した。
臣 爆発って・・・てか痛い・・・
臣の能力はスペルカードを扱う程度の能力、しかしその力はかなり劣化されるようだった。
霊夢 ・・・やっぱりあんたには力があったのね♪良かった良かった!
臣 良くねえよ!なんだよあれは!小さい玉が1個出ただけじゃん!
霊夢 能力には個性があるのよ!能力が有るってだけでも凄いんだから!・・・ほら、もう一回やってみなさいよ!今度はあの岩に投げてみなさい!
臣 ・・・・・・霊符 夢想封印!
臣は力一杯にその辺にあった岩に光の玉を投げつけた。ドン!という凄まじい爆発音と共に、辺りが眩く光輝く。しかし、岩はヒビが入った程度でそれを見た霊夢は激しく焦り、臣は落胆した。
臣 こんなんでどうしろってんだよ・・・どう考えたって、異変解決どころか、自分の身も守れないじゃないか・・・
霊夢 まあまあ、力ってのは言えば使い方よ!なにもないよりはましだし、ほら、元気出して!
臣 もうだめだ・・・おしまいだ・・・
みるも無惨な程に落ち込む臣、それを見た霊夢は次第に怒りが芽生えそして臣をひっぱたいた!
霊夢 男の癖に、いつまでもめそめそしてんじゃないわよ!・・・え?
臣 痛!この・・・はたくことないだろ!・・・え?
臣&霊夢 えぇーーーーー!?
臣の体は中に浮いた。霊夢の張り手で4、5メートル程の高さにまで上昇したのだ。二人が臣のもうひとつの能力、スペルカードの持ち主の能力を扱う程度の能力に気がついたのは、これから直ぐの事だった。